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違う人と共に働く 〜『「組織のネコ」という働き方』の感想レポート〜

組織では、「こう振る舞うべき」という空気が少しずつ共有されていくことがある。効率よく動くこと、周囲に合わせること、正解から外れないこと。その環境に長くいるうちに、最初は違和感を持っていたことにも慣れていき、自分自身の考え方や振る舞いも変化していく。『「組織のネコ」という働き方』を読んでいて、私は経営組織論で学んだ「茹でガエルシンドローム」を思い出した。

茹でガエルシンドロームとは、急激な変化には気づけても、ゆっくり進む変化には気づかないまま適応してしまう、という考え方である。熱湯に入れられたカエルは飛び出すが、水から少しずつ温められると、その変化に気づかず茹で上がってしまう。この話は、組織の中で起きる同調にも近いのではないかと思った。最初は「少しおかしいのではないか」と感じていたことでも、周囲が当たり前のように受け入れていると、自分も次第にそれを普通だと思うようになる。しかも、その変化はとてもゆっくり進むため、自分自身では変わっていることに気づきにくい。だからこそ、組織の文化や空気は、知らないうちに人の考え方に影響を与えているのだと思う。

本書の中では、「イヌ」「ネコ」「トラ」「ライオン」という四つのタイプが示されていた。特に印象に残ったのは、「イヌの皮を被ったネコ」という言葉である。本来は、自分の違和感や興味を大切にしたいネコ的な人でも、同調圧力の強い環境に居続けることで、少しずつ“イヌらしく”振る舞うようになってしまうことがあるのではないかと思った。周囲に合わせ、空気を読み、波風を立てないようにするうちに、最初に持っていた違和感を出せなくなっていく。しかし、その変化は急激ではないため、自分でも気づきにくい。だからこそ、「茹でガエル」のように、環境に慣れすぎてしまうことがあるのだと思う。

ただ、この本は「みんなネコになるべきだ」と言っているわけではない。むしろ重要なのは、イヌ、ネコ、トラ、ライオンのような、違う価値観や動き方をする人が同じ場所に存在していることなのではないかと思う。もし全員が同じタイプだったら、効率よく動くことはできても、新しい視点や違和感は生まれにくい。逆に、違う考え方を持つ人がいることで、「なぜそう考えるのか」「それは本当に当たり前なのか」という問いが生まれる。つまり、違う人がいること自体が、組織の中で対話を生み出しているのではないかと思った。また、そうした対話があることで、組織は一つの考え方に偏りすぎずにいられるのかもしれない。

また、同じタイプ同士だけで関わり続けることにも危うさがあると感じた。イヌ同士、ネコ同士のように、似た価値観の人だけで集まると居心地は良いかもしれない。しかし、その環境に慣れすぎると、自分たちの考え方を当たり前だと思い込みやすくなる。同じような人同士で話していても同じ意見ばかり出て、肯定し合うだけ。新しい意見や反対意見が出ず、何も変化がない。だからこそ、自分とは違う考え方や働き方をする人と関わることには意味があるのだと思う。

経営組織論では、「茹でガエル」になる前の予防として、外部と関わり続けることの大切さについても学んだ。茹で上がってしまってから手術するのではなく、普段から違う環境や価値観に触れ続けることで、漢方薬のように少しずつほぐしていくこと。無理に「ネコらしく」なろうとすることよりも、イヌやネコ、トラ、ライオンのような異なる人たちが関わり続けることに意味があるのではないかと感じた。違う人と交わることで、自分の考え方を当たり前だと思い込みすぎずにいられるのかもしれない。

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