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傷は欠陥ではなく、その道具が生きてきた歴史なんじゃないか?

はじめに

最近、自分の中で一つのプロジェクトが少しずつ形になり始めています。

それは「Trail Companion」という名前のポーチです。
Trail Companion 設計思想 0.1と言いましょうか。

登山ではファーストエイドキットになり、 テント場では貴重品バッグになり、 旅行ではサブバッグになる。
持ち主によって役割を変えながら、 長く付き合える相棒のような存在を目指している。

まだ完成した製品はありません。
図面もありません。
試作品もありません。

あるのは、これまで登山や旅行、日常生活の中で感じてきた違和感と、それを解決したいという思いだけです。

ただ、その違和感を追いかけ続けているうちに、少しずつ見えてきたものがあります。

今回は、その設計思想を一度言語化しておこうと思います。

これは製品紹介ではありません。
むしろ、自分自身の考えを整理するための記録です。

まぁ、休日の妄想シリーズですよね。なんかお決まりになってきた(笑)
意外に読んでくれる人も多いし。


第一世代の仮説

すべての始まりは、MYOG文化に触れたところからでした。一応、過去の記事です👇


Gowalk

ロールトップの容量可変サコッシュを考えて、そこから、救急ポーチに構想が派生してしまい、しばらく迷子になっていました(笑)

いやね、登山へ行くとき、私は必ずファーストエイドキットを持っていきますよね。
しかし、テント場へ到着するとどーなるかと言うと、

財布。スマートフォン。鍵。どうしても肌身はなせない、ちょっとした貴重品ってのがあって、これらを持って温泉や買い出しへ行く訳です。

すると今度はサコッシュみたいなポーチが必要になる訳です。

そこで疑問が生まれました。

救急ポーチとサコッシュ。これは本当に別々である必要があるのだろうか。

救急ポーチがサコッシュになれば良いのではないか。
サコッシュが救急ポーチになれば良いのではないか。

そう考えて生まれたのが
「ULファーストエイドサコッシュ」
という構想でした。

赤い救急ポーチ。
裏返すと黒いサコッシュ。

一つの道具に二つの役割を持たせる。
当時の私は、そんな事を考えていました。


第一世代から学んだこと

しかし、思想っていうものは、寝かせると発酵するみたいに別の味わい方を運ぶもので、
時間が経つにつれて別の発想に気付いていきます。

問題は救急ポーチとサコッシュだけではなかった。という事です。

実際には、
・ガジェットポーチ
・行動食ポーチ
・散策バッグ
・温泉バッグ
・旅行用ポーチ
・サコッシュ

など、似たような役割を持つ道具が増え続けていたのです。

つまり、本質的な課題は
「救急ポーチをサコッシュにすること」ではありませんでした。

本当の課題は「役割の重複をなくすこと」だったのです。


第二世代の仮説

その後、様々な道具を調べ始めました。
登山ブランド。
ULガレージブランド。
旅行用品。
ポーチ。
サコッシュ。

そしていくつかの製品に出会いました。

イスカのトラベラーポーチ👇70g

Shiro Dive SidecarさんのYouTube動画👇
無印ウエストポーチにもなる 撥水ショルダーバッグ 約165g

紹介動画。思想に近いし、さすが無印、価格帯が安くてこりゃ凄い。。。
こりゃ規模の勝利か。とかなんとか。

TABITIBI Tote👇120g

これは、ロウロウマウンテンワークスさんの旅チビというバッグ。設計思想が大好き。

のびしろサコッシュ👇158g

Gowalkと発想が一緒でびっくりした袋。
見つけた瞬間に、嬉しかったのと同時に、Gowalkの開発を辞めました。

それぞれ方向性は違います。
しかし共通していたのは、「用途を広げる」という考え方でした。


ISUKAから学んだこと

イスカのトラベラーポーチを見た時、妙に惹かれました。

なぜなのか。

最初は分かりませんでした。
よく考えてみると理由は単純でした。
何も足していないからです。

ファスナー。ポケット。軽量な生地。
それだけで、変形もしませんし、拡張もしません。特殊機能もありません。

それなのに、
登山でも使える。
旅行でも使える。
出張でも使える。
普段使いもできる。

つまり、用途の広さは機能の多さではなく、シンプルさから生まれていたのです。
くそう、、、これは奥が深さを味あわせてくれるバッグだぜ。


TABITIBIから学んだこと

一方でTABITIBI Toteには別の魅力がありました。
普段はコンパクト。
必要な時だけ容量が増える。みたいな、そのギミックが魅力的でした。

道具というものは、常に最大容量で存在する必要はありません。

普段は小さくて、必要な時だけ大きくなる。

その考え方は非常に合理的だし、私のGowalkに似た思想がありました。


のびしろサコッシュから学んだこと

さらに、のびしろサコッシュという存在も知りました。

この製品は、私が最初に考えていたロールトップ型サコッシュに非常に近い考え方を持っています。

実際に見た時、「これ、自分が考えていた方向性に近い」と思いました。

しかし同時に、「少し違うかもしれない」とも感じました。誤解なく言うとのびしろサコッシュに違うと感じたのではなく、自分のGowalkに違うかもしれないと感じたのです。

私は拡張機構そのものを作りたいわけではなくってたのではないか。

欲しかったのは、たぶん容量の余白であって、ギミックではなかったのではないか???

という新たな疑問と向き合いました。


第二世代から学んだこと

ここで見えてきたことがあります。
私が作りたいのは、救急ポーチではない。
サコッシュでもない。
ULポーチでもない。
可変容量バッグでもない。

それらを全部含んだ、
「もっと曖昧な存在なのだろう。」
という答えです。

最近ハマってる川西カバンさんのYouTubeが面白いです👇

この頃よく視聴しているカワニシカバンの川西社長のYouTubeでは、

「こう使ってほしい」という想いはあるけれど、最終的にどう使うかはお客様の自由

というニュアンスの話がたびたび語られてい
ます。
この人ええなぁと思いながら視聴しています。


Trail Companionという名前

そんなことを考えている時に浮かんだ名前が
Trail Companionでした。
トレイルコンパニオンと読みます。

Companionには、
仲間。
相棒。
同行者。
旅の友。
という意味があります。

さらに語源を辿ると、
com(共に)+ panis(パン)
から来ています。

つまり、「一緒にパンを食べる人」です。

そこから、
苦楽を共にする仲間という意味になりました。

知らんかった。コンパニオンって、宴会コンパニオンのイメージしかなかったから(笑)

なのでこの言葉を知った時、
自分が作りたいものに近い気がしました。

なぜなら私は突き詰めると、バッグを作りたいわけではないからです。
長く付き合える相棒のような道具を作りたいのです。


修理跡が似合う道具

最近強く思うことがあります。
壊れない道具は存在しません。

重要なのは、壊れないことではなく、直せることではないか。

ということです。
補修テープ。
縫い直し。
擦り切れた生地。

そうした痕跡は欠点ではありません。

『ONE PIECE』のロロノア・ゾロには、
全身に数え切れないほどの傷があります。
しかし、その傷を誇示することはありません。


それは強さを示す勲章というより、仲間と共に歩んできた歴史そのものだからです。

私は道具の補修跡にも似たものを感じます。
山で擦った跡。
何度も縫い直した糸。
交換したパーツ。
それらは新品の状態から見れば劣化かもしれません。

しかし私には、その道具と共に歩んできた時間の記録にも見えます。
だから私は、新品同様を維持することよりも、むしろ補修跡が増えていくことに価値を感じます。

それは傷ではなく、その道具が使われ、役目を果たし、持ち主と共に時間を積み重ねてきた証だからです。

傷は欠陥ではなく、その道具が(人が)生きてきた歴史なんじゃないか?という問を読者に投げかける。そんなキャラは、最高に格好良い。

超有名な「何もなかった」 のシーン。
仲間の苦痛を一身に受け、全身血だらけになるゾロ。
でも、ゾロはその傷を武勇伝として語りません。
仲間のために受けた傷だからか。うほっ痺れる。

だからTrail Companionは、

修理跡が似合う道具であってほしいと思っています。


Worn Wearという考え方

私が惹かれるのは、なにも最新素材に限りません。もちろん新素材は魅力的です。
Ultraも面白いし、DCFも面白い。

しかし本当に共感するのは、
「修理して使い続ける文化」です。

それはPatagoniaのWorn Wearが持っている思想に近いのかもしれません。

新品を買い替えることよりも、
今ある道具を使い続けること。

それをUL思想と組み合わせられないだろうか。
そんなことを考えています。


素材について

現時点では210D Robicが有力候補です。
理由は単純です。

軽い。
丈夫。
柔らかい。
補修しやすい。
そして長く使える。
最軽量ではないかもしれません。

しかし、このプロジェクトの目的は最軽量ではありません。

いうなれば、10年後も使いたいと思えることです。


現在の理想像

まだ仮説段階ですが、
現在の理想像は見え始めています。

・100gくらい
・通常はコンパクト
・必要時のみ容量拡張
・シンプルな構造
・修理可能
・10年以上使用可能
・救急ポーチにもなる
・サコッシュにもなる
・旅行でも使える
・登山でも使える

そして何より、持って行くか迷わないこと。
常に一緒にあること。
その存在を目指しています。


次のステップ

ここまで考えてきましたが、まだ机上の空論です。

だから次は作る段階へ進みたいと思います。
まずはイスカのトラベラーポーチを使ってみる。
良い点を観察する。
不満点を探す。
改善点を記録する。
既存製品を深く理解する。
そして少しずつ試作品を作る。

Trail Companionはまだ存在しません。
けれど、その道具とどんな時間を過ごしたいのかだけは、少しずつ見えてきました。
あとは実際に作り、使い、傷を増やしながら確かめていこうと思います。

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