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10人の専門家が集まって、申し込み3人で終わった理由

10人近い専門家が集まった。
その多くは、マーケティングを教える側の人たちだった。

それでも、申し込みはたったの3人だった。

後から振り返れば、原因は「顧客不在」の一言で片づけられる。

でも、本当に考えたいのはそこではない。

なぜ、顧客起点の大切さを知っている人たちが集まっていたのに、誰も途中でそのズレを埋められなかったのか。

私は、そこがずっと引っかかっている。

善意の場では、「誰が買うのか?」と言いにくい

きっかけは、あるイベントを応援することだった。

その会場費に充てる資金をつくるために、それぞれの専門を活かしてオンライン講座を開く。

発想としては、悪くなかったと思う。

応援したい。
役に立ちたい。
自分にできることで関わりたい。

そういう善意があった。

でも、善意の場では、ひとつ言いにくくなる問いがある。

「それ、誰が買うんですか?」

当然出るべき問いだ。

でも、応援の空気の中では、言い出しにくい。

せっかくみんなが前向きに動いている。
それぞれが協力しようとしている。

そんな中で、
「誰に届けるんですか?」
「本当に必要とされている内容ですか?」
と問うのは、水を差すように感じてしまう。

私も、たぶんそうだった。

チャットの流れを見ながら、実は、私は何度か言葉を飲み込んだ。

「いったい、誰が申し込むというのだろう」
「幻想の顧客像で講座をつくっていないか」

そう思った瞬間はあった。

本当は、聞くべきだった。

「誰に届けるんですか」

でも、言わなかった。

結果として、提供する側の独りよがりな「善意」だけが残った。

顧客より出演者を見ていた

もう一つ、大きかったのは人数だと思う。

10人近い専門家が集まると、できることは増える。

講座のテーマも増える。
切り口も増える。
レベルの違いも出せる。

でも、できることが増えるほど、企画そのものが顧客から離れやすくなる。

誰が何を話せるか。
誰をどう組み込むか。
どの順番で出すか。
全員の顔が立つか。

専門家が集まれば、それぞれの専門を活かしたくなる。
応援企画なら、なおさら全員の善意を形にしたくなる。

でも、顧客から見ると、事情は関係ない。

講師が何人いるかではなく、
自分にとって受ける価値があるかどうか。

そこだけだ。

今回、その受け手の理由を設計しきれなかった。

だから、10人近い専門家が集まっても、申し込みは3人という結果だったのだ。

空中分解したのは、問いに戻れなかったから

発起人が悪かったとは思っていない。

むしろ、最初に声を上げる人がいなければ何も始まらない。
発起人は、場を生む人だ。

ただ、今回必要だったのは、誰か一人が強く引っ張ることではなく、場全体がただしい問いに戻ることだったのかもしれない。

誰に届けるのか。
この企画は、誰のどんな必要に応えているのか。

応援の空気に流されそうになったとき。
出演者調整に寄りそうになったとき。

そのたびに、この問いへ戻る。

たぶん、それが足りなかった。

分かっていることほど、現場では抜け落ちる

今回の失敗は、私にとってかなり大きかった。

マーケティングを教える人たちが集まって、マーケットを見失った。

痛かった。

でも、見えてよかった。

顧客起点は、知識だけでは実践できない。
場の空気に負けず、何度も戻り続ける覚悟と行動がなければ、実現できない。

「それ、誰が買うんですか?」

この問いは、ときに冷たく聞こえる。

でも本当は、企画を壊す問いではない。
企画をちゃんと届くものにするための問いだ。

今回の失敗は、それをかなり痛いかたちで教えてくれた。

小平純生(すみき)


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