「気が利くね」で終わらせない、先回り力を価値に変える方法
こんにちは。
起業家サポーターとして、事業の裏側に伴走している福岡すみれです。

「そこまでやってくれたんだ。気が利くね」
クライアントからそう言われると、やっぱりうれしい。
言われる前に資料を準備しておいたり、質問されそうなことを案内文に足しておいたり、忙しそうなクライアントの代わりにリマインドを入れたり。
誰かを支える仕事をしている人の中には、こういう先回りが自然にできる人が多いです。
でも、その「気が利く」が、いつの間にか苦しさにつながることもあります。
誰よりも早く気づく。
抜けているところを黙って埋める。
頼まれていないけれど、必要そうだからやっておく。
最初は喜ばれていたはずなのに、気づけば「あの人ならやってくれる」が当たり前になっている。
自分が休むと仕事が止まる。
どこまでが自分の担当なのかわからない。
やることは増えているのに、報酬や役割は変わらない。
そんな状態になっていたら、一度考えてみてほしいことがあります。
先回り力は、「相手の代わりに全部やる力」ではありません。
私は、先回り力の本当の価値は、問題が大きくなる前に気づき、仕事がスムーズに進む状態をつくることだと思っています。
たとえば、講座の事務局をしていて、開催前になると毎回、
「ZoomのURLはどこですか?」
「何時からでしたっけ?」
「アーカイブはありますか?」
という問い合わせが届くとします。
気が利く人は、一件ずつ丁寧に返信します。
もちろん、それも大切な仕事です。
でも、ここで一歩だけ先を考えると、
「同じ質問が繰り返されているのは、案内の出し方に原因があるかもしれない」
と気づけます。
開催3日前にまとめて案内を送る。
件名をわかりやすくする。
よくある質問を申込後のページに載せる。
そうすれば、参加者は迷いにくくなり、問い合わせ対応も減ります。
これは単に「気が利く人」なのではなく、参加者の体験と運営の効率を同時に良くしている人です。
同じように、クライアントが毎月、請求書の発行直前になって必要な情報を探しているとします。
先回りして、毎回こちらから聞いてあげることもできます。
でも、
「毎月20日までに、このシートに必要事項を入れる」
という流れをつくれば、そもそも慌てなくて済むかもしれません。
気づいた人が頑張り続けるのではなく、次から困らない形にする。
ここまでできると、先回り力は個人の優しさではなく、事業を支える力になります。
では、どうすれば「気が利く」を価値に変えられるのか。
私は、まず自分の先回りを記録してみることをおすすめしています。
今日、頼まれていないけれど対応したことは何だったか。
なぜ、それが必要だと気づいたのか。
その対応によって、誰のどんな困りごとが減ったのか。
たとえば、
「リマインドを送った」
だけではなく、
「締切を忘れる人が続いていたので、前日にリマインドを送り、提出遅れを防いだ」
と書いてみる。
すると、自分がやっているのは単なる連絡ではなく、「進行が止まる原因に気づき、事前に対処すること」だと見えてきます。
次に意識したいのは、黙ってやらないことです。
先回りが得意な人ほど、相手に負担をかけたくなくて、自分の中だけで処理してしまいます。
でも、それではクライアントは、何が起きていて、何を防いでもらったのかわかりません。
大げさにアピールする必要はありません。
「最近この質問が増えていたので、案内文に追記しておきました」
「確認漏れが起きやすそうだったので、チェック項目を追加しました」
「毎回ここで作業が止まるので、次回から迷わないように手順をまとめてみました」
そんなふうに、気づいたことと対応したことを共有する。
それだけでも、見えなかった仕事が見えるようになります。
そしてもう一つ。
先回りしたことが何度も繰り返されているなら、「次も私が気づく」以外の方法を考えてみること。
チェックリストにする。
テンプレートをつくる。
スケジュールに組み込む。
担当者を決める。
案内文を改善する。
先回り力がある人ほど、自分が頑張れば解決できてしまいます。
だからこそ、自分の頑張りを増やすのではなく、仕組みに変える視点が大切です。
「気が利くね」は、とても素敵な言葉です。
でも、そこで終わらせなくていい。
自分が何に気づいたのか。
なぜ気づけたのか。
その結果、何がスムーズになったのか。
そこまで言葉にできると、「なんとなく気が利く人」だった自分の中に、調整力、改善力、進行管理力、顧客視点といった、仕事としての強みが見えてきます。
優しさや気配りを、無限に差し出し続けなくていい。
気づけることは、立派な力です。
その力を、自分だけが頑張り続けるためではなく、クライアントの事業が少しずつ良くなる方向に使っていく。
そうやって先回りの仕方を変えていくと、「気が利く人」から、「この人がいると事業がスムーズに進む人」へ、少しずつ役割が変わっていくのだと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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