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【☕#25】「勝てる戦い」だけを選ぶ — USJのV字回復を支えた「確率思考」が仕事の成功率を劇的に高める理由

こんにちは!
今日のドリップは、森岡毅氏と今西聖貴氏による『確率思考の戦略論』という一冊。USJのV字回復の立役者が明かす、数学的な思考で成功確率を高める方法を、あなたのために抽出しました☕️

あなたは仕事で何度も「なぜうまくいかないんだろう?」と悩んだことはありませんか?時には直感で決断し、時には周囲の意見に流され、結果として「やっぱりダメだった...」と後悔した経験も多いのではないでしょうか。

本書は、そんな私たちに「ビジネスの結果は、実は確率に支配されている」という視点を提供します。

そして何より重要なのは、その確率は私たちがコントロールできるものだということ。USJが450億円という巨額投資を決断し、見事にV字回復を果たした秘訣が、この「確率思考」にあったのです。


1. 「プレファレンス」こそが市場を動かす本質的な力

多くの企業が「認知度アップ」や「店舗数の拡大」に躍起になっていますが、本当に成功を左右するのは「消費者のプレファレンス(相対的好意度)」です。

どれだけ宣伝しても、どれだけ店舗があっても、消費者があなたのブランドを「好き」でなければ長期的な成功はありません。

USJの事例を見ても明らかです。以前のUSJは「映画だけのテーマパーク」というポジショニングで、特定のファン層だけをターゲットにしていました。しかし、森岡氏はこの戦略を大転換。「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」という新しいコンセプトで、アニメやゲームなど多様なコンテンツを導入しました。

これは単なる直感的な判断ではなく、「消費者は映画だから来るのではなく、自分の好きなコンテンツがあるから来る」というプレファレンスの本質を数学的に分析した結果でした。

この戦略転換によって、USJの市場におけるプレファレンス(M)は劇的に向上し、集客力が大幅に増加したのです。

マーケティングの世界では、「80/20の法則」が有名ですが、プレファレンスもこれに従います。マーチャンダイジング研究の第一人者であるAndrew Ehrenberg博士の研究によれば、どのカテゴリーでも約20%の熱狂的なファンが全購入の約65%を占めるという法則性が見られます。
つまり、このコアなファンのプレファレンスを高めることが成功の鍵なのです。

あなたの仕事でも考えてみてください。顧客やクライアント、上司や同僚からの「好意度」を高めるには何が必要でしょうか?単に認知されるだけでなく、「この人/会社と一緒に仕事がしたい」と思われるにはどうすればいいか。それがプレファレンスを高める戦略の本質です。

2. 「勝てる戦い」を見つける確率思考の力

ビジネスの本質は「勝つこと」ですが、森岡氏によれば、戦略の本質は「勝てる戦いを探すこと」にあります。そして数学的思考こそが、その「勝てる戦い」を見つける最強のツールなのです。

例えば、USJでは若者中心のスリル好きな層にまだ伸び代があると数学的に分析し、その結果に基づいて後ろ向きに走るジェットコースター「バックドロップ」を導入しました。これは感覚や経験だけでなく、データに基づいた「勝てる戦い」の選択だったのです。

ビジネスの世界では、意思決定の75%以上が感情に基づいているという研究結果があります(カーネギーメロン大学、2015年)。しかし本書は、成功確率を高めるには「感情を排して確率の高いものを選ぶ」ことの重要性を説いています。

この考え方は日常のビジネスシーンにも適用できます。プロジェクトの企画を立てる際、「これは面白そう!」という感情ではなく、「これは成功確率が高いか?」という冷静な視点で判断することで、無駄な労力を省き、成功率を高められるのです。

あなたは仕事の提案や企画を考える際、「これは本当に成功確率が高いか?」と自問していますか?それとも「やりたい」という感情や「前例踏襲」という安心感で判断していませんか?

3. データの「毒」を見抜く複眼的思考法

数学的思考と言えばデータ分析が重要ですが、本書では意外にも「消費者データには無味無臭の毒が潜んでいる」と警鐘を鳴らしています。特に新しいカテゴリーの商品や、コンセプトと実物の印象が大きく異なる場合など、データが現実と乖離するケースが少なくないのです。

著者は「昆虫の複眼」のように、多角的な視点でデータを分析することの重要性を説いています。一つの調査結果や分析だけでなく、複数の独立した視点からデータを検証することで、より現実に近い理解が得られるというのです。

心理学者のDaniel Kahneman(『ファスト&スロー』の著者)は、私たちの判断が様々な認知バイアスに影響されることを研究で明らかにしていますが、それはデータ分析においても例外ではありません。

日常のビジネスでも、セールスレポートや顧客アンケートの結果だけを鵜呑みにせず、「このデータにはどんなバイアスがあるだろうか?」「別の視点からも確認できるだろうか?」と考える習慣をつけることで、より確実な意思決定ができるようになります。

例えば、あるマーケターが「夏場に行った冬向け商品のコンセプトテスト」の結果を鵜呑みにして大量生産したところ、実際の冬のシーズンでは全く売れなかったというケースがあります。季節的な文脈の違いを考慮しなかった「毒入りデータ」の典型例です。

4. 「数字に熱を込める」リーダーシップの真髄

本書の中で特に印象的なのは「数字に熱を込めろ」というメッセージです。いくら優れた戦略(数字)があっても、それを実行する「戦術」に「熱」が込められていなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。

森岡氏はUSJの改革において、数学的分析による冷徹な戦略と、それを実行するための情熱的なリーダーシップの両方を発揮しました。戦略決定の場では感情を排除し確率に基づいて判断する一方、実行段階では熱意をもって組織全体を動かしたのです。

リーダーシップ研究の第一人者であるDaniel Goleman(感情知能の提唱者)は、最も効果的なリーダーは「状況に応じて異なるリーダーシップスタイルを使い分ける能力」を持つと述べていますが、森岡氏のアプローチはまさにこれを体現しています。

あなたの仕事でも、プロジェクトやチームを率いる際に「数字(論理)と熱(情熱)のバランス」を意識していますか?データに基づいた冷静な判断と、人の心を動かす熱意の両方があってこそ、組織は大きな成果を上げられるのです。

実践編:確率思考を今日から始める3つのステップ

ステップ1:目的を明確にし、逆算で戦略を組み立てる

まず、達成したい「目的」を明確に設定しましょう。そして、その目的が達成できた状態を具体的にイメージします。著者は「迷路はスタートよりもゴールから解いた方が速い」と述べています。目的から逆算して、現状とのギャップを埋めるための「足場」となる戦略を考えましょう。

今日からできること:今取り組んでいるプロジェクトの「最終的な目的」を紙に書き出し、そこから逆算して必要なステップを洗い出してみましょう。「これは本当に目的達成に貢献しているか?」という視点で、今の活動を見直してみてください。

ステップ2:プレファレンスを高める行動に集中する

どんな仕事でも、「好かれる」「選ばれる」ことが成功の鍵です。自分の商品、サービス、あるいは自分自身のプレファレンス(相対的好意度)を高めるためには何が必要かを考え、そこに経営資源(時間・お金・労力)を集中させましょう。

今日からできること:顧客や同僚があなた(またはあなたの商品・サービス)を「好き」になる理由を3つ書き出し、それを強化するための具体的な行動を始めましょう。例えば「レスポンスの速さが評価されている」なら、返信の速さをさらに上げるなど。

ステップ3:データを複眼的に見る習慣をつける

一つのデータソースや分析だけを信じず、複数の独立した視点から検証する習慣をつけましょう。特に重要な意思決定の前には「このデータにバイアスはないか?」「別の角度からも確認できるか?」と自問自答することが大切です。

今日からできること:直近の意思決定で使ったデータを見直し、そこに潜むバイアスや限界を書き出してみましょう。また、その判断を異なる視点や方法で検証できないか考えてみてください。

人生は確率のゲーム、あなたはその確率を操れる

本書の核心は「人生は確率のゲームであり、その確率は戦略次第でコントロールできる」という考え方にあります。完璧な結果は保証されませんが、目的に対する成功確率を最大限に高める努力をすることで、後悔のない選択ができるようになります。

USJの劇的なV字回復は、まさにこの確率思考の勝利でした。「本当に魅力的なテーマパークなら、映画だけにこだわる必要はない」という消費者行動の本質を見抜き、プレファレンスを高める戦略に経営資源を集中させたことで、不可能と思われた成功を収めたのです。

あなたの仕事や人生においても、勝てる戦いを選び、プレファレンスを高め、データを複眼的に見ることで、成功確率を大幅に高めることができます。それは運や才能だけに頼るのではなく、科学的・数学的な思考によって「勝つための法則」を見つけ出す旅なのです。

最後に問いかけます。あなたは今、「勝てる戦い」を選んでいますか?それとも、コントロールできないものに経営資源を投じて消耗していませんか?確率思考を身につけ、成功への道筋を科学的に切り開いていきましょう。

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【著者プロフィール】
森岡毅:P&G、USJを経て現在はスタートアップの経営に携わる。USJ時代にはハリー・ポッターのアトラクション導入など大胆な改革を行い、V字回復を実現させた。
今西聖貴:P&Gで長年マーケティングに携わり、森岡氏とはP&G時代からの盟友。USJのハリーポッター導入時の需要予測を担当。


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