Daft Punk「One More Time」の魅力とは?なぜ今もこんなに上がるのか
Daft Punkの「One More Time」は、何回聴いても強い。
名曲は、いろんな種類がある。
最初の一回で圧倒してくる曲もあるし、何年か経ってからじわじわ効いてくる曲もある。
でも「One More Time」って、そのどっちも持っている気がする。
初見でもわかる。
うわ、これ気持ちいい、となる。
でも何年経っても、また聴くとちゃんと上がる。
しかも雑に懐かしいだけでは終わらない。
今聴いても普通に強い。
これは、かなりすごいことだと思う。
まず、タイトルからして強い。
「One More Time」。
もう一回。
それだけだ。
すごく単純なのに、めちゃくちゃ人間の核心を突いている。
人は結局、「もう一回」が好きなのだと思う。
もう一杯。
もう一曲。
もう一晩。
もう少しこの楽しい時間が続いてほしい。
あの曲って、その欲望をまっすぐ肯定してくる。
しかも嫌な感じがしない。
欲深さというより、祝祭として響く。
もう一回いこう。
まだ終わらせるな。
今日くらい、上がり切っていい。
そういう空気が最初から最後まである。
私はたぶん、「One More Time」のいちばんすごいところって、この祝祭感だと思っている。
ダンスミュージックって、上げるための音楽ではある。
でも「上げる」にもいろんな種類がある。
攻撃的な上がり方もあるし、陶酔に入る上がり方もあるし、勝ちにいくような上がり方もある。
その中で「One More Time」は、かなり明るい。
しかもその明るさが、軽薄にならない。
ただ楽しいだけではない。
ちゃんと多幸感がある。
笑顔っぽいのに、どこか切ない。
上がる曲なのに、少しだけ泣ける感じがある。
音としてはすごくポップだ。
わかりやすい。
開けている。
みんなで行ける。
でも、奥のほうには少しだけ寂しさとか儚さみたいなものが混ざっている。
だからただのパーティーチューンで終わらない。
私はここにDaft Punkの変態性があると思う。
あの人たちって、機械っぽい音を使いながら、結局めちゃくちゃ人間の感情を鳴らす。
ロボットの顔してるのに、やってることはかなりエモい。
冷たく見えて、実はすごくロマンチックだ。
「One More Time」は、その象徴みたいな曲だと思う。
ボーカルの処理もそうだ。
あのオートチューン感というか、あえて加工された声。
普通に考えたら、人間味を薄める方向のはずなのに、逆にめちゃくちゃ記憶に残る。
しかも感情までちゃんと届く。
生っぽくないのに、妙に生々しい。
ここもDaft Punkっぽい。
私はあれを聴くたびに、
人間の感情って、生声だけで伝わるわけじゃないんやな
と思う。
加工されても、削られても、むしろ削られた先にだけ出る高揚ってある。
あの曲はまさにそれだ。
そして反復がうまい。
Daft Punkって反復の魔法がほんまに強いけど、「One More Time」はその中でもかなりわかりやすく気持ちいい。
同じフレーズを繰り返しているのに、全然飽きない。
むしろ繰り返されるほど気持ちいい。
さっきまで同じだったはずなのに、少しずつ景色が変わっていく。
この「反復の中で上がっていく感じ」は、ダンスミュージックの快楽そのものだと思う。
しかも「One More Time」は、その快楽をかなり開かれた形でやっている。
クラブミュージックでありながら、すごく広い。
オタクだけの音楽じゃない。
コアな人しかわからん気持ちよさ、ではなく、誰が聴いても身体が反応しやすいところまで開いている。
でも浅くならない。
ここがえぐい。
たぶん、名曲って「間口が広いのに底が深い」。
「One More Time」は本当にそれだと思う。
何も考えずに聴いても気持ちいい。
でも、ちょっと踏み込んで聴くと、Daft Punkの美学みたいなものまで見えてくる。
人間と機械。
祝祭と切なさ。
ポップとクラブ。
単純さと中毒性。
その全部が、すごくきれいに同居している。
あと、この曲のすごさは、「古くならない」のとは少し違う気がする。
むしろ時代の空気はちゃんとある。
あの時代の高揚感とか、未来への憧れとか、フレンチタッチのキラキラした感じとか、ちゃんと時代を背負っている。
でも、その時代性ごと今も魅力になっている。
懐メロになりきらない。
「あの頃っぽさ」が、今もちゃんとかっこいい。
それもまた強い。
私は「One More Time」を聴くと、音楽って快楽をこんなに肯定していいんやなと思う。
気持ちよくなっていい。
上がっていい。
楽しいでいい。
そのシンプルなことを、ここまで強く、ここまで美しく言い切れる曲って意外と少ない。
しかもDaft Punkは、それをバカっぽくしない。
ちゃんと洗練させる。
ちゃんと永遠にする。
だからすごい。
「One More Time」は、ただの代表曲ではないと思う。
Daft Punkの思想が、いちばんポップな形で世界に開いた瞬間みたいな曲やと思う。
人間って、結局また踊りたい。
また気持ちよくなりたい。
また今日を肯定したい。
また一回、上がり切りたい。
その欲望を、あんなにまっすぐ、あんなに多幸感たっぷりに鳴らしてくれる曲はそうない。
だから何回聴いても、また思う。
やっぱり「One More Time」強すぎるな、と。
気持ちいいだけじゃない。
明るいだけでもない。
祝祭なのに少し切なくて、機械っぽいのに人間的で、シンプルなのにずっと飽きない。
あの曲はたぶん、ダンスミュージックというより、
「もう一回いこう」と人間を励ますための音楽なんやと思う。
