春から大学生になる人へ。大学の人間関係はわからんもんや
春から大学生になる人に言いたいことがある。
大学の人間関係は、ほんまにわからん、ということである。
私は大学に入った時、Yちゃんという女の子を見て、完全にそう思った。
Yちゃんは入学式で、新入生代表のスピーチをしていた。
夢をハキハキと、堂々と語っていた。
それだけでもう、すげえ、と思った。
しかも、めちゃくちゃ美人だった。
顔がきれい。
髪型もきれい。
スタイルもいい。
歩く姿勢まできれい。
入学式で着ていたパンツスーツも、もうそのまま仕事ができる人みたいだった。
私はかわいいものとか美しいものを見るのが好きなので、普通に圧倒された。
でも同時に、この子とはたぶん一生関わることないやろうな、とも思った。
大学には、そういう人がいる。
同じ教室にはいるけれど、自分とは住んでいる世界が違いそうな人。
遠くから「うわ、すご」と思って終わる人。
Yちゃんは、私にとって最初そういう存在だった。
ところが、2年の後期に少し流れが変わった。
席が指定されている授業があって、たまたまYちゃんが隣になったのである。
私はかなり挙動不審だったと思う。
緊張しすぎて、たぶん変なことも言っていた。
でも話しているうちに、お互いタイ人の彼氏がいることがわかった。
そこから急に話が盛り上がった。
タイ人の彼氏ってこういうとこあるよね、とか、
こういうとこは優しいよね、とか、
でもこういうとこはめんどいよね、とか。
かなり細かいあるあるで盛り上がった。
私はその授業の前のちょっとした時間に、彼女と話せるのがすごく楽しかった。
でも、もっと話したいと思いながらも、どこかで遠慮していた。
いやいや、こんなきれいな子の時間を奪うのは申し訳ない、とか、
自分なんて不釣り合いやし、とか、勝手に思っていたのである。
大学って、こういう勝手な思い込みがめちゃくちゃ多い場所でもあると思う。
あの子は人気者っぽいから無理。
あの子はしっかりしてそうだから自分とは合わなさそう。
あの子はキラキラしてるから住む世界が違う。
でも、実際は話してみないとわからない。
私はその後、3回生の途中でタイに留学した。
そしたらある日、YちゃんからInstagramのDMが来た。
「来週からバンコク行くねん。会った時から、かずきちゃんとずっと飲みに行ってゆっくり話したいなって思ってたの。予定合えば、バンコクで飲まない?」
これが本当にうれしかった。
自分が一方的に「きれい」「すごい」「遠い」と思っていた相手が、実はこっちともっと話したいと思ってくれていた。
これ、かなり衝撃だった。
実際にバンコクで会ってみたら、さらに驚いた。
彼女は、いい意味で普通の女の子だった。
もっと完成された人みたいな感じを勝手に想像していた。
でも全然違った。
ちゃんとテンションもあるし、好きなものにはめちゃくちゃ熱いし、しかもかなりオタク気質だった。
思っていたよりずっと話しやすくて、思っていたよりずっとこっち側の人だった。
そこから一気に意気投合した。
バンコクでは、会える限り会った。
飲みに行ったり、カフェに行ったり、いろんな話をした。
たぶん、大学で隣の席だった時より、バンコクでのほうが一気に距離が縮まった。
タイで会う、というのもよかったのだと思う。
日本の大学の教室で話すのと、バンコクで飲みながら話すのでは、空気が全然違う。
大学だとどうしても「同級生」という感じが先に立つけれど、バンコクではもう少しフラットに、一人の人として会えた気がする。
夜に飲みながら話したり、昼にカフェでだらだら話したり、タイの街の中で一緒に過ごしていると、この人ってこんなにおもしろいんや、こんなに話合うんや、と何度も思った。
私は留学中だったから、授業もあってずっと一緒にいられるわけではなかった。
でも、会える日はちゃんと会った。
それくらい、一緒に話しているのが楽しかった。
そして大学を卒業した今でも、彼女とは連絡を取り合っている。
普通にご飯に行く仲でもある。
ほんまに、わからんもんやわ、と思う。
入学式で見た時は、この子とは絶対に関わらないだろうと思っていた。
隣の席になった時は、緊張しすぎて自分が何を喋っているのかもよくわからなかった。
それが今では、普通に連絡を取り合って、ご飯に行く。
だから春から大学生になる人には言いたい。
最初の印象だけで、人との距離を決めなくていい。
入学式でキラキラして見える人も、実際に話してみたらめちゃくちゃ気が合うかもしれない。
逆に、最初から仲良くなりそうと思った人とは、そこまで深くならないこともある。
大学の人間関係って、本当にわからない。
でも、その「わからなさ」の中に、あとからかなり好きになる出会いが混ざっている。
私にとってYちゃんがまさにそうだった。
大学だけ見ていたら、たぶんただの「きれいな同級生」で終わっていた。
でも、タイで会ったことで、その人がちゃんと立体になった。
美人とか、代表スピーチとか、そういう肩書きの向こうにいる、普通におもしろくて、普通に話の合う人になった。
そういうことがあるから、人間関係はおもしろい。
春から大学生になる人へ。
最初から「自分とは違う世界の人や」と決めなくていい。
大学の人間関係は、ほんまにわからん。
そのわからなさの中に、あとでかなり大事になる人が混ざっている。
