年収500万円台でも家が買えない時代へ。「製造業共働き世帯」にターゲットを絞り直す新・販売戦略とは
「家が高くなった」「お客様の予算が合わなくなった」―
そんな声が、ここ数年でよく聞かれるようになりました。
住宅価格の上昇、金利上昇、生活費の高騰……
ただでさえ住宅購入のハードルが上がる中、2026年以降は、さらに厳しい局面を迎えます。
追い打ちとなるのが、ナフサショックによる資材価格の上昇。
住宅価格はさらに押し上げられる一方で、家計には余裕がなくなっていく。
その結果、これまで地方工務店の主力顧客だった「世帯年収500万円前後」の層は、もはや住宅購入ターゲットではなくなりつつあります。
なぜそう言えるのか。そして、これから地方工務店が狙うべきターゲットはどこにあるのか。
今回は、30代前半の世帯年収、家計シミュレーション、職業別の賃金データなどをもとに、これからの住宅需要と販売戦略をひもときます。
年収400万円台は「生活が苦しい」状態。家を買うという選択肢が消えた
まずは、住宅一次取得世代の中心となる30代前半の世帯年収を確認してみましょう。
家計消費報告・世帯分布(2025年)によると、30〜34歳の年収帯別の構成比は次の図のようになります。

このうち、世帯年収400万〜500万円の層は12.9%です。
この年収400万円台の世帯は、これまで地方工務店にとって決して無視できない見込み客でした。
たとえば、夫が小売業に勤め、月収は25万円前後。ボーナスは年1か月分ほど。妻はパートで月10万円程度の収入がある。世帯年収は、400万円台半ば。
以前であれば、この収入でも住宅購入を検討できていました。土地価格が比較的抑えられる地域で、建物と土地を合わせて2500万円台くらいに収まる住宅であれば、検討対象に入っていたはずです。
しかし、2026年以降は状況が変わります。
実際に家計をシミュレーションしてみると、年収400万円台の世帯は、すでに生活費だけでかなり厳しい状態にあります。

夫:小売業 所定内給与25万円、ボーナス1か月
妻:パート 月10万円
夫の給与はほとんど上がらない。一方で、食費、光熱費、日用品など生活に欠かせない出費は軒並み上がっていきます。
一つひとつの値上げ幅は数百円から数千円かもしれませんが、積み重なれば家計全体では毎月1万円を超える負担増になり得ます。
もともと余裕がある家計ではないため、値上げ分を補うことができず、家計赤字に転落してしまいます。
これは「生活が苦しい」状態。
日々の生活を維持するだけで精一杯で、住宅購入という選択肢がもはや考えられなくなっていきます。
年収400万円台以下、つまり市場の20%以上の需要は今後喪失してしまいます。
年収500万円台でも「生活に余裕がない」。家は欲しいけれど買えない
続いて、年収500万円~600万円台の層を見てみましょう。このゾーンは、30代前半の世帯年収の中で約3割を占める層で、これまで地方工務店のメインターゲットとされてきた層です。
たとえば、中小企業に勤める夫の月収が30万円。妻はパートで月10万円ほどの収入がある家庭です。

夫:小売業 所定内給与30万円、ボーナス1か月
妻:パート 月10万円
手取りにすると、先ほどの年収400万円台よりも月3万円ほど多いので余裕がありそうに見えますが、家計をシミュレーションしてみると、やはり決して楽ではありません。
2025年時点では、月9,000円の黒字を確保できていた家庭も、2026年後半になると生活費の上昇によって支出が増え、月2,000円ほどの家計赤字に転落する計算です。
もともと節約意識が高く、家計をしっかり管理している家庭であっても、日用品などの値上げが重なると、家計のやりくりだけでは限界があります。
つまり、年収500万円台でも生活に「余裕がない」状態なのです。
年収400万円台の層と違い、家を買う気持ちはあります。子どものために持ち家が欲しいという思いもあり、広告にも反応します。
しかし、今住んでいる地域の周辺で新築を建てようとすると、予算と価格が合わないのです。需要価格と供給価格のギャップが大きく、「買いたいけれど、現実的に買えない」という問題が起きています。
集客数だけを見ていると、まだ需要があるように見えるかもしれません。しかし実際には契約はほとんど決まらないため、この層をこれまで通りメインターゲットに置き続けると、営業現場は疲弊してしまいます。
年収700万円以上の共働き世帯は「買い時」と感じれば動く
では、2026年以降も住宅を購入できるのは誰なのか?
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