【旅行前に】サグラダ・ファミリア予習ページ⑧ 未完の聖堂編 〜ガウディの美学〜
サグラダ・ファミリアは、いまだに完成していません。
しかしそれは、「途中で止まっている建築」ではなく、
今この瞬間も完成へ向かって進み続けている建築です。
クレーンが立ち、工事が続いているその姿こそが、
この建築の本来の姿でもあります。
なぜ、こんなにも時間がかかるのか
この問いに対する答えは、単純な「工期の問題」ではありません。
この建築の出発点には、
アントニ・ガウディ の明確な思想があります。
彼はこう語りました。
「私のクライアントは急いでいない」
ここでいうクライアントとは、神のことです。
サグラダ・ファミリアは、国家や企業のための建築ではなく、
神に捧げる教会として計画されました。
そのため、
国家プロジェクトにはしない
大口スポンサーにも依存しない
信仰(寄付)によって建てる
という前提が置かれています。
つまりこの建築は、誰かの所有物ではなく、人々の信仰によって支えられる存在なのです。
もともとは寄付によって建てられてきたこの教会ですが、
現在では大きく状況が変わっています。
建設費の多くは、
観光客の入場料
個人からの寄付
公式グッズなどの収益
によって賄われています。
かつては寄付によって、そして今は世界中の訪問者によって支えられている
とも言えます。
あなたが支払うチケット代もまた、この建築の一部になっているのです。
資金が集まっているなら、急げばいい。
そう思うかもしれません。
しかし、この建築にはそもそも急ぐ理由が存在しません。
なぜなら、
クライアントは神であり
完成期限を求められていないからです
ここでは効率やスピードよりも、
どれだけ理想に近づけるかが重視されます。
初期のサグラダ・ファミリアは、伝統的な石材によって建てられていました。
しかし現在では、
石材
鉄筋コンクリート
コンピュータ設計(CAD)
など、現代の技術が積極的に使われています。
一見すると「近代化」や「効率化」に見えますが、その本質はまったく逆かもしれません。
これはスピードのためではなく、ガウディの設計をより正確に再現するための選択だとも考えられます。
彼の設計は、自然を模した極めて複雑な構造を持っています。
現代技術によって初めて、それが現実の形になりつつあるのです。
ここでもう一つ、重要な視点があります。
石造建築は、数百年、時には1000年近く残ることもあります。
一方で、コンクリートはそれよりも寿命が短く、定期的なメンテナンスが前提の素材です。
では、それは欠点なのでしょうか。
答えは違います。
この建築は、「壊れないこと」を目指しているのではなく、手を入れ続けながら存在し続けることを前提としています。
サグラダ・ファミリアは、
完成したら終わる建築ではありません
誰か一人のものでもありません
未来の人々が関わり続けることで、存在し続ける建築です。
サグラダ・ファミリアは、未完の建築です。
そしてその過程には、今この瞬間を生きる私たちも含まれています。
