都合のいい関係
その昔、都合のいい関係をしていた。
敢えて。
人を好きになってしまうことが怖かった。
好きにならないようにと、自分を律した。
好きになってしまったら、
好きになったとしたら、
自分が壊れてしまいそうで……
20代初め、父が蒸発した。
出張から1年帰ってこないこともあって、
生活費も入って来ずに、
不安な日々を過ごしていた。
不安は、もっと大きな不安に変わり、
やっと帰国し帰宅した父は、
駆け足に、また家を出て行こうとした。
必死に腕を掴み、体を張って阻止した。
「行かないで、家にいて」
「お願いだから、行かないで」
泣き叫ぶ私の声……
私を振り払い、出ていった。
届かない声だけがこだました……
振り返りもせず、背を向けたまま消えていった。
私は、泣き崩れ、
父を喪失した……
母と祖母と妹二人、
残された家族を背負わされた。
父を恨んだ。
大好きだった父。
喪失は、
私には耐え難いものだった……
私は、自分の人生を諦めた。
自分の人生を生きる希望を失った。
自分はあっても、ないようなものに感じた。
自分が自分のために生きられないのなら、
自分はどうなってもいいように感じた。
自分を痛めつけるように、
傷ものにしようとした……
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