見出し画像

【企画参加】「noteのつきあい方~noteマイルール~」

noteを使っていた時は、他の人みたいに作品を書いたりエッセイを書いたりとか、そういうのじゃなくて、その日や前の日に彼と過ごした感想を彼に向けて書いていた。

今日のお店、美味しかったね。
また行きたいね。
今日の映画はちょっと期待外れ、次は何観ようかね。
とか。

彼も同じように私との時間についてnoteに書く。
そしてお互いの記事に「スキ」を押す。
記事がスキというか、お互いへ、スキを送る。
それが私にとってのnoteだった。

パソコンを開いて、noteを開いて、彼の記事や彼からのスキを見るのが私の日課だった。
1日何時間でも見ていられたし、包まれて満たされる幸せな時間だった。

でも、交際が長くなってくると、喧嘩をする日だってある。
そういう時のnoteはとても困るのだ。
喧嘩をした日にnoteに何も書くことないし、相手への文句を書きなぐるのはさすがにしたくないし。
でも、相手が何か書いてないか、ついつい見てしまって、更新されないnoteに溜息をつく。
お互いnoteが更新されない時は喧嘩中。恋愛バロメーターみたいだ。
あ~あ、こんな公開交換日記みたいなことしなきゃよかった。

お互いの愛情を確かめるような場だったnoteは、いつの間にか気まずい空気が充満して出口のない螺旋階段みたいになっていた。

もちろんnoteが原因なんかじゃないけど、私たちは気持ちのすれ違いが少しずつ大きくなって、別れる雰囲気になった。私はまだ彼が好きだったけど、一度レールが外れると、もう何だかどうにもならなくて、彼との距離はだんだんと離れていった。
自然消滅みたいなのは嫌だったから、最後に一回会ってお別れした。

そうして私はnoteを開かなくなった。

2ヶ月ぶりにnoteを開いたのは何てことない。映画「スラムダンク」の他の人の感想を読んでみたかったのだ。
色んな人の感想を読んだあと、私は少し心がきゅっとして、ゆっくりマウスを動かし、自分のフォローのところを押して彼のページを開いた。

別れてから見るのははじめて。
彼のnoteはつい1週間前に、ひとつだけ記事が更新されていた。

…。「スラムダンク」の感想だった。
男友達と観に行ったみたい。
バスケ部で漫画のスラムダンクも大好きだった彼は、映画の感想をひとしきり書いて、最後にこんな言葉で締めくくっていた。

君はもう「スラムダンク」観たかな。

ズキン。イタタタ。心痛っ!
私は、はぁ〜っと溜息をついた。
そんなこと書かないでよ。男ってアホなの??

この記事に「スキ」を押した方がいいのか。私は少し考えた。
押せないじゃん。もうスキじゃないんだし。
何だ?スキって。スキじゃないよ君なんか!押すわけないじゃん!
私は心に疼いた彼のぬくもりを画面に向かって押し返した。

いつしか私は泣いていて、涙が止まったあと、意外なほど私はすっきりしていた。
そっか、私は泣きたかったのか。

しばらくの間、画面を眺めた後、私は自分のページに戻り投稿ボタンを押した。
そして久しぶりに記事を書くと、1回だけ読み直した。

そう書いて公開ボタンを押すと、私はゆっくりパソコンを閉じた。
大きく吸って吐き出した息は新しい音色のようだった。

私は立ち上がり部屋の窓を開ける。

次のノートには何を書こうかな。
耳元を真新しい風が通り抜けた。

(このお話はフィクションです)


#夢相談室初企画