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私は、誰の上に立っているのだろう。|創作大賞感想

mahiroさんのエッセイ『父の終わらないペン先を辿る』を読んだ。

お父様の著書の言葉をそのまま引用されている部分から、当時の空気や重みが伝わって来た。一方で、その引用の多さが印象的で、どこか「お父様の物語」と「語り手であるmashiroさんの視点」の間を行き来するような、不思議な読後感も残った。

mashiroさんのお父様は、脳の手術を終えてから、数年かけて家族史を書き上げた。その中でも印象に残ったのは、お父様に大きな影響を与えたご祖母様の存在だ。養蚕に励む様子が、いきいきと描かれている。経済観念のしっかりしたお祖母様だったらしく、財産についてのお祖母様の行動にはたくましさすら感じる。ただの回想ではなく、「生き方」が刻まれているように感じた。

また、お父様の人生には、常に「死」が隣り合わせにあったようだ。ヤエ子伯母、兄、弟。生涯を全うできなかった家族や親族への気持ちに、こちらの心の背筋が伸びる気がする。

私には、当たり前のことなのに、ずっと気づかないふりをしてきたことがある。それをmashiroさんはちゃんと掬い取っている。

自分がここにいるのは、顔しか見たことのない誰か、顔すら見たことのない誰かの人生の上にあるのだと思う。

自分には祖先がいるのに、そのことがつい抜け落ちてしまう瞬間がある。今、私が生きているのは、両親やもっと前の先祖たちが命のバトンを繋いでくれたからだ。顔も知らない誰かと私の人生は、繋がっている。mashiroさんのこの記述を見て、ハッとさせられた。

お父様の著書は、実はまだ前編なのだそう。七万五千字の大作には、まだ続きがあるらしい。その続きが書かれる時間が、これからも穏やかに続いていくことを願っている。

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