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淡々と跳び続けた先に

子どものころ、縄跳びが大好きだった。

とはいえ、私は運動音痴である。あまりの酷さに心配した母が、小3まで体操教室に通わせてくれた。おかげで、器械体操だけは人並み以上にできるようになった。縄跳びも体操教室で教えてもらっていたので、同級生の中でも早いうちから二重跳びができた。ドッジボールなど他の運動だと自信なさげな風情を醸し出すのに、縄跳びの時だけは友達を引き連れて、張り切って運動場へ飛び出て行った。

6年生になったある日、学年全体の体育で二重跳び競争が行われた。引っかからずに長く二重跳びができた人の勝ちという勝負である。それを聞いて、思わず奮い立った。しかし、運動神経のいい男子から「お前が張り切ったところで大したことないけどな」と言われた。その男子は、勉強も運動もできて女子に人気の男子だった。ただ、性格だけは悪いヤツだった。そんなヤツに馬鹿にされたのである。

ホント、性格だけはサイテーだな。

人のやる気に水を差すような、余計な一言だ。周りの男子もそこに便乗して、「運動音痴のお前には負けないからな」といってきた。二重跳びに自信を持っていた私の心を燃やすには、十分な煽りだった。点火完了。「こいつら全員に勝ってやるからな」と闘志がわいた。

競争が始まった。もともと二重跳びが跳べない子が早々と脱落していく。煽ってきた男子も、最初で引っかかって下位に沈んだ。悔しそうな顔をして体操座りをする姿を横目に、淡々と続けた。

時間が経つにつれ、跳び続ける子が減っていく。それでも、「負けたくない」の一点張りで跳び続けた。斜め前を見ると、モテ系性悪男子も残っている。まだまだ。勝負はこれからだ。

座っている子がほとんどになってもなお、私と彼は跳び続ける。淡々と跳ぶ私に対し、彼は私をチラチラ見ながら必死に跳んでいる。どうやら、焦り出したようだ。ペースを崩さない私に対し、「やべっ」「嘘だろ」と言いながら跳び続ける彼。2人とも意地になって跳び続け、授業が終わる時間が近づいていた。

チャイムが鳴った瞬間、彼は「やっと終わった」と地面にへばりついた。しかし私は、チャイムが鳴ろうと跳ぶのをやめなかった。チャイムが終わっても涼しい顔で跳び続け、先生に止められた。

「はい、一番は空原さんです」

周りから拍手された。運動で一番になった経験がなかったので、踊りたくなるほど嬉しかった。でも、踊る体力は残っていなかったので、おとなしく喜んだ。その様子がクールに見えたのかもしれない。煽ってきた男子からは「カッコつけやがって」と言われたが、そんなのはただの負け惜しみである。拍手の音で消え去った。

モテ系性悪男子の方を見ると、拍手してくれていた。なので、そちらに向けて拍手を送った。彼の取り巻きの女子からは、何やら妬ましげな視線が送られた気がしたけど、お互いよく頑張ったと言う気持ちが大きくて気にならなかった。

ただ、その日は二重跳びで力を使い果たしたらしく、後の授業には全く集中できなかった。担任からは「頑張りすぎ」と言われた。

あの時絶対に負けないと跳んだことと勝負に勝ったことは、今でも私の支えになっている。あの日、息が切れても跳び続けたことは、今の私の中にある。だからこれからも、淡々と続ける。

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