【掌編小説】ダメと言われるほど
思えば私は、人から禁じられることばかりに手を出して、怒られる人生を歩んできた。
小さい頃は、水たまりに足を突っ込んではダメと言われた瞬間に、ご丁寧に長靴を脱いで右足を突っ込んでしまい、母にこっぴどく怒られた。家の中で食べ歩きをするなと言われたのに、歩きながらビスケットを食べ、カケラをこぼしてまた母に怒られた。
それだけではない。小学校で教室のカーテンを引っ張って遊んでいたら、誤って引きちぎってしまい、「カーテンで遊ばない」と担任の先生にも叱られた。しかも、カーテンの修繕代は親が負担したとか。この件では親からもきつく叱られた。
やってはいけないことは、わかっている。
しかし、ダメと言われるほどやりたくなってしまうのは性分のようだ。
そんな私が、恋をした。もう失敗しないと誓った矢先に、出会った。
彼の左手薬指には、指輪がある。
やめた方がいいと思った時には遅かった。
(410字)
今回も三題噺に参加できました。
《今週の三題噺》
1.食べ歩き
2.水たまり
3.カーテンで遊ばない
今回も難しかったです。
特に「カーテンで遊ばない」が厳しかった。
とても短い掌編小説にしてみました。
