焼き浸しが、わが家の夏になった
最近、SNS上によく焼き浸しが流れてくる。
あまりに多く見かけるから、気になって仕方がない。もともと夏野菜は大好きで、ラタトゥイユを作るのが定番だった。しかし、和食が多いわが家の食卓には、ラタトゥイユはあまりにも洋風すぎて浮いてしまうことがある。美味しくて大好きだけど、ラタトゥイユに代わる夏野菜のおかずはないだろうかとずっと思っていた。
そこに現れたのが、焼き浸し。前からあったのだろうけど、やっと私の鈍感アンテナに引っかかった。めんつゆをそうめんのつけつゆぐらいまでに薄めて、酒とみりんを少し足して沸騰させたのをつけ汁にする。そこに、油で焼いた夏野菜を詰め込んでいくだけ。5時間ぐらい冷蔵庫で冷やせば完成だ。なんと簡単だろうか。しかも味はめんつゆで決まるから、難しく考える必要がない。
さらにSNSを探していくと、人気があるのがズッキーニとナスのようだ。ジューシーなズッキーニとナス、考えるだけでヨダレが出てきちゃう。他には、ピーマン・オクラ・カボチャなども人気らしい。ただ、うちの好みからいくとオクラだ。3色あれば見栄えも栄養も満足できそう。
というわけで、わが家の焼き浸しにする野菜は、ズッキーニ・ナス・オクラに決定した。全部特売で安く入手できた。夏野菜バンザイ。
いそいそと切って、焼いては漬け込む。見た目だけで美味しそうだ。ガラスのタッパーに入れると、ていねいな暮らしをしている人っぽさが装える。映えるおかずを作ると、心が弾むものなのね。

オクラを焦がしすぎちゃったけど、きっと香ばしくて美味しいだろうな。冷えて食べごろになるのが楽しみだ。ワクワクしながら冷蔵庫へ。
夜、小鉢に取って食卓に並べると、中2長男が「美味しそう」と言いながら見に来た。ナスが好きな長男は、ツヤツヤのナスを見てうれしそうにしている。野菜がちょっと苦手な小6二男は、「何だこれ」と言わんばかりの顔をしている。
何はともあれ、実食。
トロトロのナスにつゆが沁みていて、とろけそうになった。口いっぱいにジュワッと広がるつゆとナスの味わいに、幸せな気持ちになる。ズッキーニはジューシーでほんのり甘い。油のコクと相まって、パクパク行けちゃう。粘りのあるオクラにも想像以上に味が沁みていて、おひたしとは違う味わい。焦がしすぎたと思ったけど、香ばしさがアクセントになって豊かな味わいになっている。これはいい。夫も「さっぱり食べれていいね」と太鼓判。
長男は「オクラが美味しい!」と喜んでくれた。ナスもいいけど、オクラが予想外に美味しいらしい。二男も文句を言わずに食べ切ってくれた。家族みんなにウケがいい。わが家の夏の定番が、またひとつ増えた。
と、ここまでが先週の話。
今週も焼き浸しを作ろうと、スーパーの特売へ向かった。一度ピーマンでも挑戦してみようかと思ったけど、子どもたちが断固反対したので、結局先週と同じ具材で焼き浸しを作ることに。ピーマンに罪はないのに。かわいそうなピーマン。いつか焼き浸しにしてあげるからねと、緑が眩しいピーマン売り場を通り過ぎた。
買ってきた材料を見ると、ナスだけが異様にデカい。そして、オクラが少ない。これはケンカになる。オクラ争奪戦が起きる。争いの気配を感じながら、キッチンに向かった。
どうか平和に、焼き浸しを食べられますように。


