AIに支配された未来の、想像できないゲーム|創作大賞感想
みくまゆたんさんの作品を読んだ。
「近未来型サバイバル逃走ゲーム」という言葉が斬新で、プロローグだけ読むつもりが、全話を読んでしまった。
舞台は、2035年の東京・渋谷区。プロローグを読むと、人の気配が感じられない街並みだと感じられる。無数のドローンが飛ぶ中、警察によって逃走ゲームが開始される。逃げるのは、この物語の主人公・大塚。懸賞金は10億円。逃走期間は1年。ドローンやロボットを使って、どのような形でも捕まえればOKとのこと。
この話の不気味なところは色々ある。現代ならば大衆がいるはずの場所でも、人はいなくてドローンが飛んでいる。人間じゃないから、感情を読み取れない。中でも、警察が捕まえた犯人を釈放して逃走させるというところは、不気味さだけでなく、人間がAIに乗っ取られて判断力まで失ったかと思わせる。感情を疎かにするようになったこの世界で、逃走ゲームを「感情を揺さぶるコンテンツ」として、国民を試そうとする展開にあっけに取られる。さらに、逃走する犯人に懸賞金を決めさせる設定が狂っているけど、今までになく新しい展開だ。
AIとか近未来の話だから、もしかしたら人間味のない物語になっているかと思った。しかし、意外とそんなことはなかった。物語の途中、人間味を感じさせられるところがいくつかあった。ネタバレになるので言えないが、主人公・大塚の逃走中に起こる出来事や、事件の隠された真実には、人間らしさがまだ存在する。個人的には、「逃亡1日目」から「微かな希望」で起こる出来事に、心を抉られた。
さすがエンタメ原作部門なだけあって、毎話どこかにストーリーの山がある。
これ以上語るとネタバレしそうなので、短いけどこれぐらいにしておく。
果たして、大塚は逃げ切ることができるのか。
殺人事件の真実とは。
ぜひ本編で確かめていただきたい。
