春の妖精は祖母を想わせる:有珠善光寺
北海道伊達市の有珠善光寺を訪ねた。
有珠善光寺とは
826年,天台宗の僧侶 円仁(えんにん)が有珠を訪れて,阿弥陀如来像を安置したのが始まりと言われている。
1613年,松前藩主の松前慶広(まつまえ よしひろ)が如来堂を復興し,阿弥陀如来を安置して善光寺とした。
1804年,江戸幕府が建立した蝦夷三官寺(有珠善光寺,様似等澍院,厚岸国泰寺)の一つである。
有珠山の噴火も奇跡的に免れ,江戸時代の佇まいを今日に伝えている。

お参りをした後,お寺の裏手斜面に咲いているイチゲが,目に留まった。

花言葉「静かな瞳」
イチゲの花に導かれるように坂を上っていくと,キバナノアマナ,エゾエンゴサクが咲いていた。

花言葉「開運」

花言葉「妖精たちの秘密の舞踏会」
見晴らしの良いところまで来ると,今度はフクジュソウとカタクリの花を見ることができた。
フクジュソウは,「私を見て」と言わんばかりに,黄金色の花を輝かせ,カタクリは,ピンクの花びらを下に向けて,奥ゆかしく咲いている。

花言葉「永久の幸福」

花言葉「初恋」
帰りの道では,エンレイソウを見つけた。

花言葉「落ち着いた美しさ」
善光寺の裏山は,春の妖精と呼ばれる山野草が咲き誇り,見事だった。
山野草は,春に花が咲かせ,夏には枯れて休眠状態になり,翌春,花を咲かせる。
厳しい冬を乗り越えて,花を咲かせるその姿は,凛として美しい。
「よく咲いてくれたね。
ありがとう」
思わず手を合わせたくなる。
春の妖精たちとの出会いを楽しみながら,山歩きをしていたら,ふと祖母のことを思い出した。
祖母は,山野草と山歩きが大好きだった。
祖母が70代,私が20代のとき,一緒に岩手の早池峰山へ登った。
祖母はゴムシューズを履き,まるでバレリーナが踊るように早池峰山をかけ登った。
その姿に驚いた登山者に
「いやあ,お達者ですね」
と声をかけられると,祖母はにっこり笑って言った。
「早池峰の可愛らしい花を見ていると,楽しくなって自然に足が動くんです」
ところで,祖母には私を含めて5人の孫がいた。
クリスマスには,それぞれの孫へ本をプレゼントしてくれた。
ある年の私へのプレゼントは,サムイル・マルシャーク作「森は生きている」だった。
少女が,いじわるな継母に言いつけられて,吹雪の中,森へスノードロップを探しにいく話だったと記憶している。
今日は,物語のような吹雪ではなかったものの,洞爺湖の遊覧船が止まるほどの風の強さで,とても寒い一日だった。
けれども,春の妖精たちに会い,祖母との思い出をたどることができて,私の心の中は温かだった。
