ピアノを間違えたら、不登校の子が学校に通うようになった話
私は小学校で教員をしています。
今回と前回の記事では、アドラー心理学の視点から、誰にでもできる「簡単な勇気づけの方法」を紹介しています。
登校初日、その子は泣いていた
数年間、学校に来られなかった子がいました。 クラス替えをきっかけに、その子は登校を再開することになりました。
初日。母親に付き添われ、校長室に入っていったその子は、しくしくと泣いていました。
担任の発表前でしたが、私はその子のそばに行って、そっと声をかけました。
「待ってたよ。」
その子は、涙をぬぐいながら、少しうなずいてくれました。
間違えたピアノが、生んだ笑顔
翌日。音楽の授業で、私は校歌の伴奏を弾くことになりました。
もともと、ピアノがあまり上手ではない私は、「先生はあまりうまくないんだけど……」と前置きして、弾き始めました。
やっぱり途中でミスしてしまって、音が思いきり外れてしまいました。
私は、下をペロッと出して「間違えちゃった」と伝えると、教室は一気に笑いの渦に包まれました。
そのとき——その子が、声をあげて笑ったんです。
登校してから初めての笑顔でした。
それから、その子は毎日学校に来るようになりました。
勇気づけって、完璧じゃなくてもいい
アドラー心理学でいう「勇気づけ」とは、 “困難を乗り越える活力を与える関わり”のこと。
私のピアノのミスは、偶然の出来事だったけれど、 「ここでは、間違えても大丈夫なんだ」と感じてもらえるきっかけになったのかもしれません。
勇気づけって、特別なことじゃなくていい。
たった一度のミスが、誰かの心を少しだけほどいてくれることもあるのです。
