家からスーパーまでの距離が遠いと、糖尿病リスクが高くなる
📖 文献情報 と 抄録和訳
スーパーマーケットへの近接性と高血圧、糖尿病、CKDのリスク:レトロスペクティブ・コホート研究
📕Garg, Gaurang, et al. "Supermarket Proximity and Risk of Hypertension, Diabetes, and CKD: A Retrospective Cohort Study." American Journal of Kidney Diseases (2022). https://doi.org/10.1053/j.ajkd.2022.07.008
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[背景・目的] 食料へのアクセスが悪い環境で生活することは、慢性疾患のリスクを高める可能性がある。我々は、米国の大都市圏において、最寄りのスーパーマーケットまでの世帯距離(食料へのアクセスの指標として)と高血圧、糖尿病、慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)の発症率との関連性を調査した。
[方法] レトロスペクティブ・コホート研究。イリノイ州シカゴの7つの医療機関の電子カルテを含むHealthLNK Data Repository内の、ベースライン時に高血圧、糖尿病、CKDを持たない777,994人が対象。対象者世帯と最寄りのスーパーマーケットとの郵便番号レベルの平均距離。アウトカムは、ICD-9コードおよび/または140/90 mm Hg以上の血圧、6.5%以上のヘモグロビンA1c、60 mL/min/1.73m2未満のeGFRの存在に基づく高血圧、糖尿病、およびCKDそれぞれの発生率。最寄りのスーパーマーケットまでの平均距離は、シカゴの56の郵便番号の街路レベルの指標から集計した。2006年に高血圧,糖尿病,CKDに罹患していない患者について,郵便番号ごとに2007~2012年の累積罹患率を算出した。二変量局所空間関連指標(BiLISA)マップおよび二変量局所モラン I 統計を用いて、食物アクセスおよび疾患発生率の空間解析を行った。スーパーマーケットへのアクセスと転帰の関係は、ロジスティック回帰を用いて分析した。
✅ この研究におけるスーパーマーケットまでの距離の定義
・各郵便番号のスーパーマーケットまでの平均距離を用いて、郵便番号を三分位に分類した(1/3が最も距離が短い)。
・2/3および3/3の郵便番号のスーパーマーケットまでの平均距離はそれぞれ0.73マイルおよび1.23マイルであり、USDAの低アクセス都市環境の基準に合致していた。
[結果] 777,994人の参加者のうち、408,608人が高血圧を、51,380人が糖尿病を、56,365人がCKDを発症していた。スーパーマーケットまでの平均距離と高血圧および糖尿病の発症率との間には、有意な空間的重複がみられたが、CKDの発症率はみられなかった。スーパーマーケットまでの平均距離が長く、高血圧と糖尿病の発症率が高い郵便番号は、南部と西部の地域に密集していた。近隣要因(郵便番号レベルの人種構成,車へのアクセス,中央値収入)のみで調整したモデルでは,郵便番号レベルのスーパーマーケットへの平均距離と慢性疾患発症率との間に有意な関連性が認められた。
1/3(最短距離)に対する2/3および3/3のORはそれぞれ、糖尿病では1.27(95%CI、1.23-1.30)および1.38(95%CI、1.33-1.43)、高血圧では1.03(95%CI、1.02-1.05)および1.04(95%CI、1.02-1.06)、慢性腎不全では1.18(95%CI、1.15-1.21)および1.33(95%CI、1.29-1.37)であった。近隣および個人の共変量で調整した後も,スーパーマーケットまでの距離は,糖尿病のより高いオッズおよび高血圧のより低いオッズと依然として有意に関連していたが,CKDとの有意な関連は認められなかった。
[結論] イリノイ州シカゴでは、スーパーマーケットの近接性と高血圧、糖尿病、CKDの発症率に有意な格差がある。スーパーマーケットへのアクセスと慢性疾患との関係は、個人および近隣レベルの要因でほぼ説明される。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
スーパーマーケットまでの距離が遠いほど、疾病リスクが高くなる
個人的にこの結論に対しては、2つの仮説をもっている。
1つは、身体活動量の立場から。
スーパーマーケットまでの距離が近ければ、徒歩での移動が増えることが推察される。
そのため、身体活動量は向上し、疾病リスクは低くなるのではないだろうか。
2つ目に、食料の買い方の立場から。
スーパーマーケットから遠い場合には、買い物の頻度が「落ちる」ことが推察される。
遠いから、一気に1週間分買っちゃおうよ、という感じで。
すると、どうなるか。
家には、たくさんの食料が置いてある状況となる。
これは個人的にも当てはまるのだが、食料があると「食べてしまう」のだ。
食べてしまえば、糖尿病やその他疾病リスクが高くなることは頷ける。
何にしても、僕たちの行動は思った以上に「環境」がつくっているということだ。
だからこそ、まず望ましい環境を選択することや、逆に環境からつくってしまう、という視点を持ちたい。
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