理学療法×心理学。PTはメンタルヘルス専門家であるか?
📖 文献情報 と 抄録和訳
自殺の防止:理学療法士の労働力を動員する時
📕McGrath, Ryan L., et al. "Preventing Suicide: Time to Mobilize the Physical Therapist Workforce." Physical therapy 103.11 (2023): pzad116. https://doi.org/10.1093/ptj/pzad116
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable
[レビュー概要] 毎年、46,000人のアメリカ人を含む約700,000人が自殺によって亡くなっているが、それ以上に多くの人々が自殺念慮や自殺行動を経験している。歴史的に、自殺予防は主に精神保健の専門家の領域であった。このアプローチの問題点は、自殺念慮を経験した人の多くが、その思いを精神保健の専門家に打ち明けることがないということである。非専門家や準専門家のメンタルヘルス運動は、自殺予防を必要とする人々が助けを求めるのを待つのではなく、自殺予防を必要とする人々に自殺予防を提供することを目指している。非専門家や準専門家によるメンタルヘルス運動は、メンタルヘルス専門家として認められていないが、自殺念慮や自殺行動を経験する人々と接する可能性のある人々をスキルアップすることによって、そうしているのである。本観点では、理学療法士が自殺予防に携わるのにふさわしい立場にあると主張する。例えば、疼痛管理に従事する理学療法士は、自殺念慮や自殺行動を経験するクライエントに頻繁に遭遇する可能性が高い。また、理学療法は身体的健康の専門職とみなされており、従来のルートでは接触が困難な自殺リスクの高い幅広い集団(例えば、農村地域の男性)と接触する可能性がある。理学療法士は、クライエントを適切なメンタルヘルスサービスにつなげる方法など、危機的な支援を提供する方法についてのトレーニングが必要であろう。しかし、理学療法士の労働力が世界的に大きいことを考えると、理学療法士の労働力を動員することの影響は大きい可能性がある。

理学療法士がこの領域で受けるトレーニングの欠如を考慮すると、理学療法士を「精神保健の非専門家」と表現するのが最善であるか、または「精神保健の準専門家」と表現するのが最善であるかは議論の余地がある。しかし、過去20年にわたる理学療法の研究により、心理学的情報に基づいた理学療法と呼ばれるアプローチを支持する証拠が増えつつある。これは、身体的障害に対処する標準的な診療と、精神病理学を診断・治療するメンタルヘルス診療の「中間」として説明されている。心理学的情報に基づく理学療法へのこのシフトに伴い 、理学療法士は、身体的健康と運動に関する既存の専門知識に加え、「メンタルヘルスにおけるパラプロフェショナル」に近づいている可能性がある。
✅ 心理学的情報に基づいた理学療法のエビデンス
①腰痛に対する心理学的情報に基づく理学療法の実施(📕Ballengee et al., 2021 >>> doi.)
②慢性筋骨格系疼痛に対する心理学的情報に基づく理学療法の実施(📕Keefe et al., 2018 >>> doi.)
③筋骨格系疼痛に対する心理学的情報に基づく理学療法の実施(📕Coronado et al., 2020 >>> doi.)
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
僕たち理学療法士は、身体(フィジカル)の専門家だ。
それを志して学校に入り、学校でもフィジカルの勉強をして、資格をとって、臨床現場に出る。
そうして、そこで気がつくのだ。
その世界(臨床現場)では、思った以上にフィジカルというよりはメンタルへの配慮が重要である、ということに。
だが、僕たち理学療法士は、メンタルヘルスについて、体系的に何かを学んできた人間たちではないはずだ。
過去の記憶をどう掘り返しても、教えられた経験はほとんどない。
そのために、理学療法士が持っているメンタルヘルスに関する情報のほとんどが、野性の知識だ。
『ストリートワイズ』という言葉がある。
都市の中で生活して行く上でそつなくやっていくための意識、経験を持っていること。
それは困難な、多くの場合危険な都市の環境での生き残りために必要とされる。
僕たちのメンタルヘルスに関する知識は、このようにして獲得されてきた。
学ぶために学んだ知識ではなく、まず必要性を強く感じて、経験に裏打ちされた形で自然に獲得、形成されてきた知識だ。
そんな僕たちは、メンタルヘルスの専門家といえるのだろうか。
わからない・・・。
だが、これから専門家に近づいていくべき職業であることは、確かだ。
理学療法士が臨床現場で患者と関わる時間は、その他の医療職と比較して、圧倒的に長い。
その長い時間を、メンタルヘルスの知的側面を持つ人間と過ごすことは、有益なことだろうと思う。
フィジカルのためのメンタルヘルス、ラポール構築のためのメンタルヘルス。
だけではなく、メンタルヘルスのためのメンタルヘルス、についての知識も学んでいきたい。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕理学療法×心理学
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) January 14, 2024
・メンタルヘルスは精神保健の専門家の領域
・だが,PTはメンタルヘルスが必要な患者に遭遇しやすい
・例. 疼痛を有する患者は自殺念慮や自殺行動を経験する可能性が高い
🔹“心理学的情報に基づいた理学療法” 実践する必要がある
重要な領域. 意識的に勉強する必要がありそうです😲 pic.twitter.com/nYRbpMpcJz
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