こども・母と娘・父と息子・母と息子
『すみません!ここはなに屋さんですか?』
作業の手を止め顔を上げると、男の子が居た。
『ここはね、宝くじ屋さんなんだよ〜』
『宝くじってなんですか?』
『宝くじっていうのは、お金が当たるクジのことなの』
『ボク500円持ってるけど買えますか?』
『こどもは買えないんだ〜 ごめんね〜』
『何年生?』
『3年!』
『どこに行くの?』
『体操に行って帰るところです』
『 あっ、ONE PIECEだ!ボク見てる!ONE PIECE見てますか?』
『見てるよ〜』
ONE PIECEの話が始まった。
好きなキャラクターのこと、テレビで見たことを懸命に話してくれる。
無垢なキラキラおめめ。
普段小学生と話す機会がないから新鮮だ。
『気をつけて帰ってね!』と言うと、
『はい!さよなら〜』と言って男の子は帰って行った。
最初と最後と質問は、ですます調で話すのに、アニメ話しに夢中になると普通に喋る。
そんな子どもらしい子どもとの愉快なひとときだった。
小学校低学年くらいの女の子。
『これ交換してください』スクラッチを手にしている。
周りを見渡すと親らしき人がいない。
『おうちの人はいますか?』
『いるけど、買い物してます』
『ごめんね、大人の人がいないと交換できないの』
『わかりました』
数分後、母娘が来た。
『一緒に来てますけど?ちょっと離れただけで、それでもダメなんだ?めんどくさいなぁ、子ども1人で来させるわけないじゃない!ったく時間ないのにさぁ』
MAX戦闘体制で一気に攻めてきた。
この手の対応としては、まず謝る、同調する、また謝る。
相手がヒートアップすればするほど、こちらのトーンを下げていく。
一言も反論してはいけない。
そして、顔芸も必須。これ大事!
これでほぼ収まる。
こちらに非がない場合、当然謝りたくはない。
が、しかし、日本のサービス業とはこんなものなので、謝り倒して、ま〜るく収めて、気持ちを切り替えて頑張る!
ニュースで、某国の丸々と肥えた父娘を見て思い出した父息子がいる。
たっくん(仮名)とパパ。
父親と行動を共にし、パパ!と呼ぶところと、垣間見える幼い仕草から、小学校の高学年と予想している。
父親似の貫禄ある丸々体型。
たっくんよりも、たっさん!こっちの方がしっくりくる。
このパパ、たっさんが可愛くて仕方ないみたい。
『たっくんどうするの?数字今日はどれにするの?』
数字を考えているたっさんのぷくぷくほっぺをツンツンしたり、頭をなでなでしている。
そんな父親は、購入となると人が変わり、仏頂面になるからあら不思議!
無言で、小さく折り畳んだ千円札と申し込みカードを放り投げてくる。毎度このパターン。
たっさんに目を向けてみましょう。
(あなたのパパの態度、これってどーよ?)
父親の振る舞いに違和感や恥ずかしいと思う様子もなく、カウンターに頬杖ついて、支払いが終わるのを待っている。
ならば、こちらもゆーっくりと、不必要に折り畳まれた千円札を開いて、手でシワを伸ばしちゃったりしてみる。
(たっさん、頬杖ついてジッと見ているけど、君はなにか感じ取りませんか?大人になったら君もパパみたいにお札を不必要に折り畳むのかな?)
購入が終わると父親は、たっさんの肩を抱いて『行くぞ!』
と言い、息子の肩を揉み揉みしながら街中に消えて行った。
『ぜーったい、大当たりしませんよ〜に〜』
と心の中で祈った。
中学生くらいの子どもと母親。
『あ!スクラッチ売ってるよ!買う?』
返事をしない息子。
母親が『ねぇねぇ、買ってみようよ!』と言っても黙ったままの息子。
(思春期だね!親と一緒にいるところを誰かに見られたら恥ずかしい!とか?お年頃だよね)
『お母さんスクラッチ買っちゃおっかな〜』
少しだけおどけた調子で母親が言った。
『よろしければ、お好きな番号をどうぞ!』
息子の方に言ってみた。
スクラッチは番号を付けて吊るしてある。
母親が『選べるんだって!ほら!何番にする?』
息子はすぐには答えない。少し間を置いてから『4で』とぶっきらぼうに言った。
カウンターの端で親子が削っている。
『あっ!千円当たったよ!すごーい!すごいね!ね!?』
母親の少し大袈裟な言い方は、息子との時間を盛り上げようとしているふうに聞こえた。
息子の顔がちょっとだけ笑顔になっている。
母親が『この千円で、違うの買ってみようよ!』
頷く息子。
『じゃあ今度は何番にしますか?』
と聞いてみると、さっきよりは明るい声で
『じゃあまた4で!』
『4が好きなんですか?』
『なんか、4て、嫌われる数字じゃないですか。だから4にします!』
『やだぁ、この子ったら、ねぇ?変なこと言ってぇ』
母親の言葉に頷く私。
キュンキュンしゃうじゃーーん!
いいね〜!かわいいよ息子君!
思春期らしい捻た捉え方がいい!
それでいいのよ息子君!
こんな時期を経て、人は大人になっていくのよね〜!
私と母親は目配せしながら微笑んだ。
読んでいただきましてありがとうございます!
長くなっちゃった〜
