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unlimi
早朝のコンビニ
早朝のコンビニは、店内の照明だけがやけに明るくて、ガラス越しの道路の気配がまだ眠っているみたいだった。
私はパンを買うだけのつもりで入ったのに、レジ前はもう混み合っていて、袋を提げた人たちの足音だけがリズムよく響いている。
「いらっしゃいませ」
店員さんの声も小さく速い。理由は見えないのに、みんな目的だけははっきり伝わってくる。
棚でいつものパンを取ろうとして、ふと今朝の気分は少し違う気がして、チョコが挟まったロールパンにした。いつもより甘くて、寝起きの喉にもやさしそうなやつ。
私は化粧もせず、マスクをしてほぼ寝起きの格好でパンを抱え、レジへ。
若い店員さんの黒い爪が目に止まった。細い指にマニキュアがきらりと光り、パンを扱うその指先を思わず目で追ってしまう。
その瞬間、自然に声が出た。
「そのマニキュア素敵ね」 店員さんは嬉しそうに、少し照れた顔で返す。
「そうでしょう。可愛いですよね」
その素直さが爽やかで、まるで朝の心地よい風が頬をなでるみたいだった。その言葉を聞いた途端、胸の奥に残っていた「うまく始まっていない朝」みたいな感覚が薄れていく。たぶん自分の表情も、マスク越しに少し緩んでいた。
たった一言のやりとり。
それだけで、早朝にコンビニへ向かう面倒な気持ちはすっかり消えていた。
