🎤フォークギターから始まった、音楽を聞きながら過ごした64年間🎤
気づけばもう64歳。
若い頃は「60代なんてずっと先の話」だと思っていたけれど、振り返ってみれば、音楽と共にあっという間に駆け抜けてきたような気がする。
今でも時々、昔弾いていたフォークギターを取り出して、ポロンと鳴らす。
その音が鳴った瞬間、少年だった自分がふっと顔を出すのがわかる。
音楽との出会いは小学生の頃だった。
兄が持っていた古いフォークギター。
ボディには小さな傷がいくつもあって、弦もサビていた。
でも、そのギターを初めて手に取った日のことは、今でもはっきり覚えている。

うまく音なんて出せなかったけれど、弦をはじいたときの「ビーン」という響きに、なぜか心が惹かれた。
あの頃はテレビやラジオからフォークソングがよく流れていた。
吉田拓郎、かぐや姫、井上陽水……どの歌にも、時代の風と人の想いが詰まっていた。



意味なんて深く考えていなかったけれど、彼らの歌を聴いていると、自分の中にも何かが燃え上がるような感覚があった。
真似してコードを押さえてみたり、ノートに歌詞を書き写したり――そうやって少しずつ音楽にのめり込んでいった。
高校生の頃には、フォークギターからエレキギターへと興味が移っていった。
仲間とバンドを組んで、文化祭で演奏したのが懐かしい。
あの頃は機材なんてろくに揃っていなかったけれど、アンプから鳴る音が自分たちの世界を広げてくれた。
放課後の音楽室で、何度も同じ曲を練習して、うまく音が合った瞬間にみんなで笑い合った。
あの時間が、人生の中で一番「生きてる」と感じた瞬間だったかもしれない。
社会人になってからは、ギターを弾く時間は減った。
仕事、家庭、子育て――音楽は少し遠くに感じる時期もあった。
それでも、心のどこかではずっとギターの音が鳴っていた。
仕事で疲れた夜に、静かに一本のギターを手に取り、昔のフォークソングを口ずさむと、不思議と気持ちが整った。
音楽は、いつも僕の心を支えてくれる小さな灯のような存在だった。
50代の終わりごろ、久しぶりにウクレレを手にした。

ギターよりも軽くて、音も柔らかい。弦を鳴らすたびに、心がほぐれていくような気がした。
ウクレレを弾きながら、若い頃の自分を思い出す。勢いだけで突っ走っていた20代、迷いながらも前を向いていた30代。
どの時代にも音楽が寄り添っていた。
今の僕にとって音楽は、「夢中になる対象」というより、「日々を彩る友達」のような存在になっている。
最近は孫が遊びに来ると、ウクレレを弾いて一緒に歌うこともある。
まだ小さな手でリズムをとる姿を見ていると、「音楽の楽しさって、世代を超えて伝わるものなんだな」としみじみ思う。
僕が兄からギターを受け取ったように、いつか孫も音楽を好きになってくれたら嬉しい。
64歳になっても、ギターを弾くと心が若返る。
指は昔のようには動かないけれど、音の一つひとつが深く、優しく感じられる。音楽は不思議だ。
上手くなろうと頑張るよりも、年齢を重ねるほど「音を味わう」ことのほうが大切になる。
今は、弾くたびに「この音と生きてきてよかった」と心から思える。
人生を振り返ると、ギターや音楽がいつもそばにあった。
悲しいときも、楽しいときも、音楽が僕を支えてくれた。
これから先、どんなに歳を取っても、ギターを手に取って一曲弾ける自分でありたい。
音楽は、若さを取り戻す魔法のようなものだから。
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