【国内最大級】NTTデータのAI戦略から学ぶ、企業が今すぐ取り組むべき生成AI活用術
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はじめに
生成AIの波が産業界を大きく変えようとしている今、日本を代表するIT企業であるNTTデータが、どのようにAI技術を活用し、ビジネス変革を推進しているのか。その戦略を紐解くことで、あなたの会社でも実践できるAI活用のヒントが見えてくるはずです。
私自身、ITエンジニアとして13年間の経験を積む中で、VBAによる業務自動化から最新のAI技術まで、さまざまな技術革新を目の当たりにしてきました。その経験から言えるのは、「技術を理解し、適切に活用できる企業こそが、次の時代を勝ち抜く」ということです。
NTTデータは2025年5月にOpenAIとの戦略的提携を開始し、2027年度末までにOpenAI関連ビジネスで累計1,000億円規模の売上を目指すという、壮大な目標を掲げています。この記事では、同社のAI戦略の核心に迫り、中小企業から大企業まで、あらゆる組織が参考にできる実践的な知見をお伝えします。
NTTデータのAI戦略の核「SmartAgent™」とは
AIエージェントが変える働き方
NTTデータが推進するAI活用の中心にあるのが「SmartAgent™」というコンセプトです。これは単なるチャットボットではありません。利用者の指示に応じて、AIエージェントが自律的に対象業務のタスクを抽出・整理・実行するという、次世代の業務自動化システムです。
具体的には、パーソナルエージェントが複数の専門性を持った特化エージェント(法務、経理、人事、マーケティングなど)と連携し、業務プロセス全体を最適化します。これにより、人間は付加価値の高い創造的な業務に集中でき、ルーティンワークはAIに任せるという、理想的な働き方が実現します。
私もバックオフィス業務でVBAを活用して業務効率化を進めてきましたが、SmartAgent™のようなAI駆動型の仕組みは、プログラミング知識がない人でも高度な自動化を実現できる点で革新的です。
三つの重点適用領域
NTTデータは、AIの重点的な適用領域として以下の三つを定めています。
1. 顧客接点領域 コールセンターや窓口業務を対象に、顧客応対の正確性と満足度を向上させます。チャネルの多様化に伴う課題を解決し、一貫性のある顧客体験を提供します。
2. 業務高度化領域 審査部門、マーケティング部門、人事・財務・購買などの共通業務を対象に、オフィス業務の効率化と判断の均一化を実現します。これにより、コスト低減と付加価値の創出を両立させます。
3. 複合高度分析領域(社会基盤領域) 工場、交通、医療などの社会インフラを対象に、AIとIoTを連携させた予測、予知検知、自動化を実現します。エッジコンピューターとクラウドを協調させることで、リアルタイムな分析と制御を可能にします。
OpenAIとの戦略的提携がもたらすインパクト
ChatGPT Enterpriseの日本初の販売代理店に
2025年5月、NTTデータはOpenAIとグローバルでの戦略的提携を開始しました。この提携により、NTTデータはOpenAIの日本初の販売代理店として「ChatGPT Enterprise」を提供することになりました。
ChatGPT Enterpriseは、個人向けChatGPTとは異なり、企業のセキュリティ要件を満たすように設計されています。入力されたデータはOpenAIの学習に使用されず、SOC 2 Type 2に準拠したセキュリティ、エンドツーエンド暗号化、SAMLベースのSSOなど、企業が安心して利用できる環境が整っています。
さらに、日本国内のリージョンにデータが保存されるため、データローカライゼーションの要件にも対応しています。
OpenAIアクセラレーションプログラムの展開
NTTデータは、大手企業100社を対象に「OpenAIアクセラレーションプログラム」を提供しています。このプログラムでは、専門人材がユースケース創出支援から導入、活用までを一貫してサポートします。
特に注目すべきは、NTTデータ自身が国内外のグループ会社を含め、幅広い社員にChatGPT Enterpriseを導入している点です。実際に社内で活用し、週間アクティブユーザーが9割以上という高い利用率を達成しています。この実践から得たノウハウを顧客企業に還元することで、より実効性の高い支援が可能になっています。
OpenAI Center of Excellenceの設立
顧客の生成AI活用文化の醸成を支援するため、NTTデータは専門組織「OpenAI Center of Excellence(CoE)」を新設しました。この組織は、OpenAIとの緊密な連携を通じて、最新の技術動向やベストプラクティスをいち早く顧客へ展開する役割を担っています。
具体的なAIサービス事例
LITRON® Sales - 営業領域の生産性向上
2024年11月から提供が開始された「LITRON® Sales」は、営業領域を対象としたAIエージェントサービスです。データ入力作業、提案書準備、契約書作成、社内文書作成などのタスクを自律的に実行します。
営業担当者にとって、これらの事務作業は時間がかかる一方で、直接的な売上につながらないため、長年の課題となっていました。LITRON® Salesの導入により、営業担当者は顧客との関係構築や提案活動など、より付加価値の高い業務に時間を割くことができるようになります。
LITRON® Marketing - マーケティング業務を最大6割削減
2025年5月に提供が開始された「LITRON® Marketing」は、マーケティング業務を対象としたAIエージェントサービスです。ターゲット設定から施策提案まで、一連のマーケティング業務を支援し、最大6割の業務削減を実現します。
現代のマーケティング業務は、テクノロジーの進化や顧客接点の多様化に伴い、複雑かつ流動的な環境変化への対応が求められています。LITRON® Marketingは、こうした課題を解決し、効果的な施策の立案と実行速度を向上させます。
NTTデータは、LITRON® Marketingおよび関連サービス全体で、2027年度末までに累計100億円の売上を目指しています。
Lazarus AI - 業務特化型AIソリューション
「Lazarus AI」は、業務特化型AIモデルと安全な閉域環境を組み合わせた生成AIソリューションです。文書処理から知識統合・推論までを一括支援し、あらゆる形式から情報を正確に抽出します。
「どの文書に何があるか」を瞬時に特定し、企業の知識を整理し、普通の言葉での質問に根拠を示して回答する機能を持っています。閉域環境での生成AI活用に向けて、NTTデータが有するGPU基盤とデータセンターを活用し、システム設計から導入コンサルティングまでを一括で支援します。
実際の企業導入事例
東京ガス - マーケティング領域のDX推進
東京ガスでは、顧客接点が多様化することによるマーケティング業務量の増加が課題となっていました。NTTデータは、担当者と協力して既存業務を整理し、AIの適用が可能な部分を特定しました。
ターゲット設定から施策提案まで一連の流れを支援する「マーケティング施策用アプリ」を開発し、業務プロセス全体の効率化を実現しました。この事例は、業界大手企業でも生成AIの導入により、大幅な業務効率化が可能であることを示しています。
JAL - AIバーチャル顧客による施策導出
JALカードでは、「LITRON® Multi Agent Simulation」を活用し、利用傾向などから複数のAIバーチャル顧客を作成しました。AIバーチャル顧客同士の会話から、マーケティング施策に有効な示唆を抽出し、購買率を向上させることに成功しています。
この事例は、従来のデータ分析では見えにくかった顧客インサイトを、AI技術によって可視化できることを示しています。
大丸有エリア - AIチャットボットによる情報提供
大丸有協議会が開発を主導するマップアプリ「Oh MY Map!」内に搭載されたAIチャットボットでは、都市OSと連携して最新のエリア情報をリアルタイムに提供しています。イベント情報や飲食店情報などを的確に生成AIが案内し、エリアの利便性向上に貢献しています。
AIガバナンスへの先進的な取り組み
国内のAI戦略の変化
生成AIの登場により、日本のAI戦略は大きく変化しました。内閣府、総務省、経済産業省が連携して既存のガイドラインを統合し、生成AIなどの要素も追加した「AI事業者ガイドライン」が2024年4月に公開されました。2025年3月末には1.1版に更新され、AIガバナンス事例にNTTデータも掲載されています。
また、2025年9月1日には内閣府にAI戦略本部が設置され、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指す基本計画の策定が進められています。
AIガバナンス推進体制の整備
NTTデータは、AIガバナンス室やAIアドバイザリーボードを設置するなど、AIガバナンス推進体制を整備しています。これにより、安心・安全な生成AI活用を支援しています。
生成AIは便利さが強調される一方で、出力の真偽の問題、悪用の可能性、学習データや生成物に関する著作権などの権利の問題も指摘されています。こうした課題に対応するため、NTTデータは「説明可能なAI(XAI)」の研究開発にも取り組んでいます。
企業がAIを導入する際に学ぶべきポイント
1. 業務プロセス全体での活用を目指す
NTTデータのアプローチから学べる最も重要な点は、生成AIを単一の業務にとどまらず、業務プロセス全体で活用する視点を持つことです。メール作成や文書評価などの限定的なタスク支援にとどまるのではなく、業務フロー全体を見直し、AIが最も効果を発揮する領域を特定することが重要です。
私自身、バックオフィス業務でVBAを活用する際も、単一のタスクではなく、業務プロセス全体を見渡して自動化の範囲を決めていました。AIの場合も同様に、全体最適の視点が成功の鍵となります。
2. セキュリティとガバナンスを最優先に
企業でAIを導入する際、セキュリティとガバナンスは最優先事項です。NTTデータがChatGPT Enterpriseを選択した理由も、企業のセキュリティ要件を満たす設計になっているからです。
データの取り扱い、学習への利用有無、アクセス制御、監査ログなど、企業として必要な要件を事前に明確にし、それを満たすソリューションを選択することが重要です。
3. 自社での実践を通じてノウハウを蓄積
NTTデータが自社で先にChatGPT Enterpriseを導入し、高い利用率を達成した上で顧客支援を行っているという点は、非常に重要な示唆を与えてくれます。
AIツールは、実際に使ってみなければその効果や課題が見えてきません。まずは小規模でも良いので、自社の業務で実践し、失敗から学び、成功パターンを見つけることが、組織全体への展開につながります。
4. 段階的な導入と効果測定
いきなり全社展開するのではなく、特定の部門や業務から段階的に導入し、効果を測定しながら拡大していくアプローチが推奨されます。
NTTデータの事例でも、東京ガスのマーケティング業務、JALのバーチャル顧客分析など、特定の業務にフォーカスした導入から始まっています。成功事例を作り、それを横展開していくことで、組織全体のAI活用が加速します。
5. 専門家との協業
AI技術は日々進化しており、最新の動向をキャッチアップし続けることは容易ではありません。NTTデータがOpenAIと提携し、専門組織を設立したように、外部の専門家やパートナーとの協業を積極的に活用することが、効果的なAI活用への近道となります。
中小企業であっても、コンサルタントやSIerとの協業、業界団体での情報交換など、自社だけで抱え込まず、外部の知見を活用する姿勢が重要です。
まとめ - AI時代を生き抜くために
NTTデータのAI戦略は、単なる技術導入ではなく、ビジネス変革を見据えた包括的なアプローチです。SmartAgent™というコンセプトのもと、業務プロセス全体を最適化し、人間が付加価値の高い業務に集中できる環境を構築しています。
OpenAIとの戦略的提携により、最先端のAI技術をいち早く顧客に届け、2027年度末までに累計1,000億円規模という壮大な目標を掲げています。これは、生成AIが企業にとって「あれば便利なツール」ではなく、「競争力の源泉」になりつつあることを示しています。
企業規模に関わらず、今後はAI活用の巧拙が競争力を大きく左右する時代になります。NTTデータの事例から学べることは、技術を理解し、適切に活用し、ガバナンスを整備し、継続的に改善していくという、地道だが確実なアプローチの重要性です。
私自身、ITエンジニアとしてVBAによる自動化からAI・RPAの活用まで、さまざまな技術革新を経験してきました。その経験から言えるのは、「技術は道具であり、それをどう使うかが重要」ということです。NTTデータのAI戦略は、まさにこの本質を体現しています。
AIは人間の仕事を奪うものではなく、人間をより創造的な業務に解放するものです。この視点を持ち、自社の業務を見直し、AIが最も効果を発揮する領域を見極めることが、AI時代を生き抜く鍵となるでしょう。
あなたの会社でも、まずは小さな一歩から始めてみませんか。生成AIツールを試し、業務の一部を自動化し、その効果を測定する。そこから得た学びが、次の大きな変革への土台となるはずです。
