夏の甲子園 東西東京対戦は『強打の三高』がベスト4に
【〇日大三5ー3関東第一】
<序盤投手戦の様相もゲームは必ず動く>
●関東第一(東東京)の坂本慎太郎くんは、一回戦こそ133球の完投だったが、二回戦は継投策で投手としての消耗は少なく、170cm、65㎏の小柄ながら、投球フォームにも躍動感がある。立ち上がりから得意のカーブの落差は大きく、初回は無難な立ち上がりを見せた。3回まで「0」を並べて、強打の日大三(西東京)にノーヒットの好投である。対する日大三はエース近藤優樹くんが二回戦まで完投してきたが、思い切って甲子園初登板となる山口凌我くんを先発マウンドに送った。山口くんは先頭打者を内野安打で出塁を許し、その後死球を与えたが、動揺を見せることなくピンチを乗り切った。2回からは気持ちの落ち着きからか、投球テンポを上げて低目に制球し、3回まで37球無失点。序盤は投手戦の様相を見せてきた。しかし4回表、日大三は打者二巡目から上位打線が坂本くんのカーブを捉え始めた。無死1.2塁から4番田中諒くんは強攻策で深いセンターフライ。アウトになっても“怖さ”を印象付けた。そして早くも5番打者に代打豊泉悠斗くんを送る仕掛けを見せ、見事タイムリーヒットで先制した。さらに二死1.3塁から竹中秀明くんが初球のストレートを痛打し、2点タイムリーヒットとなった。
<動きはじめたゲームは簡単には落ち着かない>
指示で成功。両チームのカラーがそのまま出た攻防になった。関東第一は自分たちのゲーム運びでしっかり1点を返した。ここで、日大三はエース近藤くんをマウンドに送った。近藤くん得意のインコースへの配球に対し、関東第一も打席位置の対策を立て、チャンスを拡大した。一死1.3塁から一塁ランナーに代走を送り関東第一も仕掛ける。藤江馳門くんの浅いライトライナーとなったが、日大三の送球ミスの間に、三塁ランナーが帰り1点差とした。坂本くんは投球を修正してペースを完全に引き込みたいところだが、5回表先頭打者にヒットを許すと、今度は関東第一に外野からの返球ミスがあり1点を追加され、前の打席で雰囲気を出していた4番田中くんがキッチリ捉えてレフトスタンドに運んだ。大会中に「増量」した180cm、96㎏の主砲は恐るべき2年生だ。5回裏の関東第一は簡単に二死となったが、大沢歩夢くんが俊足を飛ばして内野安打で出塁するとすかさず盗塁。坂本くんのタイムリーで日大三に流れを渡すことなくクーリングタイムを迎える。
<ゲームはクーリングとは言えずとも、後半スコアは「0」>
●6回表、坂本くんは右打者への外角一辺倒のカーブを狙われる。日大三は送りバントで追加点を狙うが、関東第一は内野の好守備からチャンスの芽を摘み、「何とか」3イニングスぶりにスコアボードに「0」を付けた。日大三も同様に「何とか」スコアボードに「0」を付けた。関東第一は7回表、坂本くんが同じ左腕の松澤琉真くんにマウンドを譲り、松澤くんは先頭打者を出したもののセカンドライナー併殺チェンジで「0」。守りで流れを呼びたいところだが、日大三の近藤くんも1番から始まる攻撃を守りの援護も受けながら「0」を継続した。8回松澤くんの「背面キャッチ」も出て「0」。2点差を追う8回裏の関東第一は、先頭打者が出塁すると徹底して強攻策。全員野球で二死満塁のチャンスを作ったが、代打井口瑛太くんは一塁ゴロに倒れてスコアボードに「0」を並べた。9回裏、関東第一はチームを引っ張った坂本くんが最後の打者となり、京都国際に続き、昨夏の優勝、準優勝チームが甲子園を去る。
<まとめ>
ヒット数では関東第一が強力打線の日大三を上回ったが、「破壊力」では日大三が上回る印象だった。関東第一の坂本くんは右打者への配球が単調になったところがあった。インサイド攻めが抑えるポイントとなろうが、左右の違いがあるとはいえ、9回表に三番手の石田暖瀬くんがインサイド攻めで松岡翼くんの頭部に死球を与えるなど、高校生にとって打者の体近くへの投球は高い技術が要求される。日大三は坂本くんの配球にしっかり対応し、中でも田中くんの強打は圧巻だった。準決勝、決勝と打者優位となる中、「夏は打たないと勝てない」の格言?通り、『強打の三高』が三度深紅の大優勝旗を手にするのか。昨年準優勝校を下した力からその可能性は十分現実味を帯びてきた。
