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自分には価値がないと思っていた僕を、友人の一言が救った夜

10年前、僕がまだサラリーマンだった頃。

仕事でミスをして、

「自分なんてダメだ!情けない」

そう落ち込んでいたある日の夜、
友人から電話がかかってきた。


「もてちゃん!明日飲みに行かない!?」



翌日。

二人でお酒を飲みながら、
たわいもない話をして笑った。

すると突然、彼が言った。


「俺ってやっぱり凄い男かも!?」


どうやらお酒が回ってご機嫌らしい。

僕は笑いながら答えた。


「君は本当に凄い男だよ。」


彼は僕と違って優秀だった。

仕事もできる。
ユーモアもある。
人を楽しませるのが上手い。

優しいし、彼女もいる。

僕は、そんな彼を尊敬していた。


それに比べて僕はどうだろう。


仕事ではミスばかり。

自信もないし、彼女もいない。

正直、羨ましかった。

だから素直に思っていた。


「君はなんでもうまく出来るもんな。

ユーモアもあって周りを楽しませて。

本当に凄い男だよ。」


すると彼は首を横に振った。


「違う違う!」


そして真顔で言った。


「俺が本当に凄いと思うのは、
もてちゃんが凄いからだよ!」


「はぁっ!?」


僕は思わず声が出た。

すると彼は笑いながら続けた。


もてちゃんと話してると楽しいんだよ。

そんな友達がいる俺って凄くない!?」


僕はさらに驚いた。


「いやいや!俺のほうが楽しませてもらってるから!

君のほうが凄いでしょ!」


すると彼は大笑いしながら言った。


「なら、もてちゃんはやっぱり凄いやつだよ!

そんな凄い男を楽しませられるんだから!」


そして満面の笑みで続けた。


「凄い男から凄いって言われる俺も凄いし、

そんな俺を楽しませるもてちゃんも凄い!」


その瞬間。

僕は衝撃を受けた。


今までずっと、
自分には価値がないと思っていた。


仕事もできない。
自信もない。
特別な才能もない。


でも、

そんな僕と一緒にいて、楽しいと思ってくれる人がいる。


彼は何度も言った。


「もてちゃん!

俺はめちゃめちゃ凄い!

だって、こんな凄い男と飲めるんだから!」


そして最後にこう言った。


「だから、もてちゃんも凄いんだよ!」


僕は深く息を吐いた。

そして彼の顔を見た。

その無邪気な笑顔が嬉しかった。

だから、その言葉を受け取ることにした。


めちゃめちゃ凄いこの男が言うんだから、
きっと本当なんだろう。


一気にお酒を流し込んだ。


熱くなる目頭をギュッと閉じる。


そして僕は叫んだ。


「俺たちは凄い!!」




今振り返ると思う。

人は、自分の価値を自分では見つけにくい。

できないことや足りないものばかり見てしまうから。


でも、

自分では当たり前だと思っていることが、

誰かにとっては宝物みたいな価値になっていることがある。


だから僕も、

自分を大切に思ってくれる人の言葉を信じてみる。


あの日の僕は、

友人の言葉の力で、

少しだけ自分を好きになることができた。


そして今も思う。

僕たちは、自分が思っているよりも、

ずっと凄い。







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