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【創作裏話】『復讐の王子アムレート』に寄せて

 『黒青石の王女イリア』を書き終わったら、正直もう小説を書くつもりはありませんでした。

 しかし、あることをきっかけに『復讐の王子アムレート』という続編が誕生しました。
 情熱だけで書いたと言っても過言ではないけど、とりあえず書き終えられて良かったと思ってます!

 これはこれで、前作と対になる作品として面白いかも、ということで投稿しようと思います。

 今回は、そんな『復讐の王子アムレート』(改題前は『魔法使いの血~あなたを忘れないための物語~』でした)の創作裏話です。(裏話なのに結構重い内容なので、気をつけてください)


①創作のきっかけは『果てしなきスカーレット』

『黒青石の王女イリア』を書き終える辺りから、「王道ど真ん中になってしまったなあ……」という後悔がありました。しかし、この物語の方向性を途中から変える訳にもいかず、王道のまま終わらせました。

別案として、「イリアがオリバーとマーシャルを王子として王宮へ招くけど、いざこざが起きて結局二人を王宮から追い出す」、という展開も考えていたのです。しかし、なんか違うなあと思ったまま悶々としていました。

そんな時、『果てしなきスカーレット』をレビューする動画を偶然目にしました。

しかし、どの動画も基本的には酷評動画。。

その時、この映画はシェークスピアの『ハムレット』を下地にしているということを知りました。

その時は、「そうなんだ~」くらいしか思っていませんでした。が、いろいろなレビュー動画を見ていて、「自分だったら、ここ使うな」「自分ならこう解釈するな」というのが出てきました。

私は『ハムレット』をちゃんと読んだこともなく、あらすじすら知りませんでした。要約動画なんかも見ましたが、やはり原作が読みたい!

そこで、早速Amazonでポチって本を購入。早速読み始めた訳ですが、、

これが想像以上に面白い!

こんな格好いい古典がイギリスにあったなんて、すごすぎ。しかも史実を元にしている。

「シェークスピア、あんた、いいところに目を付けたじゃないか」

って本気で思いました。
シェークスピアの作品の中でも『ハムレット』は人気作といわれてますけど、わかる!!

だって、ハムレット格好いいから!!

キャラクターの台詞が、いちいち格好いいんです。名言のオンパレード。

『ジョジョの奇妙な冒険』並みに名言しかない。いや、もしくはそれ以上に。

私が好きなのは「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と「尼寺へ行ってしまえ」。二つとも、言い方は変えましたが、『魔法使いの血』に入れてます。

Amazon musicにあるオーディオブックの『ハムレット~騎士ホレイショーが語る王子の物語~』も最高にかっこよかった。

これは、ちょっとだけ独自の解釈が加わっていて、原作にはないキャラがいたり、展開がちょっと違ったりするんですが、でもこれ、私好きです。

ハムレットの役が石田彰なんですけど、まあ、さすがというか、格好いいんですよ。(私、ずっと「格好いい」しか、書いてないな)

このオーディオブックを聞いて、『アムレート』を書く時も、ホレイショーを語り手にすべきか結構悩んだのですが、視点が偏るし、主人公の内面が書けないので止めましたが。(でも、最後だけちょっとあります!)
それくらい面白かったし、ホレイショーの重要性がわかるお話になってます。

俳優の世界では、男性俳優は一度はハムレットを演じたいと思うみたいですね。
うん、わかる。やりがいがあると思うよ。
しかも、ハムレットは格好いいからね。
大体イケメン俳優がやるみたいですね。

②『ハムレット』を下地にするなんて、おこがましい!

しかし、この『ハムレット』を下地にするにあたり、私の中で一瞬迷いが生じました。

「こんなに素晴らしい作品を、プロでもない素人が、下地にして書いていいんだろうか?失礼じゃないのか?」

という迷い。。

デンマークまで行って、ハムレットのモデルになった王子の墓参りでもした方がいいんじゃないかと、ちょっと思いました。
まあ、無理だけど。
気持ち的にはそれくらいでした。(『リア王』のときは、そんなこと微塵も思わなかったのにな)

結局『ハムレット』を下地にして書いた訳なんですが、前作にしろ、今作にしろ、私シェークスピアとご縁でもあるのかな?(笑)英文科出身でもないのに。

③登場人物の名前のこだわり

登場人物の名前は『ハムレット』から取りました。

アムレートという名前は、ハムレットの元になった名前の一つに「アムレート」というのがあったので、そこから。

ホレイショーは、そのまま。

トゥルーディは、『ハムレット』だとガートルートという名前です。ガートルートの名前の愛称が「トゥルーディ」ということがわかったので、こちらを採用。

ノルウェンは、オフィーリアです。「オフィーリア」という曲を出している歌手がいて、その人の名前がノルウェンだったので、同じにしました。

名前を変えた人たちは、なぜそうしたかというと、元の名前があまりにもインパクトが強すぎるからです。私の物語にするためには、少しぼやかさないと、と思っているのでいつもちょっと変えてます。

ただ、ホレイショーだけは、「語り部」であるという印象はそのまま残したかったので、変えませんでした。

④バーガンディというキャラクターが残した未練

以前、『黒青石の王女イリア』の創作のいきさつの記事でも書きましたが、バーガンディというキャラクターをイメージするために『Jesus christ superstar』の「Gethsemane」という曲を聴いていました。

『黒青石の王女イリア』を書き終わった後も、いい曲だったんで聴いていたんです。
そしたらこの曲の歌詞に「why I should die?」というのがあって。

https://youtu.be/ZaUtSE2yWc8?si=ZXiav1_EkLsh0LOj


本来はイエス・キリストが処刑される前に歌う曲なんですが、私はバーガンディをイメージする曲として聴いていたので、彼の言葉に聞こえました。


年齢も19歳という若さでしたし、実は私も『イリア』のラストではちょっと可哀想だったかな、と思っていたのです。

まあ、人を何人も殺しておいたら、普通死刑だよね?と思ったので死刑にしたのですが。モデルになった、青ひげも最後殺されるしね。

そういうわけで、バーガンディの未練のために、『イリア』の続編として書くことになったのです。

⑤二作ともオリバーを登場させた理由

バーガンディの弟を主人公にして、リベリオを舞台にすると決めていたので、必然的にオリバーを登場させることになりました。

『イリア』が終わった後、一番葛藤を抱えていたのは彼だったので、続編を書くなら物語にしやすいなとは思ってはいたけど。

前作で「女に興味ない」発言をさせてしまったので、「こいつを結婚させるのか」と悩みました。しかし、結婚させないと話が始まらないんで……。

オリバーは物語の中でいつも扱いが可哀想なキャラクターなので、私はいつも「ごめんね」って思ってます。

でも、「お話を書いて、ねっ!書いて」って常に小突いてくるのはイリアでも、マーシャルでも、アムレートでもなくオリバーだからね。
『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるチープ・トリックみたいにね。


チープ・トリックとオリバー、完全に一致

⑥正しさは常に人を救うのか?という問題

これは、教員として仕事をしていると、常に付きまとってくる問題です。

教師は正しいことを言わなくてはなりません。しかし、それだけでは生徒や保護者、同僚から信頼を得ることはできません。

私は未熟な教員なので、というか、人として未熟なので、つい正論ばかり捲し立ててしまう時があります。

しかし、正論を言ったところで人から信頼されるわけではないし、下手したら嫌われる。そういう経験を嫌というほどしてきました。

だから、そういうテーマを今回の物語に入れました。

オリバーは前作で正しいことをした正義側です。しかし、正義を通せば代償もある、その時人はどうするか、というのを物語を書きながら考えました。

⑦今回元にしたお話と参考にした音楽


今回は、ベースは『ハムレット』ですが、その他にも『忠臣蔵』や菊池寛の『青の洞門』を参考にしました。どちらも、日本で有名な復讐譚です。

まず、ユーラというバーガンディの思想を受け継ぐキャラクターですが、彼は『忠臣蔵』の大石内蔵助がモデルです。『忠臣蔵』の作品群では大星由良之助と言われているようなので、そこから「ユーラ」という名前を取りました。
 大石内蔵助は、仇討ちを悟られないように妓楼にいた、という逸話があります。なので、ユーラも娼館にいるという設定にしました。

『忠臣蔵』でも、大石内蔵助たちが浅野内匠頭の弟を擁立しようとしたらしいのですが、上手く行かなかったみたいですね。

菊池寛の『青の洞門』は、敵討ちと仇が一緒に作業をする、という展開を参考にしました。

アムレートが仇のオリバーと一緒に被害者遺族の聞き取りをする、というところです。

『青の洞門』では、敵討ちと仇が一緒に洞窟を掘るのですが、この物語でさすがに洞窟を掘ったら変だろうと思ったので、別の形にしました。

そして、参考にした、とまではいかないのですが、主人公を一回幸せにしてから地獄へ突き落とす、という構成は『チェンソーマン』で知りました。個人的には、デンジとパワーちゃんとアキの三人でいつまでも楽しくやってほしかったんですけど、あれ、結構記憶に残りますよね。

そして、『ハムレット』って実はチャイコフスキーの作った音楽があるのです。

チャイコフスキー作 幻想序曲「ハムレット」

https://youtu.be/JyH1B8ONJfM?si=RKVBvgIl_mbLVeNZ

この曲は、作品作りに大きな影響を与えています。特に、後半部分は。ネタバレになるのでこれ以上書きませんが、ぜひこちらの音楽を聴きながら一緒に読んでみてください。私が曲のどの部分を物語のどこに反映させたかわかると思いますので。

⑧主人公がキモい

今回主人公のアムレートは、兄バーガンディが死んだ後、兄の肖像画を描きまくっている、という設定です。(ハムレットは、こんなんじゃないです。もっと格好いい王子です。)

実はこれ、私の実体験です。
私には、八つ離れた兄がいたのですが、私が七歳、兄が十五歳の時に急性白血病で亡くしています。
物心つく前だったので、兄の記憶は断片的にしか覚えていません。

しかし、兄が亡くなった後、兄が被っていた帽子が羽を生やして飛んでいく絵を自由帳にたくさん描いていた記憶があります。
恐らく、自分なりに兄の死を理解して受け止めようとしていたのかもしれません。

この経験から、兄バーガンディの肖像画を描きまくって部屋を埋め尽くす、という設定が生まれました。

だから、アムレートの気持ちはよくわかるのです。

 実は子どもの頃は私は国語よりも絵を描く方が得意で、内向的でした。アムレートは私自身といってもいいかもしれません。

さすがに、絵に頬擦りしたり、抱いて寝たりしたことはありませんが(笑)

ここは、兄への執着とアムレートの狂気を表現したくてやりました。肖像画を描きまくってる時点で既にキモいんですけど、さらに強調したかったんで。

でも、書いてて「こいつ、まじキモいアル」と心から思いましたね(笑)

⑨『黒青石の王女イリア』から二年後にした理由

初めは、七年後くらいにしようと思っていました。

しかし、人が死んでから七年後で今回の話となると、「それまで何やってたの?」ってなるので却下。

 私の経験から言うと、人が死んでから二年後って意外とダメージが一番出やすい時期だと思っています。

 私の場合、兄が亡くなって二年後、数ヶ月だけですが不登校になったことがありました。

 これは、兄のこと以外にも理由はあったのですが、新築の家に引っ越しをすることで解決しました。両親も私も、環境を変える必要があったということですね。

 また、教員という仕事をしていると、同じように家族を亡くされた家庭に巡りあうことがあります。そこで、やはり二年後にダメージが来たというご家庭があったんです。亡くなってからの一年間というのは、何かと頑張れてしまうんですよね。反動が来るのは、二年目からで。

 だから、二年後って人の死から立ち直るか、そうでないかの境目なのではないかなと思ったのです。

⑩狂気的な主人公って難しい

今回、書いていて難しいと感じたのは「悪役を主人公にする」ことです。

前作『イリア』は超王道で、主人公のイリアも常識的な女の子だったので、特に書いていて困ったことはありませんでした。

しかし、今回のアムレートというのは悪役の弟で、最初からちょっとヤバイやつとして登場したので、心情描写から行動まで全て難しかったです。下手したら、普通の男の子になってしまうところでした。

普通の人を主人公にすることが如何に簡単なのか、ということを、嫌というほど思い知りました。

中盤あたりはわりと常識的な子になっていくのですが、やっぱり難しいのは狂気的になるところですね。。自分、そんなに狂気に陥ったことないからわかんないよ!と何度も思いました。

 『NARUTO』のサスケをイメージしたり、『スパイファミリー』のユーリをイメージしてみたりしたこともあるのですが、どっちも違う気がして、最終的に一番近いと思ったのは『遊戯王』の闇・獏良了かもしれません。(また遊戯王か……。)

⑪魔法使いを悪役にした理由

誤解のないように書いておこうと思いますが、私は『ハリー・ポッター』大好き少女でした。本がボロボロになるまで、何回も繰り返し読みましたし、映画のビデオテープも刷りきれるくらい何回も観ました。学校にも、お守りのように毎日持っていきました。

ハリポタに巡り会えなければ、小説も書いてなかったし、国語の教員にもなってなかったと思います。それくらい、人生に影響を与えた作品です。『ファンタスティック・ビースト』も全作観ました!

昔、賢者の石の材料が書いてある本があって、それを真剣に集めて賢者の石を作りたいと親に言ったら怒られたことがあります(笑)

なので、魔法使いに対して悪いイメージはないです。

それでも、大人になると「魔法って、あるだけ厄介なんじゃないのか?」と思うようになりました。(夢がない大人になってしまった)

人の心が読めたり、杖を振ったら何でも出てきたり、そういうのは憧れるけど、魔法が使えないから人間はいろいろ知恵を絞るのであって、そこにドラマや生き甲斐が生まれるのであって。

だから、魔法はあるだけ邪魔、と思いました。

そこで、魔法が衰退する世界が生まれた訳です。衰退する時代にしがみつく者は、いつも敗者になりますから、悪役にしやすいのです。

⑫亡き兄に捧げる二つの作品

『黒青石の王女イリア』は、兄たちの助けを借りて成長する妹の物語、『復讐の王子アムレート』は死んだ兄のために復讐を決意する弟が破滅する物語と、どちらも「兄」という存在が重要な意味を持ちます。

子どもの頃、兄が生きていたらと何度も思いました。

意図してやったわけではないのですが、もしかしたら、その思いを物語に無意識に反映させていたかもしれません。

しかし、まさかここまで壮大な物語になるとは、思っていませんでした。

今回二つの物語を共に駆け抜けてくれたキャラクターたちに、感謝したいです。

そして、この二つの物語は亡き兄に捧げたいと思います。


最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
そして、いつも投稿を追いかけて愛読してくださる方々、ありがとうございます。
短い期間でしたが、皆様のお陰で楽しく創作ができました。

現在育休中ですが、来年度から職場に復帰するため、noteの更新はできるかわかりません。
三月までには全部投稿できるといいなあと思います。

作品の感想やコメントをいただけると、とても喜ぶので、ぜひお寄せください。





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