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文月の夕焼け

七月三日の京都の夕焼けは、思わず車を停めて見上げたくなるような美しさだった。

高野西まで、お母様とご子息をお乗せした。降車地で西向きに車を停めたとき、ご子息がふと声をあげた。

「お母さん、夕日見た? きれいだね」

その言葉につられて、私も正面をしっかり見た。西の空が、見事な茜色に染まっていた。忙しく走っていると、空など見ているようで見ていない。お客様に教えられて、ようやく気づく景色がある。

「七時半近いのに、まだ明るいね」

ご子息の言葉に、京都の夏の陽の長さをあらためて思った。祇園祭を前にした七月の京都は、どこか浮き立っている。けれど、その夕焼けだけは、にぎわいとは別の場所で、静かに町を包んでいた。

夕焼けを見ると、なぜ人は郷愁を感じるのだろう。子どもの頃の帰り道を思い出すからか。今日という一日が、ゆっくり終わっていくからか。

そんなことを考えながら、私はまた市中へ戻るハンドルを握った。京都の夕焼けは、運転手にも少しだけご褒美をくれる。

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