エウレカ 私は見つけた 第11話
11 森での体験
少しずつ彼らとの生活にも慣れてきた頃、私は今まであえて気づかないふりをしてきたいくつかの疑問について考えるようになった。
◇ 俺は今、死んでいるのか?それとも生きているのか。
◇ 今いるこの場所での生活は、幻なのか?それとも実際にこの場所は、地球上に存在するのか。
このままだったらずっと私はこの場所にいることになる。だが、もうこれ以上彼ら家族に迷惑をかけることはできない。
『何とか自分で自活できる方法を見つけ、この家を出ることにしよう』でも、一体何ができるのだろう。
ロドリゴの心は、千々に乱れて、結論がなかなか出なかった。
ただ1つひらめいたのは、父親に狩に連れて行ってもらい、自分にその素質や勘があるかどうかを、探ったらどうだろうかということだった。
そこで夕食を食べた後、道具の手入れをしている父親に「自分も狩に連れて行ってください」と身振り手振りで伝え、彼が理解できない表情をしたときには、絵を描いてなんとか狩に連れて行ってもらえるよう頼んだ。
翌日父親と狩に行くと思うと、夜中に何度も目が覚めた。わずかな期待と大きな不安でちょっと興奮気味なのだろう。薄暗い中、父親がすくっと起き上がったので、ロドリゴも慌てて身支度をし、彼の後について外に出た。
これまではロドリゴを気遣い、ゆっくり歩いてくれていたのだろう。でも今朝は狩場に急ぐいつものペースと思われ、ロドリゴは息を切らしながらも、必死についていった。
まだ暗い森は、まるで大きな動物が、口を開けて待ち構えているように薄気味悪い。その上、昼間とは全く違う種類の鳥の鳴き声や獣の咆哮が聞こえて、そら恐ろしかった。
正直、ロドリゴはここから一目散に逃げ出したかったのだが、この場所で何とか生きる術を見つけたいという強い思いだけで、どうにか踏みとどまった。
父親が身を隠した茂みの近くに、彼は身体をひそめたが、何かサッと音がするたびに、怖さで声を上げたい衝動に駆られてしまった。
そうしているうちに、ロドリゴは【全身が耳になった感覚】に襲われた。
次に【動物の匂いを感じ取る鼻、何かが近づく気配を感じる皮膚感覚、危険を未然にキャッチする勘】が、まるでむくむくと起き上がるように彼の中に呼び覚まされていくのを感じた。
何か大きな獲物が近づいてくる気配を感じた時、ロドリゴは半ば卒倒しそうだった。もしもねらいが外れれば、手負いの動物がこちらに向かって突進してくるかもしれない。
『生きるか死ぬか。食うか食われるか』
そののっぴきならない状況は、彼にとっては初めてだった。恐怖のあまり、心臓が口から飛び出しそうだった。『もうダメだ。これまでか』思った瞬間、獲物をギリギリまで引きつけて、父親がとどめを刺した。
ーーそして狩は終わった。ーー
そこには恐怖心から、手も足も出ない自分がいた。
俺は、すごすごとうなだれて帰るしかなかった。
食事のたびに、『もっと塩分があったら肉の臭みが消えて美味しくなるのに』と内心思っていた。『そんな自分がとても恥ずかしい。何もしないで、ただ恩恵に預かっていたのに………』
狩もできなければ、ここにも俺の居場所はない。でもサントリーニ島に帰るすべもない。元はと言えば、俺が十分に恵まれていたのにもかかわらず、
『サントリーに島は、もういやだ。どこか別のところに行きたい』と願ったことが叶い、今ここにいるのだから。
