【劇場版読解】現時点での設定、仕掛けの推察【あくまで想像】
以下は劇場版「機動戦士ガンダムジークアクス」の重大なネタバレを含みます。
未観劇の方は以下を読まないようにお願いします。
未観劇の方は以下を読まないようにお願いします。
未観劇の方は以下を読まないようにお願いします。
大切なことなので3回いいました。
「機動戦士ガンダムジークアクス」2回観劇しました。おもろいですねw
まあ、本作がパラレル、架空戦記であろうことは事前の予告から噂されていたことでした。自分も同感で、蓋を開けてみればやっぱりその通りだったんですが、その結果、さらにいくつも謎が湧いてきました。あの人はどうなったの。これはどういうことなの。これ結局、どういう話やりたいの?という…まあ諸々疑問が湧いてくるわけです。
というわけで、ここではそんなところを推測というか想像というか妄想して予測しておきたいと思います。
長文ですが、思考の流れがわかるように、物語を追って紐解いていきます。現時点で疑問に思う、主だった論点は全て答えを含め網羅していると思います。
まあお気楽に読んでください。なお、あたったら褒めるようにw
なお、本文中に用いられる画像は、youtube公式ガンダムチャンネルの配信動画からのもの、及び本作品の挿入歌「ミッドナイト・リフレクション」ジャケットイラストの引用であることをお断りしておきます。
■本作の勢力背景■
まず全体の状況を見ていく。
1年戦争におけるジオン公国の勝利により、サイド3/ジオン公国の独立は了承され、おそらく地球圏からはジオンが全面撤退するか、大方が引き上げており、宇宙圏からは地球連邦が全面撤退していると思われる。根拠は地球圏での戦いは、オデッサ、ジャブロー共に、ほとんどジオン側は敗北し撤退しており、宇宙圏ではルナツー、ソロモンの喪失により地球連邦は宇宙に進出する足がかりを失っているため。この世界ではひとまず、地球圏と宇宙圏でアースノイド、スペースノイドの生存権の住み分けが確立し、相互不可侵もしくは地位協定によって相手方の領域では相手方が優位になる、といった条約が締結されているだろう。戦後も相互に軍事研究は続行しているようではあり、両国の間に火種はくすぶっているが、互いに大規模な軍事侵攻を行わない限り、ひとまず戦争は起こらない、という世界情勢と考えられる。
作中の0085において、戦勝国であるジオンは、圧倒的な軍事力でスペースコロニー群の指導的地位を確立する一方、他のコロニーとの関係性が不安材料となっていて、第一話の舞台となっている戦時中の中立コロニー、サイド6は払下げのザクで軍警を組織し、ジオンの配下という関係性からの脱却を模索しつつある。
また、1年戦争の影響でアースノイドとスペースノイド双方に多くの難民が生まれており、彼らもまた新たな社会問題、火種としてくすぶっている。
というわけで、この世界では「連邦とジオン」「ジオンと他の各サイド群」「正規市民と難民」大雑把にそのような対立構造がある。だが個人的には、これに表面的には描かれていない、もう一つの対立構造を追加したい。「オールドタイプとニュータイプ」である。
■フラナガンとシャアの動き■
オリジナルの「機動戦士ガンダム」(以下「原作」)においてニュータイプ(NT)は地球連邦、ジオン双方において有能な兵士、もしくは兵器として重用され、消費された。作中に登場した主なNTがアムロ・レイ、セイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)、シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)、ララァ・スン、シャリア・ブルだった。
ジークアクス世界線における彼らの相違を見ていく。
本作ではアムロ・レイは戦争に関与しない。サイド7の損害は軽微であり、おそらく避難民として存命している。父親のテム・レイも生きているだろう。
セイラ・マスは連邦軍に参加し、ソロモン攻略戦でドズルのビグ・ザムを撃墜し、その後、コンペイトウグラナダ落下作戦中にシャアと交戦している。彼女の軽キャノンは陽動のための派手なカラーリングであることから、この世界では原作のアムロのガンダムに相当する、連邦軍の主力NT兵だったことがうかがえる。原作を踏襲すればセイラは兄・シャアが戦争を利用して謀略を巡らせることが許せなかったはずで、彼女が連邦軍に参加するのは不自然なことではない。
ララァ・スンは登場しない。しかしセクノヴァが発生する直前のアルファサイコミュの反応の場面には「ララ」の声が聞こえており、このときの劇伴も原作でララァが現れたときのものと同じであり、ゼクノヴァに何らかの形で関わっていたことが推察され、画面に登場しないだけで、ジークアクスの世界にも存在はしていると考えられる。後述するが、彼女は物語のキーパーソンと思われる。
シャアは本作のビギニングにおける中心的人物であり、大きな違いとして、彼はサイド7でガンダムを奪取し、鹵獲したペガサス級「ソドン」と共にドズル旗下の宇宙軍で活躍している。彼がジオン・ダイクンの遺児であることやザビ家への復讐を企図しているなどの設定は原作を踏襲しているが、彼の細かなアクションは異なる。ガルマ謀殺を実行しなかった彼にはキシリアの部下がお目付け役につけられる。キシリアがシャアに早い段階から目をつけている事がわかる。

次に大きな相違はフラナガンからシャアへのアプローチだ。原作ではシャアは自分からニュータイプ研究に関心を持ち、フラナガン機関に接近し、ララァ・スンと出会っていた。しかしこの世界ではフラナガンからシャアに接触する。シャアに見せたニュータイプ研究の書類は原作ではシャリア・ブルについて研究したもので、ギレンが読んでいた。しかしこの世界ではフラナガンは、シャリア・ブルではなくシャアについて研究し、そのレポートをギレンにではなく、まずシャアに見せた。これは明白にギレン・ザビ家への裏切りであり、まず彼の独断による行動だろう。そして彼はシャアに人類の革新としてのNTへの期待を語っている。
そして、シャアはララァと出会っていない。
フラナガン機関をバックアップするキシリアは、NTが新戦力になることを見通しており、シャアのガンダムにアルファサイコミュとビットを搭載する。これはおそらく原作世界ではエルメスに搭載されたであろう機材だ。このときキシリアはNTをギレンより重視し、サイコミュ兵器の量産をほのめかし、NT部隊を編成しようとしていた。

この文脈で、シャアはもう一人のニュータイプ、シャリア・ブルと出会う。シャリア・ブルは原作同様、ギレンとキシリアの板挟みに苦しんでいた。シャアはそんな彼に、自分と組むことを誘い「人類のために」という大義を掲げる。シャリア・ブルはシャアと同志になり、NT用MAキケロガ(これも原作のブラウ・ブロとは異なり、1人用MAになっている)を駆ってシャアとともにコンペイトウ襲撃、そしてコンペイトウ落下作戦の阻止に参加した。この作戦にあたっては、シャアが「この戦いに勝ては次はザビ家だ」といっており、シャリア・ブルもシャアとともにザビ家打倒に向う意図があったことが察せられる。
しかし作戦中にゼクノヴァが発生。シャアの最後の通信を傍受したシャリア・ブルは、彼がコンペイトウの一部と共に消滅する光景を目にする。戦後は中佐に昇進し、ソドンを乗艦として赤いガンダムとシャアの捜索を行っている。

■NT主導の新秩序を目論む第三勢力■
以上の話で、原作と比較して決定的に異なり注目すべき点は、やはりフラナガンとシャアの接触だ。ふたりは密談を交わしており、フラナガンは「人類の革新」を見たいとシャアに秋波を送っていた。そして後にシャアもまた「人類のために」シャリア・ブルを自分の同志に誘い、連邦とジオン(ザビ家)の共倒れを期して自分の「勝ちの目」を狙っていたことだ。
つまり、フラナガンとシャアは目的を一にしていたと考えられ、シャアの同志になったシャリア・ブルも加え、3者には「連邦にもジオンにも属さぬ第三極として、NTが人類(この際はスペースノイドという理解でいいだろう)を導く」という「NTを人類の指導者とするジオニズム」のような新世界秩序のビジョンがあったことが察せられる。
このNT勢力の頭目になるべきはやはり政治的にも血統的にもジオン・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクン=シャア・アズナブルだろう。戦後、シャリア・ブルが彼を探すのは当然で、またシャアとの盟約を果たすため、全てのNTの解放のため、0085においてもザビ家の目を盗みフラナガン機関と連携して、来る決起の日に向けて組織作りをしているのではないだろうか。

彼らの描く世界には「連邦とジオン」も「ザビ家による支配」も「アースノイドとスペースノイド」もない。あるのは「ニュータイプとオールドタイプ」という価値基準だ。彼らは「あらゆる支配からNTを解放し、連邦やジオンの消耗品の兵士ではなく、NTが新人類として社会の先頭に立ち、人類を導く」そのような理想像を共有している。
そして、これがおそらく本作における物語の中心的なテーゼになると思われる。
「あれ?それってZガンダムでシロッコが…」
と思った貴方。その通り。だから監督は「シロッコが戻ってくると面倒」といったのだろう。彼はこの世界には極めて危険なファクターで、おそらく作中には登場しないと思われる。
■ミュータントとしてのNTとララァの使命■
これは余談だが。この世界におけるNTは文字通り人類の変異体ということができる。つまりミュータントだ。ミュータントと言うと「X-MEN」を連想するだろうが、登場人物のひとり「エグザべ・オリベ」のスペルは「Xavier Olivettie」で「Xavier」は「X-MEN」の主要人物、プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの「Xavier」と同じだ。またプロフェッサーXはミュータントのために「恵まれし子らの学園」を経営していた。これは「フラナガンスクール」の設定と重なってくる。本作にはNTの社会的な位置づけについて、「X-MEN」の設定を踏襲した「匂い」がある。

キシリアがNT部隊創設を目的とし、また仮にフラナガンがNTが率いる新世界を目指していたのだとしたら、いずれにしてもまず必要なのは「NTを見つけ出すこと」のはずだ。NTをなるべく多く、早く集め、組織化する必要がある。すると、ララァ・スンがどういう役回りだったのかも想像がついてくる。
この世界でもおそらくフラナガン機関は、シャアと接触する前にララァを見つけているだろう。原作ではジオンは劣勢にあり、シャアは自分の部下として彼女を兵士にし、戦場に連れ出した。アムロが「彼女は戦いをする人ではなかった」とシャアを強く非難したことだ。だがララァがシャアとは出会わず、ガンダムの奪取で戦況に余裕のあるこの本作品世界ならどうだろう。キシリア、あるいはフラナガンは彼女を戦場には差し出さなかったのではないか。彼女にはもっと合理的な活用法がある。そう、おそらくララァはNTを見つけ出すために用いられたのだ。

そもそも、NTを戦場から偶然に発見するのは非効率だ。NTを見つけ出す最も効率的な方法は、NT同士の感応を利用することである。キシリアとフラナガンは、ララァと最初期の、固定型、高出力のサイコミュを組み合わせ、増幅した感応波によって宇宙レベルでNTを発見する仕事を与えたのではないだろうか。それはグラナダに置かれ、そこから全てのスペースコロニーを探索していたのではないか。そのサイコミュ装置こそ「シャロンの薔薇」なのではないだろうか。
これは一人で運用する「エンジェル・ハイロゥ」であり、「X-MEN」において、プロフェッサーXが使用して全人類からミュータントを発見し、テレパスを送る事ができる装置「セレブロ」と同じ発想だ。

そしてこのキシリア旗下でのフラナガン機関とララァによるNT探索は、もしかしたらシャアのサイド7襲撃の時にはすでに始まっていたかも知れない。作戦成功後にシャアが独白していた「閃き」を与えたものは、シャアに一方的に接触したララァの感応だったのではないだろうか。ララァには「このシチュエーションならガンダムを盗める」というNTの予見があり、それをシャアに閃かせ、実行させたのだとすると、フラナガンがNTの研究サンプルに原作でのシャリア・ブルではなくシャアを選んだのも筋が通ってくる。おそらくフラナガンは、サイド7襲撃のときからシャアをNTとして認識し、モニターしていたのだろう。原作のような左遷人事がなくドズル旗下で活躍していたのにも関わらず、キシリアがシャアに目を付けたのもそのためと思われる。

また、これは初稿で書き漏らしたことであるが、ララァのNT探索によって多くのNTが確保され、フラナガン機関のNT研究とサイコミュ技術の開発は、原作より進歩したと考えられる。
■オブジェクト「シャロンの薔薇」とゼクノヴァ■
以下は「シャロンの薔薇」がララァ×サイコミュのNT探索装置のコードネームだと仮定して話を進めていく。
では、0085のララァはどういう状況なのだろうか。
出来事を再確認すると以下のようになる。
先述の通りキシリアはNTを兵器として活用することを企図していた。しかし果たしてララァの徴兵は行われなかった。また、フラナガンがシャアと接触した時、ララァの存在を語っていない。明かしてもいない。そして、コンペイトウ落下作戦で消滅したシャロンの薔薇は「オブジェクト」と表現されていた。一方、シャアはコンペイトウ内でアルテイシアの乗る軽キャノンと交戦するが、その刹那、アルファサイコミュが反応して、シャアは相手のパイロットが妹であることを察し、攻撃を止める。さらにその後、赤いガンダムを中心にゼクノヴァが発生する。アルファサイコミュはシャアではない誰かの感応波を受信し続け、シャリア・ブルに残した通信の中で、シャアが「向こう側から来た」「何者」かと交信し「時が見える」と言い残して消えた。そしてこの一連の現象の間、現場にいたNTが「ラ・ラ…」の声を聞いている。
以上から考えると、ララァはフラナガンがシャアと接触する以前に、何らかの理由で死亡しており、すでに「向こう側」の存在になっていたと思われる。であるなら、フラナガンがララァについて一切言及せず、シャアもララァを知らなかったことに筋が通る。では、どんなことがあってララァは死んだのか。これはまったくわからない。ただ、その死がどういう意味を持っていたかについては推察できる。
フラナガンがNTをして新世界を作るという可能性を見たのは、ララァが死んだ後―というより、彼女の死がきっかけだったのではないだろうか。
(原作のように)最強のNTであるララァの死があまりにも理不尽で取り返しのつかない損失であったがゆえに、フラナガンはジオン=ザビ家のやり方に失望し「ジオン・ダイクンが提唱した人類の革新=NTこそが人類の指導者になるべき」という信念を持つに至った。
一方、ララァの思念体は、彼女のサイコミュに憑依し「オブジェクト/シャロンの薔薇」になったのではないか。
物体にNTの思念が憑依するという現象、設定はガンダムシリーズでは幾度も前例のあることで、Zガンダムには死んでいった人たちの魂が、サイコフレームにはチェーンの魂が、フェネクスにはリタの魂が宿っていた。重要なことは、サイコフレーム技術ではないZガンダムですらこの現象は起こっている点だ。シャロンの薔薇の消失は、憑依するララァの思念体によってサイコフレームのように「勝手に動く」ポルターガイスト現象か、空間転移を起こし、キシリアの管理下から逃亡したと考えられる。その目的がフラナガンが掲げた理想のためか、ララァ自身の目的のためかは現時点では断言できない。
ララァの死がどういうものであったかは想像するしかないが、後年の作品のように、キシリアの命令で拷問や解体、薬物漬けのような措置を施したとは個人的には考えにくい(ギレン主導ならありうるが…)。ただ戦時下のことであるから可能性は否定しない。
ただ。フェネクス/リタがそうであったように、暴力的なNTへの協力の強要は決して賛同を得られない愚挙だ。死んで向こう側にいってしまったNTは現世でのいかなる脅迫にも無敵になってしまう。それどころか恨みを買う。強化人間も記憶を奪ったり薬物漬にして操っていた。オールドタイプはかくも残酷にNTを道具にする。もしララァが人体解剖や薬物の強制摂取のような死に方をしたのであれば、愚かなことをしたという他はない。なので個人的にはララァは自発的になにかの目的に賛同するに至ったと考える。
なんにしても、ララァの死がフラナガンのジオン/ザビ家離反の契機になった、という可能性は高いと思う。
また、オブジェクト「シャロンの薔薇」が特別扱いになっていることから、ララァが死んだ後も(オカルト現象として)「シャロンの薔薇」によるNTの発見は続いたかもしれない。もしそうなら、ララァもまた、NTによる新世界秩序を目指していたのかもしれない。
そして後に、シャアにアルテイシアの存在を教えたのも、赤いガンダムのアルファサイコミュに感応し、赤いガンダムを起点にゼクノヴァを起こさせたのもララァの思念体だろう。ゼクノヴァという現象は「逆シャア」のアクシズショックのような、あるいは「UC」のように、強力なNTの思念が物理的現象を起こしたと思われ、ここではひとまずそういうものと思っておく(雑)。消失した部分は向こう側、あの世に転移してしまったのだろうか。これは判断がつかない。
そして最後にシャアが出会った相手も、おそらくは「向こう側」から来たララァの思念体だ。このときまでシャアはララァを知らなかったが、ララァはサイド7の潜入作戦の頃からシャアを感知し、ずっと見ていたはず。あの時すでにコンペイトウは落下阻止限界点を超えており、シャアの死は確定していた。おそらくシャアを永遠の存在にするために迎えに来たのだと思われる。「時が見える」は原作でアムロに撃墜されたララァが今際の際に言い残した言葉であるから、シャアもセクノヴァのときに死に、原作のララァのように「向こう側」に行ったのだろう

■シャアの思念体の行方■
シャアは消えたが、赤いガンダム、アルファサイコミュは現世に帰ってきた(残ったとは流石に考えにくい)。前述を踏襲して、これを説明する最も自然な仮説は「シャアの思念体が赤ガンダムに宿っており、やり残しを片付けに来た」だ。実際、シュウジもガンダムに意思を感じ取っているかのようなセリフを発している。
だが自分はこれには否定的だ。第一に、シャリア・ブルが赤いガンダムにシャアを感じていない。おそらく、シャアの思念体が現世に留まっているとして、それが宿っているのは、行方不明のオブジェクト「シャロンの薔薇」の方だろう。

ではシュウジが感じているガンダムの意思はなにか? これはわからない。本当はガンダムの意思などというものはないのかも。ただ言えるのは、おそらく間違いなく、赤いガンダムはララァとシャアにより、なにかの意図、目的を持って「現世に必要なもの」として返されたのだ。シュウジはただその事実を汲んで「ガンダムが言っている」と彼独自の表現をしているだけなのだと思う。赤いガンダムが現世に返された理由については後述する。

これは余談だが。時の彼方まで見れる存在になった向こう側の存在が、現世のあり方にわざわざ干渉しようとするだろうか?という疑問がある。永遠の存在、無限の時間を持つ存在は叶える欲望を持たない(持つ必要がない)というのは多くの創作SF作品が指摘し、描いてきたところだ。
ただ、ガンダムにおいてはララァの思念体が「シャアとアムロの間に永遠にいたい」ということを「逆襲のシャア」で述べている。「意識が永遠に残るならそれは拷問」とも。つまり死んだのに死にきれないNTは呪いの存在だ。シャアが同様に現世にこだわる理由があるとすれば、ゼクノヴァによってコンペイトウのグラナダへの落下が避けられた結果、皮肉なことに、もしゼクノヴァに巻き込まれていなければ、シャアは死なずにすんだということ。また、妹アルテイシアと再会したことも、現世に意識がとどまる理由になったかも知れない。シャアの想念は、この現世でNTが導く新世界を見たい、という呪いにとらわれているのだろうか。もしそうなら、NTによる新世界秩序というのは、そんな理想的なものではないのかもしれない。
■サイコミュの禁忌化について■
シャアの言った「向こう側」とは「キラキラ」の向こう。死後の世界と考えられる。
原作ではNTの死者の思念は現世にとどまり、「Zガンダム」においては死者は時間と空間を超越して存在し、全て溶け合うものであるらしい。
サイコミュ兵器がそのような死者の魂、あるいは人々の意思と現世、現実をつなぐオカルティックな効果、性能があることは原作で度々描かれていることなので、この作品世界では「そういうもの」として肯定するしかない。サイコミュが起こす怪奇現象の極めつけが「ゼクノヴァ」として発生し、オブジェクト「シャロンの薔薇」との関わりが推察されたからこそ、この世界ではサイコミュ兵器の開発が禁忌とされているのだろう。
サイコミュとNTの組み合わせが、死者が現世に干渉する「ゲート」、人の想念が現実に物理的に干渉する「ツール」になるのだとすれば、何十億もの人々を殺した戦後の世界が、サイコミュを恐れるのは当然のことだ。しかしそれは禁忌の兵器になる可能性を秘めている、とも考えられる。
■ここまでの仮説のまとめ■
以上の仮説を改めて整理する。
ララァを見出したフラナガンは、NT部隊創設を企図するキシリアの元で、ララァを使いグラナダの地下でサイコミュによりNTを捜索していた。この装置が「シャロンの薔薇」。
ビギニング以前の時点で、ララァはシャアを一方的にNTとして知覚しており、ガンダム・ペガサス強奪作戦を「閃かせ」成功に導いた。
何らかの理由でララァは死亡し、その思念体は彼女の使っていたサイコミュに憑依した。そのサイコミュはオブジェクト「シャロンの薔薇」となった。
ララァの死を契機に、フラナガンはギレンやキシリアとは別に、第三極として「NTが人類を導く新世界」を実現する野心を抱いた。
フラナガンはシャアと密かに接触し、自分の大望を明かして同志とした。
シャアはシャリア・ブルと接触し、自分の同志とした。
コンペイトウ落下作戦中、ララァの思念体によりシャロンの薔薇はグラナダから逃亡、ララァの思念体はシャアに接触し、シャアは向こう側の存在になった。
シャアの思念体はララァと共にシャロンの薔薇に宿っている。赤いガンダムはララァとシャアの意思で、現世に戻った。
フラナガンはフラナガンスクールでNTの発見、育成を進め、シャリア・ブルは表向き赤いガンダムの追跡を行いつつ、難民とも密かに繋がり、NTが導く新世界を実現するため、人材を発掘し、シャロンの薔薇を探し出し、決起するタイミングを図っている。
おまけ)シロッコはヤバすぎるので出ないw
以後はそれ以外の要素、以後の展開について推測していく。
■シャリア・ブルの目的■
ここまでの仮説に基づいて、シャリア・ブルはシャアの意思を引き継ぐつもりと考えられる。
0085ではジオン本国からソドンを与えられ、表向きは赤いガンダムの追跡と確保という任務を与えられている傍ら、NT主導による新世界のため、密かにNTの人材発掘と難民やクランバトルの関係者とも繋がり、NT勢力の組織化を進めていると思われる。
これを傍証するものはいくつもあるが、特にわかりやすいのはマチュとシュウジのクランバトルの直前、シャリア・ブルは何者かから連絡を受けて、エグゼべと共に配信動画を見る場面だ。
おそらく直前の連絡はクランバトルの開始を告げるものだ。では、誰が彼に違法地下競技であるクランバトルがこれから始まると連絡をしたのか。考えられるのはアンキーだ。なぜなら、アンキーの持っていたハロは、なぜかジークアクスの起動を把握することができた。ハロの来歴は不明だが、それはジークアクスを開発したジオン側にあると考えられ、かつサイコミュ搭載MSが表向きは開発禁止の軍機であることを踏まえれば、アンキーがこのようなものを持っている事はジオン、それもNT関係との繋がりを暗示している。するとシャリア・ブルとアンキーは、地下で連携し、クランバトルを利用して難民から同志となるNTを発掘しようとしていることが推察される。


そして思うに、シャリア・ブルの真の目的は「赤いガンダムの捜索」ではない。「シャアの思念体の捜索」だ。彼の目当てはガンダムではなくあくまでシャアの行方なのだ。
シャリア・ブルは赤いガンダムの存在をそのNT能力で知覚できる。そしてソドンのブリッジ側を赤いガンダムが通り過ぎた時、そこにシャアを感じなかったことも描かれた。おそらく、彼は赤いガンダムを駆っているシュウジを知っているか、シュウジの思念波を知覚できている。二人は顔見知りか「NT馴染み」と考えられる。
すると高い可能性で、シュウジも彼の仲間であるのだろう。おそらく、赤いガンダムの追跡はシャリア・ブルとシュウジの「出来レース」だ。シュウジの金貨の出どころも、大方シャリア・ブルかフラナガン機関なのではないか。

シャリア・ブルは赤いガンダムにもはやシャアがいないことを知っている。その上でシャアの思念体がどこにいるのかを探している―つまり彼の真の使命は、もうひとつのシャアの思念体が宿っている可能性のあるオブジェクト「シャロンの薔薇」の探索ということになる。
ララァとシャアの魂が宿っているだろうそれは、ネオ・ジオニズムの野望実現につながる必須のピースだ。
■アムロはどうなっているのか■
この世界にもおそらくアムロはいるだろう。そして普通に避難民としてジオン軍のサイド7襲撃をやり過ごしたはずだ。では、この世界のアムロはその後、どうなっているのか。
鍵になるのはハロの来歴。ハロは、原作発表時にはアムロが自作したロボットという設定だった。しかし「オリジン」以降、ハロは市販品をアムロが魔改造したもの、と変えられていて、本作がどちらの設定を採用しているかわからない。
アンキーが持っているハロは、ジークアクスのオメガサイコミュと反応する能力があり、明らかに市販品ではない。ジオン軍製であることはほぼ断言していいだろう。もしこの世界でも、ハロがアムロの自作したロボットだとするなら、この世界のアムロがサイコミュ兵器やジークアクスの開発に関わっている可能性がある。あるいは難民のテロリストの一味であるか、クランバトルやシャリア・ブルとつながりがあるかも知れない。
原作においてアムロは工学少年であり、「逆襲のシャア」では自分のMSであるνガンダムを設計している。彼がこの世界で戦後にジオンに見出され、ガンダムを開発した父テム・レイと共に、ジオン側の技術者として雇用されていたとしても別段不思議はない。

一方、ハロがありふれた市販品だとするなら、アンキーのハロをオメガサイコミュに反応するよう改造した意図や人物は謎だ。それがアムロとつながりがあるかどうかも一切確証がない。
だが、ひとつ考慮すべきは、アムロがララァ=シャロンの薔薇によって潜在的に強力なNTとして、ビギニング以前に検知されていた可能性だ。
原作では、戦いの中でララァはアムロという人間を理解する。彼女は彼を「戦う理由がなく、誰も愛していない」と罵っている。つまり野放図で危険な存在と認識していた。一方アムロはララァとの戦いを通してそのNT能力を飛躍的に強大化する。最初の会敵時には、アムロはララァの敵ではなかった。しかし戦いの中でララァを超える強大なNTになってしまう。
では本作の世界ではどうか。ビギニング以前にララァが見出していたとして、アムロはまだ海のものとも山のものともつかない「眠れるNT」だ。シャアに「閃き」を与えガンダムを強奪させたのがララァだとして、その本当の理由は「なんとなく、この少年(アムロ)を絶対にガンダムと接触させてはいけない」という「NTの直感」だったのかも知れない。だとしたら、本作は仮想戦記といいつつ、アムロとガンダムが接触しなかったのはララァの人為的介在があった、ということになる。
一方で、アムロのような強力なNTをフラナガンの計画に組み込まない、ということも考えにくく、アムロは戦後にフラナガン機関から接触を受けているかもしれない。いずれにせよ、アムロを見出し、取り込んでいるのは、高い可能性で連邦ではなくジオン側だと思われる。そしてパイロットとしてではなく、エンジニアとして活用されている可能性が高い。
もっとも、ジオンが戦勝国になった世界ではスペースノイドが地球に行くことも容易だろうから、母親と暮らすために地球に移住している可能性もあるだろう。これは彼にとって(世界にとっても)最も平穏なルートだ。
■マチュ、ニャアン、シュウジについて■
本作の主人公はあくまでマチュ、ニャアン、シュウジの3人だ。
彼らはおそらく、シャリア・ブルに見出され、ソドンの乗組員になるだろう。そしてシャリア・ブルの計画の歯車にされていくはずだ。その過程でそれぞれがどういうポジションを確立するかが本作のメインラインになる…と思われるが、自分は本編の展開については何も推察しない。提示されたものを楽しみたいと思っている。ここでは各キャラクターの背景について簡単に考える。

マチュはその髪の色やパイロットスーツのイメージカラー、「GQuuuuuuX」の伏せられた文字数から正式名称は「G-QUBELEY-X」であり、正体はこの世界の「ハマーン・カーンではないか」という俗説が当初よりある。自分はこの俗説についての判断は保留するが、ハマーンクラスの強力なMSだから最新鋭のオメガサイコミュが反応したというなら、それはそれで説得力はある。
しかしハマーンほどの出自の人間がこの世界では全く別の平民暮らしをしているというのは無理がある。ただ…ここまでの自分の仮説が正しいなら…アムロのようにララァによって早々に見出され、その運命を弄られていることも考えられなくはない。しかしそれはあまりにもなんでもありなので、心情的には支持したくないところだ。
ただ、彼女に謎のメールを送った相手。これはおそらくララァかシャアの思念体だろう。ふたりは強いNTを察知できるであろうから。

「ガンダムの妖精」のイメージでデザインされたというシュウジだが、先述の通り、彼はシャリア・ブルもしくはフラナガン機関、あるいはその両方と繋がっている可能性が高い。いずれにしてもなにものかのバックアップ抜きには赤いガンダムを操り続けることはできない。おそらくそれができるのはフラナガン機関かシャリア・ブルくらいのものだ。彼は高い確率で彼らの掲げるNTによる新世界構想の同志であり、彼が「キラキラの世界(向こう側の世界)」をペイントしまくっているのは、彼同様にその世界が見える優秀なNTを探すためだろう。

だとして、彼の来歴はなんだろうか。最も考えうるのは「戦時中にララァによって見出され、フラナガン機関に確保されていたNTのひとり」だ。シュウジはキラキラが見える、つまり向こう側の世界が見えるほどの強力なNTだ。それをララァが見つけられなかったとはむしろ考えにくい(能力がララァとの接触によって覚醒した可能性もある)。

彼がララァと接触していると考える理由のもうひとつは、彼の行っているペインティングだ。ペインティングはそれをみてキラキラを描いたものだとわかる人物、つまり強力なNTを探していると思われるが、これまでの仮説に基づけば、それはララァがシャロンの薔薇でやっていたのと同じ行為だ。彼はララァの意志を継ごうとしているが、それを可能にするサイコミュもNT能力もない。せめて彼にできるのはゲリラ的なペインティングだった、ということではないか。
ところで、匂いをかぐことで何かを知覚しているらしいのだが、NTって匂いで見分けられるものか?

最もわからないのはニャアンだ。彼女は悲惨な過去があるようだが、作中でカムランとシャリア・ブルの会話に出てきた「17バンチ」の一件と関わりがあるのかも知れない。「Zガンダム」においてはこの年にティターンズによる「30バンチ事件」…つまり毒ガスによる大量虐殺があり、本世界でも、平行世界の因果律として、似たような大事件が起きたのかも知れない。おそらくこちらの世界では、その主体はジオン軍だろうが…。ところで彼女が使っている運び屋の暗号は、原作でミハルが使っていたもので、多分これはサイド6難民の中にジオン兵もいて、その諜報員の合言葉が流用されたとか、そんなところだろう。
彼女について一番わからないのは、作中におけるその存在意義だ。マチュは主人公でジークアクスのパイロット、シュウジは赤いガンダムのパイロット。その役回りはわかりやすい。だが、ニャアンはなんのために設定されたのだ? 性格的にも気が弱く、物事に果敢に立ち向かっていくわけでもない。NTの資質はあるのかも知れないが、彼女にはMSがない。
現時点で自分が想像するのは―これはあくまで想像だが―彼女はフラナガンかシャリア・ブルに見出され、次のララァのポジションになることだ。つまり行方不明になっていた「シャロンの薔薇」が回収された際に、その操縦者となり、NTの捜索者になるためにいる。現時点ではそれが一番収まりがいい。もしそうなら、物語の終盤においてNTを導く真の指導者、この世界の「プロフェッサーX」になるのは、実はニャアンなのかも知れない。
■アルファでありオメガ=「神」の兵器■
あと、赤いガンダムが現世に返された理由、目的だが。
本作には、赤いガンダムが搭載するアルファサイコミュと、ジークアクスが搭載するオメガサイコミュが登場している。
アルファとオメガというと「私はアルファでありオメガである」とキリスト教でいう「神」を暗喩していることが連想される。このふたつのサイコミュの特性と役割は現時点では伏せられているが、ふたつが揃い、相応のNTが操ることで、神性に近い超常的能力を得るという設定が伏せられている可能性は(カラーなので)否定できない。

現時点で論理的に推察されるその能力は、アルファサイコミュとオメガサイコミュ、それぞれを解放できる強力なNTが接触した時、2体のMSでゼクノヴァを人為的に自在に引き起こせる、という可能性だ。
ジオン軍がコンペイトウで観測された「ゼクノヴァ」という現象を科学的に分析するとする。「コンペイトウの一部を消し飛ばした力が、サイコミュを使うララァとシャアの接触によるものだとしたら、それに類する条件を整えれば、ゼクノヴァを人為的に再現することも可能」―つまりゼクノヴァは兵器化できる。
そのように考えるのではないだろうか。
ここからは仮定の仮定だが。
これまでの仮説通り、ララァが使っていた初期の高出力なサイコミュ「シャロンの薔薇」があるとして、シャアの使う赤いガンダムにもアルファサイコミュがある。(ララァはこの時代でアムロを除けば最強のNTだから)ララァは自分の能力でサイコミュの性能を補い、シャアと接触し(原作でアムロがララァとの接触で能力を引き出されたように)シャアの能力を引き上げ、ゼクノヴァを起こした―と結論付けたとする。
するとシャロンの薔薇をリバースエンジニアリングし、さらに小型化した強力なサイコミュをMSに搭載して、キラキラが見えるレベルの強力なNTを乗せ、それをアルファサイコミュを使えるNT(これはシャア程度でもいい)が搭乗した赤いガンダムと接触させれば、理屈の上ではゼクノヴァが再現できる…はずである(ただしその対価として、二人のパイロットは「向こう側」に消える)。

つまり、ジークアクスは、それぞれアルファとオメガのサイコミュを解放できる強力なNTパイロットを載せた赤いガンダムとの接触によってゼクノヴァを発生させる最終兵器として用意されたのではないか。
え?それってサード・イン…
だがこれはあくまで、ゼクノヴァが起きた背景を客観的に分析して整えた「仮定の条件」にすぎず、必ずこれでゼクノヴァが起きるかどうかはわからない。ただ、このようなことを企図する存在は、フラナガン機関かキシリアしかいない。おそらくは、戦時中からNTを兵器化することを構想していたキシリアだろう。なんにせよ要するに、ジオンはゼクノヴァを人為的に起こすサイコミュ兵器を作ったと考えられる。フラナガン機関やシャリア・ブルはそれを横取りして、自分たちの勢力の希望、切り札にすることを考えているのではないだろうか。
そしてそのときが来ることを、「時が見える」シャアとララァは知っていたはずだ。因果関係が逆転するが、彼らからすると、赤いガンダムは「現世に戻さねばならないもの」だった。いずれゼクノヴァは発生する。「だから」返されたのだ。それがどういう結果をもたらすかまで見通した上でのことだろう。つまりそれは必要な事件であり、求められて起こると思われる。
ところで、この推察だとジークアクスにエグザベを乗せて赤いガンダムと接触させたシャリア・ブルの判断は危ういものだったのではないか?ということになるが、まず間違いなく、シャリア・ブルはエグザベにそこまでのNT能力を認めていないし、彼がオメガサイコミュを起動できないことも見抜いていた。それは言動に現れている。彼が強く興味を持ったNTは、オメガサイコミュを起動させた正体のわからないパイロット、つまりマチュである。

【追補】
■フラナガンとシャリア・ブルの路線は同一か?■
シャリア・ブルとフラナガンはどこまで協調できているのか、は頭の片隅に置く必要がある。
本文中でも触れた通り「人類の革新たるNTが人類を導く新世界秩序の構築」という活動の頭目になるべきはシャアだ。それは、シャアこそがフラナガンとシャリア・ブルの結節点で、ジオニズムを継ぐべき理念の象徴だからでもある。
フラナガンはシャアと直接対話しており、二人の間でビジョンのすり合わせがあっただろう。シャアとシャリア・ブルも同じだ。しかしフラナガンとシャリア・ブルの接触は作中に描かれていない。二人の間にはシャアとギレンの存在がある。フラナガンはレポートをシャアに見せた時点でギレンを裏切っているし、シャリア・ブルもシャアの同志になった時点でザビ家とは縁切りするつもりでいた。だから両者とも、ギレンとは距離をおいているだろう。一方で、シャアを介して「NTによる新世界秩序」というビジョンは大雑把に共有しているのだろうが、0085において、ふたりの距離感がどのくらいで、ビジョンの共有がされているのかは不安材料だ。
「逆襲のシャア」でのアムロとシャアが論戦を繰り広げたように、人類の革新を信じていても、未来に向かう道については同一の見解ではないということはある。例えば、オールドタイプとの政治的協調・共生路線と、オールドタイプとの武力闘争路線で、フラナガンとシャリア・ブルの信念は分かれているかもしれない(「X-MEN」でのプロフェッサーXとマグニートーの関係のように)。
また、今は同一でも、作中でたもとを分かつ可能性もある。あるいは、両者は必要なら連帯し、状況によっては対立する、というような関係かもしれない。陣営模様が複雑になりそうで、この論点でもドラマが展開するかも知れない。
前述の通り、シュウジとアンキーについてはそれぞれシュウジがフラナガン、アンキーがシャリア・ブルと繋がっていると推測できる。シュウジが操る赤いガンダムも、密かにフラナガン機関のバックアップを受けていると思われる。エグザベはフラナガンスクール/フラナガン機関で育成され、シャリア・ブルに託された人材と考えられるが、彼自身は背景を知らないだろう。ジークアクスがゼクノヴァを起こすためのサイコミュ兵器だとして、開発したのはギレンよりはキシリア陣営の可能性が高い。赤いガンダムの回収は兵器利用を期してのものと思われるが、シャリア・ブルはこの任務に協力するふりをして、必要なNTが得られれば、2機のMSを自陣営に確保するつもりでいるのだろう。そのときフラナガンとの間に「綱引き」が発生することも考えられる。

(2025/02/01 記)
■ジークアクスの「歯」について■
これは小ネタ。
作中で言われるようにジークアクスにはその意匠として頭部に「歯」のように見える部分がある。「ミッドナイト・リフレクション」のジャケットイラストを見るとよく分かるが、顔の「頬」の部分に確かに「歯」があるように見える。これはなんなのかを考えてみる。

結論から言うと「歯」に意味はない。単に「咬み合わせ式のカバー」というだけだろう。重要なのはジークアクスの頭部内にあるものだ。
これは第2週特典のジークアクスのイラスト(P.17)を見るとわかるが、ジークアクスの頭部には、球体状のものが格納されている。多角形のパネルを組み合わせたパッシブレーダーのようなものだ。おそらくこれがオメガサイコミュの本体だろう。「ミッドナイト・リフレクション」のイラストではジークアクスの頭部は空洞で、内部から光っているように見えるので、この球体は発光すると思われる。
この記事で重ねてきた仮説に則れば、ジークアクスが搭載するオメガサイコミュとは小型化した「シャロンの薔薇」だ。つまり宇宙規模で広大な範囲にパイロットのNT感応波を増幅して放ちまた受信するサイコミュである。
ジークアクスがそのサイコミュの真の力を解放する際には、角が上がって顔が出るだけではなく、さらに頭部カバーが「歯」の部分で上下にカパッと解放されて、内部の球体が露出し、そこから強力に増幅された感応波を宇宙規模で放つ、というギミックなのではないか。大方、首周りの(鶴巻監督がMRIのイメージと言った)大きなリングも、感応波の増幅装置の一部なんだろう。
もしかしたら、オメガサイコミュで増幅された感応波は、NTの脳どころか普通の人の脳にまでダメージを与える可能性があり、ジークアクスの頭部はオメガサイコミュ=シャロンの薔薇の本来の能力を安易に使用させないための物理的な「拘束具」「リミッター」になっているのではないだろうか。
(2025/02/01 記)
■オメガサイコミュ悪用の可能性■
2週目特典の設定資料集(P.16-19)にあるジークアクス02号機?と思しき機体や、バリエーションについて、一応触れておく。
まず余談。そもそもこれらは作中に登場する機体なのか、はたまたジークアクスの決定稿前の構想デザインなのか、それともそれぞれ登場する予定の同型機なのか。実は量産機なのか。どのような文脈で登場するのか。
それに誰がパイロットになるのか。オメガサイコミュを解放できるNTがそんなにゴロゴロいるとも思えない。それともいるのだろうか? パイロットが強化人間の可能性もあるが、強化人間はNTが見つからないから作られるものなので、個人的には強化人間がいるとしてもそれは連邦軍なのでは…と思っている。それにララァのように時が見えるレベルのNTを人工的に作れるのか、というと…それはインフレがすぎるだろ、とも思う。
気になるのは、バリエーションの機体にはジークアクスにあるガチガチの頭部拘束具らしきものが見られないこと。拘束具がない、ということは、これらの機体は搭載しているオメガサイコミュの無制限な使用を想定している可能性がある。
だとすると、悪用する方法がある。それはサイコミュを介して強力な思念波を送り、繋がった全てのNTの精神を破壊するという本作版のNT-Dだ(「X-MEN」でストライカーがやろうとした策謀でもあるw)。Zガンダムでは、シロッコは最後の思念波によって、カミーユの精神を破壊した先例がある(魂をあの世に連れて行ったともとれる。ただしカミーユは、あの状況に至るまでの精神的な負荷が大きかった)。
ただし、このためには悪意あるNTが存在するか、強力なNTを意のままに操る、という困難な条件を整えなければならない。
ともあれ、ジークアクス=オメガサイコミュにはそうした使われ方、またそれを目的に入手しようとする勢力がある可能性は留意しておく。
(2025/02/02 記)
■あとがき■
というわけで、以上が自分の現時点(初稿 1/30)における「機動戦士ガンダムジークアクス」の全体の設定の「想像」「推測」になる。物語のプロットはまだ可能性が多すぎて具体化できないが、まあ概ね、主題はNTの社会闘争で進んでいくのではあるまいか。と思う。
どのような未来を描くつもりでいるかさっぱりわからないので、なんにしても出されたものを楽しみたいと思う。
(2025/01/30 初稿・一部改訂、本文加筆)
(2025/01/31 本文加筆。画像・キャプション追加)
(2025/02/01 本文加筆。一部構成変更。追補2項。画像・キャプション追加)
(2025/02/02 追補1項追加)
(2025/02/03 「おことわり」追加)
(2025/02/12 フォーマットを調整)
■おことわり■
この記事では、未来、異世界、平行世界、原作世界からの干渉といった仮説はあえて考慮しませんでした(例えばゼクノヴァで未来や並行世界や原作世界とこの作品世界がつながるとか、そこで情報や、人やモノの交換が発生するとか、原作人物の異世界転生があったとか、そういうメタ的設定は、推理から排除したということです)。
鶴巻監督は本作を「仮想戦記」としています。狭義の(本来の)仮想戦記といわれる作品は、戦史の分岐点を設定し、そこで史実とは別の結果になったと仮定して、それ以降の戦争の展開をシミュレーションするものです(例えば「ミッドウェー海戦で日本が完勝していたらその後の戦局はどうなったか」というようなものです。その勝利に、未来からやってきた現代の護衛艦や現代人、宇宙人が関与はしていない、ということです)。ですのでこの世界、この時制、この次元の中で回収可能で、過去の作品の設定の援用や拡張で考えられるものという制限で想像をしています。あしからず。
(2025/02/03 記)
(2025/05/27 改題)

