植物の心のような人生を【ジョジョの奇妙な冒険 #名言ノート83】
今回紹介させていただく名言はこちら!
植物の心のような人生を
一見、詩人か小説家が残した言葉のように聞こえますが、実はジョジョの奇妙な冒険シリーズの第四部のラスボスが言ったセリフです。

漫画のキャラクターで特にラスボスともなると、「凶悪」、「激しい性格」、「偏った思想」、「身勝手な目的」といったようなイメージが強いですがジョジョ第四部は全く違います。
ちなみにもともとは以下のセリフが全文でそこからの抜粋です。
激しい「喜び」は
いらない・・・
そのかわり
深い「絶望」もない・・・
「植物の心」のような
人生を・・・
そんな「平穏な生活」こそ
わたしの目標だった
言った人
吉良吉影

健康的で規則正しい生活
一見すると目立たないサラリーマンです。というよりも意図的にパッとしない人物を演出しています。デパート「カメユーチェーン」に勤務する真面目なサラリーマンで、33歳独身です。毎日遅くとも夜8時までには帰宅し、タバコは吸わず、酒は嗜む程度、夜11時には床につき、必ず8時間睡眠をとるという規則正しい生活を送っています。

異常な性癖と「サガ」
しかし、その実態は杜王町に潜む連続殺人鬼です。彼は「平穏な生活」を強く望んでおり、勝ち負けやトラブルを避けて生きていくことを信条としています。子供の頃から、あらゆる分野で狙って3位を取り、他人に妬まれず、かといって馬鹿にもされないようにしていました。
彼の異常な性癖は、手の美しい女性を次々殺害し、切り取った手を持ち歩くというものです。自身の美しい手に異常に執着するナルシストな一面も持ち、モナリザを好み、切った爪を瓶に保存する習慣もあります。

スタンド能力「キラークイーン」
スタンド能力は「キラークイーン」。このスタンドは、触れたものを爆弾に変えることができます。また、キラークイーンの左手から発射される「シアーハートアタック」という遠隔自動操縦型のスタンドも持ち、これは温度を感知して自動的に対象を追尾し、接触すると爆破します。

吉良吉影の人生哲学
周りからは影の薄い男だと思われていますが、実は高い能力を持ちながら、あえてそれを隠して生きてきた人物です。しかし、殺人の衝動は抑えきれず、トラブルを避けているようでいて、実際には怒りっぽく神経質な性格も持ち合わせています。

1~3部までとは全く違う第4部の魅力
ジョジョの奇妙な冒険 第4部「ダイヤモンドは砕けない」の連載期間は、1992年5月から1995年12月までの約3年7ヶ月です。私はリアルタイムでは読んでなくて、中学校の時に友達から単行本を課してもらい始めて読みました。
1~3までは王道バトル漫画

ジョジョは第一部、第二部と部ごとに話が明確に区切られていて、世代も舞台も主人公も変わっていきます。バトル漫画という側面もあるため、一部から三部にかけては、敵はどんどん強くなるし、ラスボスにいたっては地球上最強の生物だったこともありました。
最高潮の人気の中フィナーレを迎えた第三部でしたが、今回紹介している「吉良吉影」をラスボスに有する第四部はそれまでジョジョとは全く毛色が違った作品だったんです。
第一部:19世紀末のイギリスで吸血鬼と戦う話
第二部:20世紀前半のアメリカで地球上最強の生命体と戦う話
第三部:第2部から50年後。諸国を経てエジプトへと続く旅路とスタンドバトルの話
世界観はどんどん広がり、敵もどんどん強くなっていきました。もちろん主人公やその仲間たちの能力もどんどん強くなっていっています。ジョジョの奇妙な冒険の代名詞ともいえる「スタンド能力」が出たのは第三部からで、方向転換にもかかわらずその人気はさらに加速して、ジャンプ漫画の中でも確固たる地位を確立していました。
サラリーマンがラスボス?

そんな中連載がスタートしたジョジョの奇妙な冒険第四部はこれまでのジョジョとは全く違いました。
1999年を舞台に、日本のM県S市杜王町(多分、宮城県仙台市※作者の荒木先生の出身地)で起こる様々な事件に立ち向かう物語です。
主人公のスタンド能力は「なんでも治すことができる」という一見バトルには不向きな特徴です。物語の舞台も1部から3部にかけて国をまたいでどんどん広がっていった傾向とは真逆の、日本のとある町の話です。
ラスボスはなんと30代のサラリーマンです。吸血鬼や地球上最強の生命体とは全く方向性が異なります。ラスボスの吉良吉影は殺人鬼ではありますが、人生における哲学は「植物のような心で静かに暮らしたい」という誰もが一度は考えるおだやかな精神を持った一面があります。
ジョジョの何部が好き?

ジョジョはいまとなってはアニメやゲームが展開されてだいぶ認知度がありましたが、私が20台中盤くらいのころまでは、好きな人は大好きだけど、知らない人はタイトルしか知らない。という結構、尖った人気を維持し続ける知る人ぞ知る名作みたいな扱いを受けていたように記憶しています。
絵柄、セリフの言い回し、ストーリー、設定、などといった作品を構成するすべての要因がとくちょうてきなので、はまる人は本当にはまります。いままで出会ったジョジョ好きの人で、なんとなく好き。という人は結構少ない気がします。ジョジョという作品は人を選ぶ代わりに、好きな人はとことん好き!という印象があります。
なので、ちょっとはなしたときに「ジョジョ好き」であることがわかると、信じられないくらい人間関係の距離が急激に縮まるんですよね。笑
「え・・・ジョジョ好きなんですか?」
「あ、はい。5部までなら全部見てます」←一番ありがちなパターン。笑
「じゃあ、何部が一番好きですか!?」
と、ジョジョすきなんだ!じゃあ何部が好きですか!?という耳にタコができるくらい聞いたし自分も人に行ってきた会話の定型的なパターンが存在します。
正直、どの部もそれぞれテーマが違っていてそれぞれ違う良さがあるので、一概に何部が一番良い!と決めるのは非常に難しいんですが、私は結構、第四部がすきです。なぜなら吉良吉影が大好きなキャラクターだからです。
吉良吉影の人生哲学にあこがれた中二の夏

前述のとおり、わたしがジョジョの奇妙な冒険を初めて読んだのは中学の頃でした。友達が単行本を貸してくれたのがきっかけでした。1から3部までは絵柄が特徴的ながらも加速するバトル漫画としてたのしんでました。
しかし、4部が始まると明らかにこれまでと雰囲気が変わるんですよね。当時の私も「結構、方向転換したなぁ」と思って読んでました。
じつは第四部を読み始めたころは、おもしろいけど一番好き!とは思っていませんでした。しかし、ラスボスである吉良吉影が登場する中盤から、物語が加速度的に面白くなっていきます。
ラスボスの吉良吉影は、連続殺人鬼です。手の美しい女性を次々殺害し、切り取った手を持ち歩くという以上性癖を持ち合わせています。使い手の精神を大いに反映させるスタンド能力は触れたものを何でも爆弾に変え、しかもその爆発では対象物は跡形もなく消えるという「証拠隠滅」に特化したものです。この能力があるからこそ、吉良吉影は地元に住み続けながらも連続殺人という「趣味」を楽しみ続けます。狂ってますよね。
もちろん、吉良吉影の連続殺人鬼であるとか、とんでもない異常性癖を持っているところは嫌悪する部分ではありますが、反面・・・というかその反動からか、彼は彼は「平穏な生活」を強く望んでいて、さまざまな生活面で「静かに暮らすため」に努力しているといった側面も持ち合わせています。
毎日遅くとも夜8時までには帰宅し、タバコは吸わず、酒は嗜む程度、夜11時には床につき、必ず8時間睡眠をとるという規則正しい生活を送っています。就寝前にはストレッチを欠かさないといった体に対するケアも怠りません。無駄にストレスをためないために、本当は高い能力をかくして会社では出世しないように地味なサラリーマンを演じ続けています。
勝ち負けやトラブルを避けて生きていくことを信条としています。子供の頃から、あらゆる分野で狙って3位を取り、他人に妬まれず、かといって馬鹿にもされないようにしていました。
中二ながらも、吉良吉影の「本当は高い自分の能力を隠して静かに暮らし続けたい」という哲学にはかなり影響を受けました。
アラフォーになったいまでもそこまで出世欲がなく、かといって仕事で手を抜かずにやることはやる。けど悪目立ちをしない。一目置かれることは好き。というスタンスが一番しっくり来ているのも、思春期に吉良吉影の哲学に影響を受けたことが大きいのかもしれません。
連続殺人鬼であるとか、異常性癖を持っていることを除けば、かなり理想的な思想とそれに伴う生活を送っている「自立した大人」なんですよね。実際に作者の荒木先生は、吉良吉影について、「殺人を犯していることを除けば自分の理想のヒーロー像だった」とコメントしています。
作中ではあえて描かれていませんが吉良吉影は悲惨な少年時代を過ごしています。しかし、人生に前向きで、自分を被害者ヅラしない点が、荒木先生の理想のヒーロー像と重なるとのことです。
吉良吉影の人生哲学にあこがれた中二のころの私は、マネして何でもかんでも3位を取ろうとしたのですが、そもそも能力が足りずに3位すらとることができませんでした。笑
1位をとれる能力があるけど狙って3位をとることができる。ということがどれだけ高度で難しいことかを思い知りましたね。
ジョジョの奇妙な冒険 第4部「ダイヤモンドは砕けない」の連載期間は、1992年5月から1995年12月までですので、もはや30年以上前の作品ですが、2025年のいま読み返してみても全く色あせてません。それは、吉良吉影をはじめとして「人間の本質的な部分」を描き出すことに成功している作品だからだと思います。
じっさい、とくにジョジョ四部はわたしの人格形成に大いに影響を与えた作品です。吉良吉影のようになんでもかんでも3位を取ることを目指してみたり。出世競争から冷静に距離を置いて自信の価値観に耳を傾けたり・・・。そういった人生に対する「姿勢」みたいなものは、ジョジョ四部から学んだ部分が大きい気がします。
それらの姿勢や興味を持ち続けることで、大人になってから「老荘思想」とか「原則主義」といったような様々な価値観を違和感なく受け入れていくことで、常に自分の価値観をアップデートし続けることもできています。
この記事を書いてて初めて気が付いたんですが、ジョジョ四部はわたしの人生の基盤になってますね。漫画だからと言って侮ることなかれ。やはり名作は名作です。
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