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肝心なことは死に食われぬことだ【もののけ姫 #名言ノート13】

今回紹介させていただく名言はこちら!

「肝心なことは死に食われぬことだ」

国民的アニメ映画を作り続けてきたスタジオジブリの超大作「もののけ姫」からの名言です。


誰が言った?

ジコ坊

どんな人?

紅白の着物を着て赤い頭巾を被り、口ひげを生やした姿が印象的なジコ坊は、「唐傘連(からかされん)」という組織の頭領です。紅白の着物を着て赤い頭巾を被り、口ひげを生やした姿が印象的ですよね。


役割

唐傘連(からかされん)のリーダーであり、上層組織の師匠連の一員であるジコ坊は、シシ神の首を狙う悪役的なポジションのキャラクターです。

地位

ジコ坊が所属する「唐傘連(からかされん)」は「師匠連(ししょうれん)」というまた別の組織の配下で、武装した実働部隊といったところです。

師匠連は、『もののけ姫』作中で、もっとも謎の多い組織です。 作中のセリフから読み解いていくと、師匠連は天皇、つまり朝廷の勅命で動く組織のようですね。

表向きには僧侶の組織で、今でいう秘密結社のようなもののようです。天皇は神道系であるにもかかわず使役している組織が仏教系の僧侶という点も興味深いですね。

ジコ坊が帝からの書状を持っていたことから、朝廷と連絡を取れるほど社会的地位が高い組織であると思われます。

能力

目的を達成するためには、ジバシリを雇ったり、エボシ率いるタタラ場の面々と協力したりと、状況に柔軟に対応できる、有能な人物でもあります。


名言に込められたメッセージ

「肝心なことは死に食われぬことだ」

この名言が発せられた状況は、実はあまりシリアスなシーンではありません。

主人公であるアシタカが市場で砂金の塊とコメを交換をしようとしたところ、明らかに不釣り合いな取引(砂金の方が価値が高すぎる)なため、市場にいた人々は騒然となります。

そこに颯爽と割って入ったのがジコ坊でした。このシーンの前にアシタカは地侍の戦闘に巻き込まれていて、意図せずジコ坊を助けたことで、ジコ坊側はアシタカを認識していたためです。

(本当はジコ坊は助けられたのではなく、アシタカの鬼神のような異常な強さを目撃したことで、「何かに使えそう」だと考え、近寄る隙を伺っていたのかもしれません。)

アシタカとジコ坊は一緒に市場を離れますが、砂金を持っていると認識されたアシタカはコワモテの男たちに後をつけられることになります。二人は駆け足で男たちをまき、その日の夜は2人で一緒に野営をすることになりました。

野営中の晩御飯のシーンで、雑談というかアシタカがジコ坊にこれまでの境遇を話す流れになり、その時に今回の名言がジコ坊から発せられました。

「肝心なことは死に食われぬことだ」

実はアシタカは死に場所を探す旅をしています。映画冒頭でタタリ神から死の呪いを受けてしまったことで、将来的には自分が長となっていく予定だった村を離れなくてはいけなくなり、社会的にも肉体的にも絶望的な状況でした。

  • アシタカの境遇

  • ジコ坊のこれまでの人生経験

  • 野営していた場所がかつては農村だったが土砂崩れで滅んでしまっていた

これらの要因が重なったことで、ジコ坊は「肝心なことは死に食われぬことだ」という言葉をアシタカという人間に送ったのでしょう。

要は、「色々大変だけどさ、生きてりゃいいこともあるんじゃない?生きたくても生きられない人もいるんだから、命がある限りは生きてみりゃいいじゃん」という意味が込められているように、私は感じました。


「生きろ」

もののけ姫は国民的アニメ映画を作り続けてきたスタジオジブリの各作品の中でも、超大作の名作であることは間違いありません。

主人公アシタカがサンに言い放つ

「生きろ、そなたは美しい」

というセリフは、もののけ姫を観たことがない人でも知っているくらい有名です。

または、映画の終盤でおトキさんという活発な女性のキャラクターが、絶望的な状況で夫に言う、

「生きてりゃ何とかなる!」

という言葉も印象的です。おトキさんの声は実はナウシカの声と同じ声優さんが担当されています。いい声なんですよねこれがまた。

そもそも映画のキャッチコピーが

「生きろ」ですからね。

監督である宮崎駿さんが作品に込めた意図はいろいろとあるとは思いますが、その中でも

「生きろ=死ぬな」

というメッセージを私は強く受け取りました。

ちなみに同時期に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開されていました。公開時期が『もののけ姫』と上映が被っていますね。

宮崎駿監督と庵野監督は師弟関係ということもあり、当時は師弟対決としても話題になっていたようです。※風の谷のナウシカで巨神兵がどろどろにくずれながら口からビームを発射するシーンはエヴァンゲリオンの庵野監督がアニメーターとして担当したシーン。

キャッチコピーも、「生きろ。」と「だから みんな、死んでしまえばいいのに…」と対照的ですが、どちらも「死」と真正面から向き合っている作品であることが一発で伝わってきます。


時代背景

作品が公開されたのは1997年7月です。当時私は小学校高学年くらいでした。地元の小さい映画館でもののけ姫を観たのですが、とても良い思い出です。当時は作品のもつ深いメッセージなどは全く受け取ることができず、終始、映像と音楽のクオリティに圧倒され、唯一記憶に残ったのはアシタカとサンの口移しのシーンでした。(衰弱したアシタカが干し肉を噛めないので、サンが咀嚼してアシタカに口移しで与えるシーン)

1997年は、日本の経済が大きな転換点を迎え、社会的な事件やブーム、国際的な出来事も多い、激動の1年でした。金融危機の深刻化は、その後の日本の長期的な経済停滞の始まりを象徴する出来事と言えるようです。

例えば4月に消費税率が3%から5%に引き上げられ、個人消費に大きな影響を与えました。駆け込み需要の反動もあり、景気は減速傾向となりました。消費税増税や金融不安から景気が後退し始め、「失われた10年」と呼ばれる長期的な景気低迷の入り口となりました。

1990年代は、冷戦終結後、様々な地域紛争が激化し、国際社会に大きな影響を与えた時期です。特に湾岸戦争やユーゴスラビア紛争などが、この時代を象徴する出来事として挙げられます。

そしてなによりも印象的なのが、「ノストラダムスの大予言」ではないでしょうか。「1999年7の月に人類が滅亡する」「空から『恐怖の大王』が降ってくる」というやつです。本気で信じているひとはまぁいなかったでしょうが、一般常識としてかなり知られた都市伝説でした。

バブル崩壊による景気後退、国際社会の変化、ノストラダムスの大予言、世紀末という特別感・・・半面、Windows 95を象徴とするものすごいスピードでの技術革新の予感など

これらの色々な要因が重なって、今思うと特徴的な雰囲気をまとっていた時代だったように思います。

実は、1990年代は自殺者が増加した時期でもあります。1997年から1998年にかけて、自殺者数は 約35% という大幅な増加を示しました。特に男性の増加が顕著でした。

1990年代の自殺者数の推移(男性・女性別)

  • 1997年: 男性:15,901人、女性:7,593人、合計:23,494人

  • 1998年: 男性:22,349人、女性:9,406人、合計:31,755人

「生きろ」というメッセージを込めた『もののけ姫』の公開直後に自殺者数の増加が発生してしまうという何とも皮肉な状況ではありますが、自殺者数が増えたのはピンポイントの出来事ではなくこれまでの積み重ねが爆発した結果ではないかと思います。

そんな時代背景があったうえで、『生きろ』というメッセージを作品に込めようとしたことはとても意義があることだと思います。

実際、もののけ姫は、世間に大いに受け入れられました。興行収入は201億8000万円で、当時『E.T.』 (1982年)を抜いて、日本歴代興行収入第1位を記録しました。以降、これまたスタジオジブリ作品である『千と千尋の神隠し』が記録を更新するまで、日本一の座をキープし続けました。

今でこそ『もののけ姫』は超有名な名作なので、興行収入が高かったといわれても特に違和感はありませんが、ロボも出ない、魔法もない、室町時代の日本の昔の話でアニメを作ろう!というのはかなりチャレンジングな試みだったと思います。

実際、宮崎駿さんは『もののけ姫』を完成させたら引退するつもりだったらしく、売れなかったらジブリは潰れる。とまで発言されてます。売れる作品よりも、本当にやりたいことを詰め込んだ作品だからこそ、多くの人々の心に届いたんだと思います。

そして、今回紹介させていただいた名言「肝心なことは死に食われぬことだ」と同じくらい印象的な言葉でもののけ姫という作品は締めくくられます。それが、同じくジコ坊が映画の最後に言うセリフです。

「いやぁ~まいったまいった。馬鹿には勝てん」

結局、あれこれ考えたところで何も変えられないことがほとんどです。作中のアシタカとサンのように、どんなに絶望的な状況でも、自分の心に正直に、正しいと思ったことをまっすぐやり抜く気持ちが一番大事なんだと思います。

ある意味、もののけ姫という作品は、ジコ坊の「肝心なことは死に食われぬことだ」というセリフで始まり、「いやぁ~まいったまいった。馬鹿には勝てん」というセリフで締めくくられると捉えることもできるのではないでしょうか。

ジブリ作品を読み解くうえで副読本として必須な「教科書シリーズ」

ナウシカともののけ姫の原液のような宮崎駿監督オリジナル作品

宮崎駿監督の思想がもののけ姫と同じくらい色濃く出ているのが漫画版ナウシカ

このドキュメンタリーはかなりおススメ!マコなり社長という方も熱く語ってます。(私はこの方の動画を見てこのドキュメンタリーを購入しました)

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改めましてこんにちは。『Nick』と申します。大学は出てないけれど読書を続けて外資系企業で10年以上。そんな等身大のサラリーマンが200冊以上の読書経験と、日々の仕事や暮らしの中で出会った「心に刺さる名言」を紹介します。マンガ・アニメ・映画などサブカルチャーからの引用も多数掲載!

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