【エッセイ】筋肉と、私と、五月の風
カレンダーが赤く染まり始めると、
街がそわそわしだす。
大型連休。
世間は「どこへ行くか」で持ちきりだ。
キラキラしたカフェ、
話題のテーマパーク、
静かな温泉。
そんな中、
私は一人、
全く別の準備を整えている。
今年のゴールデンウィーク。
私は「自分を甘やかす旅」を捨てた。
代わりに選んだのは、
体を徹底的に鍛え上げる、
泥臭い旅。
なぜ、
と聞かれたら困ってしまう。
ただ、
今の自分に少しだけ飽きてしまったのかもしれない。
鏡の中にいる、
なんとなく毎日をこなしている自分。
その輪郭を、
もっとくっきりと、
強く描き直したくなったのだ。
実を言うと、
私は運動が大の苦手だ。
階段を二階まで上がっただけで息が切れるし、
重い荷物を持つとすぐに手が震える。
おまけに、
三日坊主の天才だ。
これまで何度「明日から腹筋をする」と誓い、
その誓いをプロテインの粉末と一緒に棚の奥へ押し込んできたことか。
私の生活は、
いつもどこか、
ふにゃふにゃしている。
決断は先延ばしにするし、
自分に甘い言い訳を探すのはプロ級だ。
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