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Surfin' On Sinewaves 02-03 フェイスレス

この記事は、2000年頃に筆者が個人サイト「Surfin' On Sinewaves」で掲載していたものの転載です。文章が稚拙だったり時代遅れだったりするところもありますが、アーカイブとしてあえてそのまま載せています。

2002年3月号
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Surfin' On Sinewaves 02-03                 009
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●目次
○はじめに
○CD:アーティスト特集 「フェイスレス」
○SOS:第9回 音と耳(1)「カクテルパーティー効果」
○前号の訂正
○おしまいに

◇◆◇◆◇

●はじめに

こんにちは。
花粉攻撃にさらされて常に目が血走って他の人から怪しまれているこの頃
ですが、みなさんはいかがお過ごしですか?
専用目薬ですごくいいのを知っているんですけど、当然ながらソフトコンタクト付けている時は使えないのが残念…。

前号がなかなかの評判でして、メールもいくつか頂きました(ありがとうです)。
CDを紹介する以上、マニアックすぎるってことはないつもりですが、逆に有名どころばかり紹介してもしょうがないと思っているので、その辺の調整色々考えています。

あと読者の方から「HPに行けない」との指摘を頂きました。
アドレスの後の「まで」という言葉までアドレス認識されていたためでした。
初めて気づきました。多分今までずっとそうだったでしょう。
直しといたので、たいしたHPじゃないですが、どうぞ。
最近更新した内容としては、「ジャンル解説」のテクノとトランスの部分です。
ちょっと文体が堅い&長いんですが、こういうところで書く以上、下手なことは書けないんで、あの長さになってしまいました。

感想・要望についてレスポンスが欲しい方は直接メールでお願いします。
アドレスを他人に知られたくない、返事なんかいらないという方はHPの
送信フォームから感想、要望をお願いします。

それでは長くなりましたが、今号もはじまり。

◇◆◇◆◇

●CD
○アーティスト特集「フェイスレス」

今号のアーティスト特集はフェイスレスです。
まずは簡単に彼らの紹介から。

UKのダンスアクトで、生演奏でバンド形式のライヴをやったりしています。
世界的にはかなり有名ですが、メンバーの一人が言っているとおり、日本での知名度はイマイチ。
なにげに映画「普通じゃない」(「トレインスポッティング」の製作チーム)
のサントラに参加したりもしています。

メンバーはアルバムを出すたびに変わっていますが、核となるのは3人。
ロロはリーダー的存在。彼の妹のダイドは今までのアルバムで何曲か歌声を
提供しています。ちなみに彼女はシングルがクラブ系のリミックスで話題に
なったり、白人ラッパーのエミネムとつながりがあったりして、なんだかんだで先日でたアルバム「NoAngel」は1000万枚売れちゃいました。内容はポップス。

紅一点のシスターブリスはロロと共にサウンド面で重要な存在。
シスターブリス名義でも「SisterSister」「DeliverMe」などのプログレッシヴでディープなかっこいいユーロトランスを出したりしているんで、知っている人も多いでしょう。

黒人のマキシ=ジャズはリリック面を担当。
敬虔な仏教徒である彼のラップは、非常に深い内容です(国内盤なら英文、
訳文ともに載っているはず)。
ただ、基本的にダーク。この人の存在がフェイスレスのオリジナリティを
生み出す中心的な存在となっています。

この3人が核となったフェイスレスのサウンドは、ハウス、フォーク、ソウル、ダブ、ブレイクビーツ、ラップなど様々な要素を詰め込んだ、非常に深みのあるサウンドです。
それだけじゃなく早くはエピックハウス(今のユーロトランス)、最近ではプログレッシヴハウス寄りのサウンドも展開。
アルバムは3枚発表していて、出すたびに成熟していっています。

また、雑誌などで指摘されているように、ゴスペルの要素も1stから
一貫して感じられます(元々アメリカ南部で発生した黒人宗教霊歌のことだが、フェイスレスの場合は作風のあちこちに宗教的な部分が感じられるため)。
その辺はダークな雰囲気と通じるところがあります(Webのみの注:ここに関して、訂正があります。フェイスレスへの形容としての「ゴス」は、ゴスペルではなく、ゴシック系という意味です。
詳しくは11月号の訂正部分をお読みください。申し訳ありませんでした。)。
非常に安定したユニット。

それでは今まで出したアルバム3枚、全部ご紹介。

○Monthly Pick Up

No.0035
Artist / Title: Faithless / Sunday 8PM
Label: Cheeky, 東芝EMI (TOCP4141), 98
Keywords: House, Folk, Soul, Breakbeats, Rap, Euro Trance, Gospel, Dub
Easiness: E ○●○○○ H
Subjective Evaluation: 90
Comment:

(個人的に)衝撃の2ND。前作と大きく変わったのは、内容により深みが
増したこと。ビートから、上もの、ヴォーカルまで、深く逝きすぎてアルバム全体がアッチの世界といった感じ。生楽器をさらに取り入れ、ストリングスとピアノが悲しいインストの1曲目と歌詞の内容を見るだけで鬱になる2曲目を聴いただけでこのアルバムの世界にあなたは引き込まれているはず。

その後も路線は変わらず、フェイスレスワールドは続きます。
3枚のアルバムの中でこの2NDが一番ダークなんですが、フェイスレスの
リーダー的存在のロロはこの「お彼岸」路線が気に入ったのか、この後
ダステッド名義で一枚のアルバムをリリースします(紹介予定)。
そこではこの2ND以上にアッチの世界に逝っちゃっており、こっちも
絶対に聴くべき作品です。

閑話休題。数曲をピックアップ。

5.Take The Long Way Home
「雨の中道端に寝ていて分かった/人々の痛みを分かち合うことを/
石のような心にも花を咲かせることを/いつも遠回りして帰っていったから
分かった」

マキシ=ジャズがこう謳うなか、やっぱりダークなストリングスとシンセ
がハウスビートと共に微妙(ここがポイント。本当に微妙に)に盛り上げる。
1stとは比べものにならないほど深みが増したエピックハウス(今で言うところのユーロトランス)。

8.God Is A DJ
まんまなタイトル。シングルでも出ていて、結構評判になりました。
なんと言っても中盤から登場する古っぽい&でも暖かいシンセ。
やっぱりダークでしっとりと盛り上げる、ちょっとプログレッシヴな
ユーロトランス。「チープさ」は全く感じさせないです。
この作品の出た時期が丁度99年のトランスブームと重なったため、
この曲もいろんなトランス系コンピに収録され(1stのSalvaMeaも)、知名度アップ。でもやっぱりこのダーク&ディープな世界は日本人には
辛いのか、日本ではイマイチな感じ。
でも本国イギリスではチャートにも当然のようにランクイン。
ちなみにPVもありますが、モノクロで(笑)、そのまんま。
ちなみにシングルでいくつかPVがありますが、ひとつとして明るい
感じのものはないです。

○Regulars

No.0036
Artist / Title: Faithless / Reverence
Label: Cheeky, 96 ※国内盤あり
Keywords: House, Folk, Soul, Rap, Breakbeats, Euro Trance, Gospel
Easiness: E ○●○○○ H
Subjective Evaluation: 85
Comment:

1st。今聴いても、6年前という古さを感じさせない印象。
ループするギターとマキシ=ジャズのラップが印象的な曲から始まって、
今では脱退したジミー=カットがヴォーカルの曲に続き、3曲目は壮大に展開するエピックハウス。その後渋いジミーのヴォーカルと牧歌的な内容が彼岸度100%な曲などを挟んで(個人的にかなり好き)、6曲目がまたエピックハウス。教会の鐘の音から始まり、時計の刻む音、マキシ=ジャズのささやき声、静かなハウスビートに徐々に音が緩やかにかぶさっていって、リズムがいったん抜ける。そしてピアノとシンセサイザーがサントラのように静かに鳴った後、また少しずつ音がかぶさってくる。
…そしてあのフレーズですよ。

ピチカート(説明すると、ヴァイオリンなどの弦楽器を指ではじいた時の音。かなり独特で印象的な音色なので、みんな知っていると思う)を使った曲自体はたくさんありますが、この曲はその中でも一歩飛び出ています。2ND以降はピチカートを前面的には使っていないので、ある意味貴重かも。展開がかなり大きいので、クラブ向けではありませんが、家で聞く分には充分な内容。
この曲のために聞いてもよいです。

ラストは叙情的な曲で締めています。このオペラ的なヴォーカルで始まる曲はHoojのチルアウトのコンピとかにも収録されている不思議な曲。

ちょっと方向性がバラバラな部分もあるかもしれませんが(よく言えば多彩)、でもそれを考慮に入れても、日本でもっと評価されてもいいアルバム。
ジャンルとか関係なく、受け入れ口の広いアルバム。

No.0037
Artist / Title: Faithless / Outrospective
Label: Cheeky, BMG, 2001 ※国内盤あり
Keywords: Soul, Rap, Breakbeats, Prog House, Euro Trance, Gospel, Funk
Easiness: E ○●○○○ H
Subjective Evaluation: 90
Comment:

3年のブランクを経て発表された、3RD。ロロがダステッド名義で気を
晴らしたためかどうか分かりませんが、2NDに比べると若干ですが「開いた」感じになっています(やっぱりダークだけど。)あと全体的にフロア寄りのものが増えました。

トランス、プログレッシヴハウスが注目された後で、シスターブリスも
プログレハウス寄りのDJ/アーティストとして、より一層レヴェルアップし、それがサウンド面にも当然あらわれています。そのことはシングルで出たM3のWeCome1とM8のTarantulaでよく分かります。
WeCome1は前作に比べ数段フロア寄りのプログレッシヴなトランスで、Tarantulaはプログレッシヴ度が一番高い&一番フロア寄りな曲。
ツボを押さえたこの曲は、巷のチープなトランスに辟易している人には
ピッタリ。

他にもブラスがファンキーなものや、ちょっとイカれてるものなど、やっぱり前作よりも明るく、というと変ですが、なんというか、ちょっとこっちの世界に戻ってきた(笑)といった表現がかなりしっくり来ます。その好き嫌いは人によって違うでしょうけど、個人的にはどっちも大好き。

○次回のテーマ

今回がアーティスト特集だったので、次号はテーマにそってご紹介。
頭の中には「サイケ・ゴアトランス」「クラブミュージックから一歩離れて」
「ジャンルの壁をぶち壊す者たち」「プログレッシヴトランス」があります。
気が早いですが、その次の号のアーティスト特集では、
「ケミカルブラザーズ」「BT」「ポール=ヴァン=ダイク」あたり
にしようと思っています。
何か要望があれば、さっき挙げた二つの方式のどちらかでメールお願いします。

◇◆◇◆◇

●SOS:第9回 音と耳(1)「カクテルパーティー効果」

今回は「カクテルパーティー効果」というものについてです。

あなたが中学時代の同窓会に行ったとしましょう。場所は飲み屋。
時間帯のせいもあり、ほぼ満席状態。そんな状況の中、同窓会はスタート。
集まった十数人だけでも話し声は大きいのに、それに加えまわりの客の声も
さらに大きい。こんな状況を想像してみてください。

周りは確かにものすごくうるさい。でも、よく注意して聞けば、
友達の言っていることが聞き取れるはずです。その友達の言っていることを
聞こうとしているとき、周りの客のうるさい声はあまり耳に入っていません。

このように、
「聞きたい音に神経を集中し、雑音に埋もれた音の中から、
自分の必要とする情報を聞き取ることができること」
を「カクテルパーティー効果」と言います」。

「なんだそれだけ?」と拍子抜けしているあなた、試しに同じような状況下で
テープかなんかに録音してみてください。後で聞いてみると、
話し声はほとんど聞こえず、ただ「ガヤガヤ」といった雑音ばかり
記録されているのが分かると思います。

このことはインタビュアーが、インタビューの後家に帰って、
録音したテープを元に文字にする「テープ起こし」の時に、
よく感じられることなんです。

インタビュー中は気にもとめなかった他の人の話し声、喫茶店であったら
皿やフォークをカチャカチャ片付ける音、相手の言ったことに対する自分の
笑い声など…。それら全ての音を並列に、平等に記録されます。
それはあくまで第三者的、客観的な行動とも言えます。

それに対して私たち人間は様々な音を様々な状況に応じて選択的、主観的、
差別的に聞き取ることができるのです。

そう考えると、あらためて脳のすごさにびっくりしちゃいます。

次回は「声」について。これもみなさんが普段なんとも思っていないこと
でしょうが、色々見てみると、面白いですよ。
お楽しみに!

◇◆◇◆◇

●前号の訂正

SOSの「ローパシフィルター」は「ローパスフィルター」の間違いでした。
ごめんなさい。LowPassFilterのことです。

               ◇◆◇◆◇

●おしまいに

人の注目が集まるところ。
お金が絡むのは注目が集まっている証拠。
オリンピックの例の件もそう。
政治の例の件もそう。

そして音楽もその例に漏れません。
ブームに乗って雑誌・テレビがさかんに取り上げ、歪んだイメージを与える。
ブームに乗ってレコード会社が数年前は「日本人にこの音は理解できない
だろう」と言っていたのに、今さらのようにCDを乱発。

音楽が「消費」されるのだけは何とか避けなければならないと思います。
この手の音楽はサイクルがおそらく音楽全てのジャンルで最も速いものです。

でも、このメルマガでは古いものにも焦点を当てていきたいです。

次号は4月配信です。いろいろ変化が起きる月ですね。
4月から入学、就職される方、がんばってください。
それでは!

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