NECSUS特別セミナーを終えて──「正しいこと」と「勝てること」の間で考えたこと
こんにちは、サステナ博士(片山 郁夫)です。
先日、2028年度の開設に向けて準備が進む新大学、NECSUS環境経営大学院大学のオンライン特別セミナーにて、「誠実な企業が報われないのはなぜかーパーパスと競争優位から考える環境経営ー」というテーマで講師を務めさせていただきました。
当日は平日の夜間にもかかわらず、50名を超える方々にご参加いただきました。ほとんどの方とは「初めまして」のスタートでしたが、熱気あふれる素晴らしい時間となりました。改めて、ご参加いただいた皆さんに心から感謝申し上げます。
参加型で楽しむ「一緒に考える時間」
今回のセミナーで私が何より大切にしたかったのは、単に知識を一方的にお伝えすることではなく、「皆さんと一緒に考える時間にすること」でした。
そこで、オンラインという環境を活かし、チャットを使ったインタラクティブなやり取りを試みました。「Aですか? Bですか?」といったシンプルな二者択一の質問を投げかけたところ、皆さんありがたいことに、驚くほど積極的にチャットを入力してくださり、画面越しに皆さんのリアルな思考がドクドクと伝わってくるようでした。
セミナー後のアンケートでも、大変嬉しい声をたくさんいただいています。
・チャットを活用した双方向のやり取りが新鮮で、オンラインでも一体感が
あった
・シンプルな問いかけ(二者択一など)が多く、自分ごととして参加できた
・自社のPMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)など理念を
見つめ直す重要性に気づくことができた
・「正しいこと」と「勝てること」をいかに両立させるか、ビジネスの根源
的な難しさを改めて考えさせられた
皆さんが自社の経営や日々のビジネスのあり方を振り返る「小さなきっかけ」になれたのであれば、講師としてこれ以上嬉しいことはありません。
現場のリアルな葛藤が詰まった「5つの問い」
そして、私自身が最も印象に残り、深く考えさせられたのが、質疑応答で皆さんから寄せられた「5つの質問」でした。どれも綺麗事では片付かない、ビジネスの最前線で戦うビジネスパーソンならではの、鋭く、切実なものばかりです。
当日、限られた時間の中では十分にお答えしきれなかった部分もありますので、その一部をここに紹介させてください。
・「PRが上手な大企業が得をする裏で、誠実だがアピールすることに不器用
な『中小企業』が報われるための鍵はどこにあるのか?」
・「利益目標が未達であっても、理念に沿った行動が正当に評価される仕組
みや、具体的な企業例はあるか?」
・「パーパスを策定した瞬間から、組織の思考がその枠に縛られてしまう
ような『副作用』をどう乗り越えるべきか?」
・「環境施策を単なる『コスト』と捉える企業の意識を変え、持続可能な
事業へと変革していくための具体的な要件や行動とは何か?」
・「ドラッカーが言う『利益とはコストである』という言葉の真意とは?」
……いかがでしょうか。どの問いも、経営学の教科書を開けば一発で答えが載っているようなものではありません。まさに、現場の「矛盾」や「葛藤」の塊のような問いです。
これらの素晴らしい質問に対し、私なりの実務と研究の視点を交えながら、次回のnoteから一つずつ、少し丁寧に「お返事」を書いていきたいと思います。ぜひ楽しみにしていてください。
本当に伝えたかったこと
最後になりますが、今回のセミナーで私が本当に伝えたかったテーマ。
それは、セミナータイトルの「誠実な企業が報われないのはなぜか」でも、サブタイトルの「パーパス」や「環境経営」でもありません。
本当に向き合いたかったのは、「『正しいこと(大義)』と『勝てること(利益)』を、私たちはどうやって統合していくのか」という、ビジネスにおける究極の問いでした。
これは、企業の皆さんだけでなく、私自身もこれからも考え続け、議論していきたいテーマです。
次回の「ドラッカーの利益の話」から、また一緒に考えていきましょう!
著者プロフィール:片山 郁夫(サステナ博士) 企業常勤監査役。環境経営学会副会長。サステナビリティ学博士。noteでは「サステナ博士のビジネスラボ」として、経営のリアルを学術と実務の視点から発信中。
