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問いの深さが、事業の深さになる

01.挑戦のコミュニティに10ヶ月関わって考えたこと

この10ヶ月、多くの挑戦者と関わりました。そして最後に残った問いがあります。

人は正解を探しに来ているのか。
それとも問いを深めに来ているのか。


02.多様な挑戦者が集まる場所

昨年7月から約10ヶ月、私はあるイノベーションプログラムでPMOリーダーとして伴走してきました。そして一昨日、3月7日にDemo Dayが終わり、一つの区切りを迎えました。

この期間、本当に多くの挑戦者と出会いました。

スタートアップの起業家。
大企業で新規事業に取り組む人。
研究成果の事業化を目指す研究者。
社会課題の解決に挑むソーシャルセクターの人。
そして、まだアイディアの段階から挑戦している人。

バックグラウンドも、事業のフェーズも、本当にさまざまです。

だからこそ、このような場には価値があるのだと思います。

自分とは違う分野の視点。
違う前提からの問い。
異なる経験から出てくる発想。

一人では辿り着かない視点に出会える。それが、こうしたコミュニティの面白さです。

03.正解を探す場所ではない

一方で、この10ヶ月関わる中で私の中に残った問いがあります。それは「正解を探しに来ている人が多いのではないか」ということでした。

どうすれば評価されるのか。
どうすれば点数が上がるのか。
どうすれば審査を通るのか。

いわばHow toを探しに来ているように見える瞬間が少なくなかった。

もちろん、それは自然なことだと思います。
誰だって成果は出したいし、評価もされたい。

ただ、本来こうした挑戦の場は正解を教えてもらう場所ではないのだと思います。むしろ問いに向き合う場所なのではないでしょうか。

04.上手い下手ではなく「問い」

この10ヶ月を振り返って、私が何度も考えたことがあります。それは上手い下手ではない、ということ。

プレゼンが上手いか。
資料が綺麗か。
話がわかりやすいか。

もちろん、それらも大切です。

でも、本質はそこではない。

結局のところ、事業をつくるというのは問いにどれだけ向き合ったかなのだと思います。

05.問いに向き合うということ

その課題は、本当に課題なのか。

その課題は「自分がやりたいこと」に引っ張られていないか。
その課題はどれくらい深いものなのか。
なぜ、その課題は解決されていないのか。
本当にその方法で解決できるのか。
なぜ、それを自分がやるのか。

そしてその課題を解決した先に、何が変わるのか。

事業をつくるというのは、この問いを何度も何度も掘り続ける作業なのだと思います。誰かから答えをもらうものではなく自分で問い続けるもの。

06.評価は問いを深めるきっかけ

この10ヶ月の中では、評価や審査という場面も多くありました。挑戦しているからこそ、評価の結果に感情が動くのは自然なことだと思います。

ただ、そんな場面を見ながら私自身が考えるようになったことがあります。

それは評価は、事業への問いを深めるきっかけにもなるということです。

なぜこの評価だったのか。
どこが伝わらなかったのか。
そもそも、自分が向き合っている課題は十分に深いのか。

評価は答えではなく、問いを深くするための材料にもなる。そんなふうに感じました。

07.フィールドが変われば評価も変わる

そして、この10ヶ月で改めて感じたことがあります。それはフィールドが違えば評価も変わるということです。

例えば
USで評価される事業と日本で評価される事業は違う。
都市で評価される事業と地方で評価される事業も違う。
社会課題として評価される事業とスタートアップとして評価される事業も違う。

つまり評価は絶対的なものではないということです。

どのフィールドで戦うのか。
どの文脈で事業を育てていくのか。

それを見極めることも挑戦の一部なのだと思います。

08.結果ではなく、向き合った時間

だからこそ
Demo Dayに立てたか立てなかったか。
シリコンバレーに行けたか行けなかったか。
最終審査に通ったか、落ちたか。

その結果だけが、この時間の価値ではないと思っています。

大事なのはどれだけ自分の事業に向き合えたか。
どれだけ問いに向き合えたか。

もしその問いに対して自分自身に「向き合った」と言えるならそれだけで、この時間には十分意味があったのだと思います。

むしろそれこそが挑戦なのではないでしょうか。

09.伴走する立場として感じたこと

今回、私は挑戦者ではなく伴走する側の立場として関わっていました。事務局として関わると、普段は見えない景色も見えてきます。

挑戦する側からは見えない景色。
そして、伴走する側にしか見えない景色。

それぞれの立場から、この場は少し違って見えるのだと感じました。

あるとき、アルムナイの方からこんな言葉をかけられたことがありました。

「やってよかったじゃないですか。みんなから感謝されて、チヤホヤされて。」

その言葉を聞いたとき、少しだけ考え込んでしまいました。確かに、伴走する立場として感謝の言葉をいただくこともあります。

ただ同時に、すべての人にとって同じように見えているわけではないということも、この10ヶ月の中で感じていました。

挑戦の場には、それぞれの立場や感情があります。
評価があれば、喜びも悔しさも生まれる。

伴走する立場もまた、その間に立つことになります。だからこそ改めて思うのは、この場の主役は、挑戦する人たちだということ。伴走する立場としてできることは、その挑戦の時間が少しでも意味あるものになるよう場をつくることなのだと思います。

ちなみにこの10ヶ月、完全ボランティアで関わってきました。正直なところ、「やれるものなら一度やってみてほしいな」と思った瞬間がなかったわけではありません。笑。ただ、それも含めて伴走する立場だからこそ見えた景色だったのだと思います。

10.伴走者としての立ち位置

そしてもう一つ、この10ヶ月の中で考えるようになったことがあります。

それは伴走者としての立ち位置です。

この期間、アルムナイの方々が参加者の相談に乗ったり、壁打ちをしたりする場面も多くありました。経験者として視点を共有することは、とても価値のあることだと思います。

一方で、その関わり方もさまざまで、純粋な壁打ちとして問いを深める対話になることもあれば、審査や評価を意識したアドバイスになることもあったように感じました。それ自体が良い悪いという話ではありません。

ただ、その姿を見ながら伴走とは何なのだろうと改めて考えるようになりました。

挑戦の場において伴走者ができることは、答えを示すことではなく、問いを深める手助けをすることなのかもしれません。

それは簡単なことではありませんが、だからこそ伴走の価値があるのだと思います。挑戦の場に必要なのは、正解を教える人ではなく、問いを一緒に深めていく人なのかもしれません。

11.次の挑戦者たちへ

この10ヶ月を振り返りながら、一つだけ思うことがあります。それは、このような場がこれからも挑戦者が問いに向き合える場所であってほしいということです。

評価や審査はもちろん大切なプロセスです。

ただ、それ以上に価値があるのは多様な背景を持つ挑戦者同士が出会い、互いの視点や問いに触れること。

そして自分の事業と真剣に向き合う時間なのだと思います。

次の挑戦者たちにも正解を探すことよりも問いを深める時間を大切にしてほしい。そしてこの場が評価のための場所ではなく挑戦を続ける人たちのコミュニティとして、これからも育っていくことを願っています。

12.良い事業は、良い問いから生まれる

スタートアップでも、大企業でも、ソーシャルでも立場は違ってもインパクトを生む人には共通点があります。

それはDoerであること。

できない理由ではなく、どうしたらできるかを考える人。評価よりも
問いと行動に向き合う人。

この10ヶ月、多くの挑戦者と出会いながら私自身も改めて思いました。

良い事業は、良い答えからではなく良い問いから生まれる。

そして挑戦とは正解を探すことではなく問い続けることなのだと思います。

13. 挑戦者を間近で見てきたからこそ

この10ヶ月、伴走する立場として多くの挑戦者を間近で見てきました。

問いに苦しみながら進む人。
評価に揺れながらも前に進もうとする人。
何度も立ち止まりながら、それでも考え続ける人。

その姿を見ていて、改めて思ったことがあります。

事業をつくるというのは、簡単なことではない。
でも同時に、だからこそ意味があるのだということです。

そしてそれは、伴走者として関わっている私自身にも問いを投げかけてきました。

私はどんな問いに向き合っているのか。
その問いは本当に深いものなのか。
私は本当にその課題を解きたいと思っているのか。

多くの挑戦者の姿を見ながら、改めて自分自身の事業にも向き合い直す時間になりました。伴走しているつもりが、実は問いをもらっていたのは自分の方だったのかもしれません。だからこそ、私自身もまた起業家としてこれからも問い続けていきたいと思います。

そして今振り返って思うのは、結局このプログラムは、多様性の中から問いを深くする機会だったのだなということです。バックグラウンドの違う人たちが集まり、それぞれの視点や経験から問いを投げ合う。その中で、自分一人では辿り着かなかった問いに出会うことができる。だからこそ、多様なバックグラウンドを持つ仲間との出会いがその問いをさらに深くしてくれるのだと思います。

この10ヶ月で出会えた人たちとのつながりを、そしてこのコミュニティを、これからも大切にしていきたいと思っています。

良い事業は、良い問いから生まれる。

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