AI、ショート動画。辿り着いた「ゆるい繋がり」とは?
世界中がパンデミックの渦中にあった2020年、サステラは産声を上げた。
いま地球と人類社会が直面している課題は何か?
いかにして持続可能な未来を築けるか?
そうした問いを深く掘り下げ、得られた洞察をより多くの人々に届けるために、インターネット上での情報発信をしている。
サステラの創設以前、私は2016年からファッション関連のWEBメディアを運営する事業に携わっていた。
正直なところ、それまでの人生において、気候変動や途上国の貧困といった問題は、私の関心から大きく外れたものだった。
しかし、2020年という年は私にとって大きな転換点だった。
パンデミックの影響で取引先が広告費を大幅に削減し、事業は窮地に陥り、私は重大な岐路に立たされたのだ。
ネットフリックスがもたらした衝撃
ロックダウンにより自宅で過ごす時間が増えた私は、八方塞がりの現実から逃れるように、Netflixで様々な作品を視聴していた。
その中で、偶然にも再生したのがドキュメンタリー「OUR PLANET 私たちの地球」だった。
画面に映し出されていたのは、息をのむような美しい大自然と、力強く生きる生命の営みだ。
しかし、ありのままの地球を捉えようとすれば、必ずしも美しさだけではない、厳しい現実もまた映し出されるものだ。
私の目を釘付けにしたのは、融解した氷床から追いやられ、陸地にひしめき合うセイウチたちの姿だった。
陸地ですら居場所を見つけられなくなったセイウチたちは、一頭、また一頭と崖をよじ登り始め、そして次々と落下していったのだ。
その光景は、あたかも行き場を失ったセイウチたちが自らの命を絶っているかのように、私には感じられた。
真実は異なるかもしれないが、当時の私はそう強く受け止めたのだ。
自らの意思で死を選択する生物は人間だけだと思っていた私にとって、それはあまりにも衝撃的な映像だった。
作品を観終えた後、私は深く考えた。
「あのセイウチたちは、どうすれば崖を登る選択をせずに済んだのだろうか?」
セイウチたちが崖を登ったのは、氷床が溶けて大量の個体が陸地に集結し、居場所を失ったからに他ならない。
ならば、根本的な解決策は地球温暖化を食い止めることしかないのではないか。
新たな挑戦への決断
その時、ふと、ある考えが頭をよぎった。
私が発信する情報をファッションから「サステナビリティ」へと転換すれば、世界への貢献と事業の継続を両立できるのではないか、と。
どうせファッションメディアの売り上げ回復は見込めないのだから、この際、新しい可能性に賭けてみる価値はある。
既存事業の不振という追い込まれた状況と、環境問題への発信を通じて課題を解決できるかもしれないという希望。
これらの歯車がかみ合った2020年10月、サステラという名のメディアが誕生したのだ。
5年間の変化と適応
時の流れは早いもので、サステラの誕生から5年という月日が経過した。
この間、インターネットの世界は劇的に変化した。
SNSにはショート動画が台頭し、コンテンツはより手軽に消費されるように。
AIの登場は、文章や画像の生成を驚くほど簡単にした。
AIやショート動画は、世界に前向きな変化をもたらす一方で、新たな問題を生み出すことにもつながった。
AIのリサーチ機能で海外の文献を効率的に集められるようになったが、ショート動画は、気候変動に関する陰謀論を拡散する原動力になった。
こうした変化をどう評価するかは別として、テクノロジーは常に既存の仕組みを破壊し、新たな価値を創造していくものだ。
19世紀にイギリスの労働者が機械を打ち壊そうとしても産業革命が止まらなかったように、私たちは否応なく時代の波に飲み込まれていくのだろう。
なぜnoteにたどり着いたのか
AIやショート動画に不満があったとしても、私個人がその台頭を止めようとすることは現実的ではない。
誰かを変えようとするよりも、自分自身を変える方が簡単だ。
noteを活用し始めたのも、時代に適応するための一歩だ。
なぜSNSの全盛期にnoteなのか?
その理由は、主に「AIの台頭」と「SNSのアルゴリズム」という二つの変化にある。
サステラがインターネットで発信するツールは主にSNSとブログで、SNSはうまく時代に適応できており、多くの人に情報を届けられている。
一方のブログは、少し状況が異なる。
これまでサステラの独自ブログは、Google検索エンジンからのアクセスに頼ってきた。
しかし、この数年でGoogleは検索結果の上部にAI要約を表示するようになり、私たちのウェブサイトを訪れるユーザーは激減。
これまで続けてきたブログでは、次第に声が届きにくくなっているのが現状だ。
しかしそれでも、発信拠点をSNSだけに絞るつもりもない。
昨今のSNSでは、インプレッションを稼ぐ目的で発せられる、憎悪を煽るような、根拠に乏しい情報が散見される。
そして残念ながら、昨今のSNSのアルゴリズムは、そういう投稿が実際バズりやすいのだ。
ただ、環境問題というのは「科学」なのだ。
これだけ世界中で気候変動対策へのコンセンサスが得るようになれたのも、科学的な根拠を積み上げてきた結果だ。
そう考えると、情報の正確性や客観性を欠いてしまいがちなSNSだけを発信拠点にするのは、やはり環境問題を扱う者としてとても危うい。
なので、長文で発信できる場所も相変わらず必要なのだ。
「ゆるい繋がり」としてのnote
一方、noteには多くのユーザーが登録しており、興味のあるユーザーを「フォロー」する仕組みがある。
これにより、独自ブログのように「陸の孤島」になる事態を避けられると考えている。
愛着のある独自ブログは残しつつ、今後はnoteと連携して発信を続けていくつもりだ。
noteを選んだもう一つの理由は、ショート動画だ。
今や、多くの人にコンテンツを見てもらうにはショート動画が最も効率的な手段だ。
TikTokの台頭により、ユーザーを奪われることを恐れたInstagramやYouTubeが、アルゴリズムでショート動画を優遇するようになったからだ。
ショート動画はもはや、インプレッションを得るための重要な「生存戦略」と言える。
もちろん、私たちもショート動画の恩恵を受けている。しかし、そこには大きなジレンマがある。
「最初の3秒で興味を引く構成に」
「最後まで見てもらうために情報を極限までそぎ落とす」
といったように、再生数を伸ばすには、アルゴリズムに最適化した、本意ではない作業が必要だ。
これまでの私は伝えたいことは余すことなく伝えたい人間で、ブログでは平気で1万文字の文章を書いてきた。
しかしショート動画1本あたりの原稿は500文字にも満たない。
結果、意図しない解釈をされたり、炎上を招いたりすることも少なくない。
もちろんインターネットでの情報発信を生業にする者として、時代の流れに適応するため、ショート動画はこれからも続けていくだろう。
しかし、発信者としての矜持として、伝えたいことを正確に伝えられる場所もなくてはならない。
『デス・ストランディング』とnote
ところで、皆さんは『デス・ストランディング』というゲームをご存知だろうか?
分断されたアメリカ大陸を再び結びつけるために、主人公のサムが通信網を広げ、道路や橋といったインフラを整備していく物語だ。
このゲームでは「繋がり」がとても重要なキーワードになっている。
孤立したシェルターや街々を物理的に繋ぎ、物資の流通を可能にし、文明の再建を目指していく。
そしてプレイヤーは、オンライン上で他プレイヤーが設置したインフラを共有することができ、相互に協力して世界を構築する喜びを体験する。
サムの旅は、単に荷物を運ぶことではなく、孤立した人々の心に寄り添い、信頼を築いていくプロセスでもある。
配達を通してサムはそれぞれの人物の背景にある物語を知り、彼らが再び社会と繋がるための手助けをするのだ。
ちなみにこのゲームのオンラインプレイは、一般的なオンラインゲームとは異なり、チャットで直接交流することはできない。
その代わり、誰かが設置した橋や梯子を使うことで「いいね」を送り、互いの存在を認識し、助け合っていることを実感できる。
極めて「ゆるい繋がり」がそこにあるのだ。
このゲームは、時に繋がりが分断を生むこともあると示唆している。
まさに昨今のソーシャルメディアのようだ。
「繋がり」を再考する
ソーシャルメディアは世界中の人々を繋げたが、アルゴリズムによって思想が分断され、攻撃的な発信が横行するようになった。
気軽な繋がりが、言葉の刃で人を傷つけることを可能にしたのだ。
それでも、人間は社会的な動物であり、繋がりなくしては生きられない。
社会的な孤立は、生きることを諦める人、誰かを傷つけようとする人を生み出してしまう。
学校や職場には自分のことを理解してくれる人がいないけれど、SNSには自分と似たような価値観を持った人たちがいる。
ソーシャルメディアの繋がりは、そんな人たちの心の支えにもなってきた。
問題なのは、繋がりそのものではなく、繋がり方なのかもしれない。
サステラも、SNSの拡散力に助けられてきたが、同時に、意図しない言葉に疲弊することもあった。
noteには、発信する情報の範囲を限定できる機能がある。
ショート動画のように、意図しないターゲットに情報が届いてしまう可能性は減り、誹謗中傷に心をすり減らすリスクも減る。
noteは、私にとって『デス・ストランディング』のような「ゆるい繋がり」を感じさせてくれる場所だったのだ。
引き続きSNSでも発信を続けていくが、サステラの思想をより深く知りたい方は、ぜひこのnoteもご覧いただけると嬉しい。
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