【エッセイ】今の私につながる3冊の本
こどもの頃から初めての場所に出かけたり、人の話を聞いたりするのが好きだった。そこで見聞きしたことを文章に書き、周りの人たちに読んでもらった。興味を持たれると嬉しかった。
現在は、会社員のかたわら取材ライターとして活動したり、趣味でエッセイを書いて自分の気持ちを表現したりと「文章を書いて伝えること」がライフワークとなっている。
このような自分のベースとなったのは、次の3冊の本である。
①JTBガイドブック『東北』

1990年代前半に発行されたガイドブックで、表紙は青森ねぶた祭で運行される、勇壮な山車の写真だった。
当時、私は小学生。夏休みの家族旅行で青森に行くことが決まり、親が買ってきたのが本書だった。初めて聞く青森のことを知りたくて、何度も読み返した。
中でも引かれたのは、観光スポット紹介の合間に掲載されていた青森旅行のルポ記事だった。読むと、自分も旅しているかのような気持ちになった。臨場感たっぷりの文章に、「私もこんな風に書けるようになりたい」と思った。
文末には「ライター」という肩書で、著者名が書かれていた。その時、私はライターという仕事があることを知った。文章を書く仕事に憧れるきっかけになった本である。
②『まる子だった』(さくらももこ)

『まる子だった』は、漫画『ちびまる子ちゃん』の作者さくらももこさんのエッセイである。
さくらさんを知ったのはアニメ『ちびまる子ちゃん』だった。
私が小学生の頃に放送が始まった。作品全体に漂うゆるい雰囲気や、登場人物のキャラの強さにハマり、毎週の放送が楽しみになった。
しだいに「さくらワールド」がクセになり、さくらさんのエッセイを読むようになった。
中でも『まる子だった』は、ちびまる子ちゃんの世界観が色濃く出ていて、一番好きな本である。
夏休みのラジオ体操のために朝起きるのがだるい時の心情には共感しかないし、姉との2人部屋が嫌で、部屋の隅の二段ベッドにマイスペースを確保した後のオチには笑った。なにげない日々が、捉え方しだいでおもしろくなることを知った。
さくらさんの作品を読むうちに、気が付くとエッセイが身近なものになっていた。今エッセイを書いている自分の原点となった1冊である。
③『書いてみつけたしあわせ』(『京都くらしの編集室』ZINE制作講座2025メンバー)

3冊目は、アンソロジーZINE『書いてみつけたしあわせ』である。
2025年に受講した「ZINE制作講座」の関係者で作り上げたZINEで、「人生三大しあわせな日」がテーマのエッセイ集だ。
ZINEを作るまでは、エッセイを書くのは好きだったものの、他の人に読まれるのが苦手だった。自分のことを知られるのが恥ずかしかったのである。
だが制作を通じて、人に読んでもらう喜びを体感した。
制作中、お互いに作品を読み合い、感想をコメントし合ったとき、気持ちを素直につづった部分に、多くの共感のコメントが寄せられた。自分以外の人に分かってもらえたようで、嬉しかった。
それ以来、文章を通じて自分の気持ちを外に出すようになった。
これまではエッセイを書くと個人noteに公開するだけだったが、地元紙のエッセイコーナーや地元の文学誌など、多くの人たちが目にする「開かれた場」への投稿に挑戦するようになった。友人知人に「読んだよ」と声をかけられ、感想を伝えられると、嬉しい気持ちになる。
『書いてみつけたしあわせ』の制作は、外に向けて自分の気持ちを出す転換点となった。私にとって大切な本である。
今回取り上げた3冊は、ガイドブック、大ベストセラーのエッセイ、自主制作のZINEと統一感がないように思える。だが振り返ると、今までの自分の生き方につながる本だと気が付いた。
これから自分の在り方に迷った時には、この3冊を道しるべにして人生を切り開いていきたい。
