新しい写真集が出ました! | 僕とカメラ | roads
新しい写真集、出ます!!
発表できる日を楽しみにしていました。
新しい写真集、出ま〜〜す!
なにせRAW現像を始めて最初の写真集ですので、最高傑作です。
傑作ですので描き下ろしのエッセイもおつけしました。
50冊刷ったので手に取ってくれたら本当に嬉しいです。特に1冊目の写真集を手に取っていただいたそこのあなた!「1年で人はこんなに写真が上手くなるものなのか」と感動して我が子のように感慨に入り浸ること間違いなしです。(ちなみにガチで親も買って読んでくれています)

早いものでこれで3冊目。
1冊目はNikon Z30、2冊目はLUMIX S5iix、そして今作3冊目はLUMIX S1とLUMIX GX9による作品群です。一貫して植物をテーマに写真集を作っているけれど、とにかく今回は初めてRAW現像を介した写真であることもあって自信作でございます。ここでしか見れない撮り下ろしも多数収録!
本記事ではこの写真集を制作する経緯や制作途中の経緯についてお話ししたいと思います。それでは本編へどうぞ!

模型ドッキング先生
大学生のころ長谷川章先生の「都市デザイン論」という授業を受講していた。
この長谷川先生は今は取り壊されてしまった渋谷ハチ公前を見下ろす東急をデザインされた方で、「掃除機やアイロンは物を生み出さないから最低だ」と豪語したり、授業中に飲み物をデスクに置くと怒り出したり、かと思えば授業をサボタージュした理由を訊かれて「彼女に振られてショックで寝込んでました」と正直に答えたら「元気出せよ」と肩を叩いてくれたり、とにかく破天荒で面白い先生だった。
あるときテーマに沿って建築模型を制作する課題が出て、その講評の日がやってきた。テーブルに各々学生が自分の模型を並べて先生の講評を受ける。
並べられた建築模型を一巡したのち、「なんだかこう、パッとしないなぁ」と先生は言った。模型を作るための建築になっており、建築のための模型になっていないと言う。

たしかに見渡してみると、僕のお瑣末な模型は論外として、受講している先輩方の模型はどれも似通った形をしていた。それは二階建てや三階建ての住宅の模型で、一階は広々としていて、二階は屋根や採光の都合から崩れたブロックのような形をしていたのだ。
でもそれは当たり前なのでは?と思った。
僕たちは地球に住んでいるため、地球の中心に向かって重力に引っ張られている。当然模型も重力に引っ張られており、それゆえに僕たちtは模型を下から順番に作っていくしかない。(3階から空中で模型を作る奇特な学生はなかなかいないだろう)
結果として学生の作った模型は足元ががっしりしていて、上の階層に行くに従って華奢になっていくような、いわば積み木のお城のような建築模型になりがちなのだ。
突然「こうしてみたらいいんじゃない?」と言って先生は先輩の模型を手に取って180度ひっくり返し、別の先輩の模型の上にドッキングさせた。
僕はめちゃくちゃびっくりした。
何が起きたのか最初わからなかった。
それはさながらテトリスのごとく、凸凹が綺麗に噛み合い、今まで見たことがない建築が立ち現れた。

断っておくと先生は悪ふざけをしたわけではない。あとから知ったことだけれど建築でもデザインでも今までの固定観念を打破するためにあえて模型を壊したり、握りつぶしたり、逆さまにして検討したりするのは常套手段なのだ。
ドッキングされた建築模型はたしかに面白かった。色々な検討が新しく生まれる呼水のようなポテンシャルを秘めた新しい物体に進化していたのだ。
本来部屋の床に置かれていたテーブルや調度品は天井から吊るされているような具合になり、それがかえって天井のアクセントになっている。そこから色々なアイデアが学生からも湧いてきて議論が前に進んだのを覚えている。

写真集を作る
15年前、僕は写真を撮りながらデザイナーを志す青年だった。今はデザイナーをやりながらやっぱり写真を撮っている。そして写真集を作って楽しんでいる。あの頃の自分に何か伝えるとしたら「未来で超楽しんでるよー!早くおいで!」と伝えたい。
ここで、これまでの写真集について簡単におさらいしたい。
1作目では道端の誰も見向きもしない雑木林や雑草に焦点を当てて、人間と共存されながらほとんど無視される存在である植物たちの物言わぬ存在感を強調する試みを行った。(Moving)
2作目では全国の様々な植物園の温室に息づく植物を取り扱い、無機質な人工物によって閉じ込められることでむしろその生き物としての強度を露わにする植物に対する恐れを観察した。(Green Room)
3作目ではもともと都市と植物の写真をテーマにして、4冊目は山と植物をテーマにするつもりだった。
この構想の際に、前述の長谷川先生の「都市デザイン」の授業が急に思い浮かんだのだ。「これってドッキングしたらどうなるんだろう?」と。
なんだかやばい化学反応が起こる気がしてワクワクした。
思いつくと試さずにはいられない。

一冊の写真集の中で、前半を都市、後半を山の写真集にするってことだろうか?日本橋の植物を扱った上で、北横岳の植物へ視点が変わるー。
いや、違う、ドッキングというのはそういうことではない。都市デザインにおける考察はもっとダイナミックだったはずだ。写真は隣接するのではない…。それは凹凸が噛み合うように混合(コンタミネート)しなければならない。
この検討から今作写真集「roads」は生まれた。
見開きの左ページは北横岳、右ページは日本橋の植物写真となっており、
常に見開きが山と都市の対比として迫ってくる。
この時に感じられるのは「山の植物は生き生きしていて、都会の植物はかわいそうだ」という一元的な視座でもなければ、「緑をもっと大切にしよう」という安易なグリーンウォッシュ的啓蒙でもない。
たしかに人間は山を切り開き、海を汚すことで自然を侵略しているかもしれないが、克服もしていない。核戦争で人間が滅んだとしても植物は生き延びるだろうからだ。

人間が全ての植物を刈り取ることができないことからわかるように、僕たちは否が応でも植物と生きて行くしかない。そういう善悪を越えた新しい視座から山と都市を描きたかった。
今回の写真集にはそういったアイデアから始まっている。
この先の植物に関する僕の考察は写真集の巻末エッセイで続きが読めますので、あの、ほんとお買い求めください(笑)
限定50部、シリアルナンバー付きです。
再販の予定はありません。
以下、ページの試し読みです。



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本日はここまで。

