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書記が哲学やるだけ#46 規則義務論-1

問題


解説

(1)カントのいう「人格」とはどのような意味か簡潔に説明せよ。

イマヌエル・カント(Immanuel Kant,1724年4月22日 - 1804年2月12日)は,プロイセン王国の哲学者であり,『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』の三批判書を通して批判哲学を提唱した。

カントが述べる「人格(Person)」とは,道徳的な価値を持ち,道徳法則に従うことができる存在としての人間を指す。カントの倫理学において「人格」は,単に理性的な存在というだけでなく,自律的であり,自らの意志で道徳法則を自分に課す能力を持つ存在とされている。


(2)「Handle so, daß die Maxime deines Willens jederzeit zugleich als Prinzip einer allgemeinen Gesetzgebung gelten könne.」とはどのような意味か,例を挙げて説明せよ。

『実践理性批判』では,条件つきで提示される命令の形式である仮言命法(Hypothetischer Imperativ)に対置して,無条件に「~せよ」と命じる絶対的命法である定言命法(Kategorischer Imperativ)に従うことを求めた。

Handle so, daß die Maxime deines Willens jederzeit zugleich als Prinzip einer allgemeinen Gesetzgebung gelten könne.」は,「なんじの意志の格律がつねに同時に普遍的立法の原理として妥当するように行為せよ」と訳される。これはカントの倫理学における定言命法(Categorical Imperative)の基本定式であり,行為の原則が「普遍的に適用されても矛盾が生じないか」を基準にして,道徳的な行為を判断するよう求めている。

例;「お金がないときには嘘をついてでも借金を返さない」という行為

もし「お金がないときには誰もが嘘をついて借金を返さない」というルールが普遍的な法則となった場合,借金をする側もされる側も常に「返済される保証がない」と考えるようになる。この結果,信用がなくなり,誰も借金をしなくなったり,借金をする仕組みそのものが成り立たなくなってしまう。つまり,「借金をする」という行為自体が成立しなくなる矛盾が発生する。したがって,この行為は普遍的な立法の原理として成り立たないため,「嘘をついて借金を返さない」という行為は道徳的に不適切と判断される。


(3)「完全義務」と「不完全義務」の違いについて,例を挙げて説明せよ。

完全義務とは,常に守らなければならない無条件の義務であり,その義務を破ることは論理的・道徳的に矛盾を引き起こすため,絶対的に守るべきとされる。他人や自分に対する義務として明確であり,違反してはならないと強く求められる。

不完全義務とは,守るべきではあるが,常に強制されるわけではない義務である。ある程度の裁量が認められており,状況に応じて余裕がある場合に実行すべきとされ,どのように果たすかについては個人の判断が尊重される。

自分への完全義務:自殺の禁止。自分の命を絶つ行為は自己保存の本能や道徳的責任に反するため,完全義務とされている。

自分への不完全義務:自分の才能を磨くこと。これは自身の成長を促すために望ましい義務だが,必ず守らなければならないわけではない。

他人への完全義務:嘘の約束の禁止。他人を欺くことは,信頼関係を崩し,普遍的に破綻をもたらす行為であるため,完全義務として絶対に守るべきである。

他人への不完全義務:他人に対する親切。これは推奨されるべき行為であり,道徳的に好ましいが,状況に応じて必ずしも行わなければならないわけではない。


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