書記が哲学やるだけ#47 規則義務論-2
問題

解説
(1)ロスの「一見自明な義務」の規則を7つ列挙せよ。
デイヴィッド・ロス(Sir William David Ross, 1877年4月15日-1971年5月5日)は,スコットランドのアリストテレスの哲学者であり,『正と善』にて「一見自明な義務(prima facie duties)」を唱えた。この理論では,義務が特定の原理に依存せず,状況に応じて複数の義務が競合する可能性を認めている。
一見自明な義務:誠実・償い・感謝・正義・善行・自己陶冶・無危害
(2)「一見自明な義務」を導入する必要性について,「実際の義務」と比較しながら例を挙げて説明せよ。
「一見自明な義務(prima facie duty)」とは,道徳的に重要とされる複数の義務のことを指し,「実際の義務(duty proper)」とは,特定の状況で最も優先されるべき唯一の義務を意味する。
ある場面では複数の義務が同時に生じ,それらが互いに競合することもある。このため,直ちに「実際の義務」を選び出すのは難しい場合がある。
例:
ある人が友人と食事の約束をしている途中,道端で負傷者を見つけ,助けが必要と判断したとする。このとき,友人との約束を守る義務と,負傷者を助ける義務が競合する。このような状況で「実際の義務」に従うとすれば,最も優先されるべき義務に従うことになる。しかし,どちらを選ぶかの判断には慎重な熟慮と反省が必要であり,「一見自明な義務」のような即時の判断の明白さには欠ける。
一方,「一見自明な義務」を導入することで,複数の義務の道徳的価値を比較し,調整することが可能となり,実際の状況に応じてより柔軟に対応できるようになる。この柔軟性が,道徳的判断における実際の行動選択を助けるものである。
(1)「原初状態」ではどのような状況に置かれているか説明せよ。
ジョン・ボードリー・ロールズ(John Bordley Rawls,1921年2月21日 - 2002年11月24日)は,アメリカ合衆国の哲学者であり,リベラリズムと社会契約の再興に大きな影響を与えた。『正義論』では,「無知のヴェール」と「薄い良さの理論」という二つの仮定を持った思考実験により,公平性としての正義を論じ,特定の良さ(善)に対する正義(正)の優先を論じた。
「原初状態(Original Position)」は,社会の基本構造を決定する際に人々が置かれる仮想的な立場のことを指す。そこでは,自分自身についての情報(例えば,社会的地位や才能,経済的資産など)を隠す「無知のヴェール(Veil of Ignorance)」に覆われている。この「無知のヴェール」によって,個々の利害関係や偏見が排除されるため,全員が公平な視点から,全ての人にとって平等な正義の原則を選び出すことが可能になるとされる。
(2)「原初状態」で選択される2つの原理について説明せよ。
第一原理:平等な自由の原理(Principle of Equal Liberty)
第一原理では,すべての人が他者と同じ基本的自由を平等に享受する権利を持つとされる。具体的には,信仰や言論の自由,集会や財産の権利などがこれに該当する。どのような社会的・経済的状況にあっても,全員が基本的な自由を平等に持つべきだとされており,これらの自由は侵害されることがあってはならない。
第二原理:格差原理(Difference Principle)と機会均等の公正(Fair Equality of Opportunity)
格差原理(Difference Principle):社会や経済における不平等は許容されるが,それは最も恵まれない人々の利益を最大化する場合に限られる。この原理により,例えば所得の格差や社会的地位の違いは認められるが,その違いが社会的弱者の利益にもつながっている場合にのみ正当化される。
機会均等の公正(Fair Equality of Opportunity):すべての人が自分の能力に応じて平等に社会的地位を目指す機会を持つべきだとされる。社会的に高い地位に就くための競争は開かれており,個々の出身や家庭環境によって不平等が生じないようにするべきとされる。
本記事のもくじはこちら:

