書記が哲学やるだけ#49 徳倫理学-2
問題

解説
(1)アンスコムが徳倫理学を提唱するにあたり,どのような従来の倫理学を批判したか説明せよ。
ガートルード・エリザベス・マーガレット・アンスコム (Gertrude Elizabeth Margaret Anscombe,1919年3月18日 - 2001年1月5日)は,イギリスの哲学者であり,1958年の論文「近代道徳哲学」で従来の帰結主義を批判し,徳倫理学の成立に大きな影響を与えた。
アンスコムは,アリストテレスによる「知性的アレテー」と「倫理的アレテー」という区別がシジウィック以降のイギリス道徳哲学で失われていること,特にアリストテレスが道徳的価値に含めない「知性的アレテー」が道徳的と考えられていることを批判した。また,シジウィックの理論では行為の予見される結果と意図された結果の区別が曖昧になり,責任の所在が曖昧になることも指摘した。
(2)フットによる現代的徳を4つあげよ。
フィリッパ・ルース・フット(Philippa Ruth Foot,1920年10月3日 - 2010年10月3日)は,イギリスの哲学者であり,今日の徳倫理学を築いたうちの一人と目されている。
フットによる現代的徳:勇気(Courage),節制(Temperance),正義(Justice),知恵(Wisdom)
このうち「知恵」について,アリストテレスは「知性的アレテー」に分類したが,フットはこれを徳の一要素として採用した。
(3)マッキンタイアが徳の中心的な核となる概念の理解に必要としたものについて説明せよ。
アラスデア・マッキンタイア(Alasdair MacIntyre ,1929年1月12日 - )は,スコットランド・グラスゴー出身の哲学者であり,徳倫理学の主要な唱道者の一人とされる。
マッキンタイアは,徳の中心的な核となる概念が理解されるためには,以下の3つの段階が確認される必要があるとした;
第1段階:「実践(practice)」:内在的な善を実現するために必要な性質として徳を捉える。
第2段階:「人生の物語的秩序」:人生全体の善に寄与する性質として徳を捉える。
第3段階:「道徳的伝統」:人間全体の善を追求することに徳を関連付けるため,社会的・文化的伝統の中で徳を育む必要がある。
(4)徳倫理学における正しさの基準について,ハーストハウスとスロートについて比較しながら説明せよ。
メアリー・ロザリンド・ハーストハウス (Mary Rosalind Hursthouse, 1943年11月10日 - ) は,イギリス・ニュージーランドの哲学者・倫理学者であり,徳倫理学の主要人物とされる。
マイケル・スロート(Michael A. Slote)は,マイアミ大学の倫理学教授であり,徳倫理学において動機中心理論を提唱した。
ハーストハウスは,行為の正しさは徳を持つ人物(すぐれた行為者(qualified agent))がその行為を選択するかどうかによって決まると主張した。一方,スロートは,行為の正しさを行為者の実際の動機(actual agent’s motives)に求め,行為の動機が他者への共感や配慮に基づいている場合にその行為は正しいとした。
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