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書記が哲学やるだけ#51 メタ倫理学の概要

今回からメタ倫理学を扱っていく。


問題


解説

(1)メタ倫理学における以下の対立構図について説明せよ。

認知主義(cognitivism)と非認知主義(non-cognitivism)

認知主義とは,道徳判断はなんらかの事実についての認知であり,真偽の区別が可能である(truth-apt)とする立場である。それに対して非認知主義は,道徳判断は事実についての認知ではなく真偽の区別が不可能である,あるいは少なくとも事実についての認知以外の要素を含んでいると考える立場である。


実在論(realism)と反実在論(anti-realism)

実在論は,道徳判断の対象は主観的な認知状態から独立しており,客観的に真偽が決まるという立場である。それに対して反実在論は,道徳判断の対象は客観的な世界の側には実在しておらず,主観的な感情などに依存しているという立場である。


自然主義(naturalism)と非自然主義(non-naturalism)

道徳判断の対象である道徳的事実について,道徳的事実は自然科学の研究対象となりうる自然的事実(例えば快楽や種の進化など)に還元できると考える自然主義と,道徳的事実は何か他の自然的対象を参照しなくても道徳的事実であるとする非自然主義が対立している。


外在主義(externalism)と内在主義(internalism)

外在主義とは,動機づけの要素は価値判断の外部にあり,心理学的な連結によって偶然的に結びついているだけだという立場である。それに対して内在主義は,動機づけの要素は価値判断の内部に存在していると考える立場である。


(2)道徳的相対主義とはどのような立場か,その問題点について例を挙げて説明せよ。


道徳的相対主義(Moral Relativism)は,道徳的判断の基準は普遍的である必要はなく,個人や文化,社会の伝統や信念に相対的であるとする立場である。この立場では,「善」「悪」「正」「誤」といった道徳的判断は文化や個人の価値観に依存するものであり,どの文化にも当てはまる絶対的な倫理基準は存在しないと考える。

道徳的相対主義の問題点は,普遍的な倫理基準がないため,ある文化の価値観を他の価値観から批判しにくくなる点にある。たとえば,児童労働がある地域では必要なものとされていても,別の価値観では倫理的に問題視される場合がある。道徳的相対主義に従うと,こうした批判が難しくなり,すべての価値観が「正しい」と見なされる可能性がある。結果として,倫理的な進歩や人権の国際的基準の形成が阻まれるリスクが生じる。


(3)ヒューム的人間観を導入することで生じる客観性と規範性の矛盾について説明せよ。


デイヴィッド・ヒューム(David Hume,ユリウス暦1711年4月26日〈グレゴリオ暦5月7日〉 - 1776年8月25日)は,スコットランドの哲学者であり,『人間本性論』でイギリス哲学の軸である経験論を完成させた。

ヒューム的人間観では,人間の行動は「信念(belief)」と「欲望(desire)」という2つの異なる心理的要素の組み合わせによって成り立つとされる。信念は「世界がどうあるか」という客観的な事実認識を示し,欲望は「世界がどうあって欲しいか」という個人的な価値観や願望を表す。この見方において,信念は客観的な情報を,欲望は主観的な価値をそれぞれ反映する。

ヒュームは人間の心理や行動の動機を客観的な事実や知識(信念)と,主観的な欲望(価値観)に分けて考える。この立場において,信念は事実や経験に基づき,欲望や感情には影響されないが,欲望や価値は事実に基づく理性的な判断とは独立している。これにより,客観的な知識から直接的に行動の指針や規範を引き出すことができなくなり,行動の規範性が主観的な欲望のみに依存してしまうという矛盾が生じる。


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