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スカートめくりとカエル。

ぼくはスーパーマーケットでワインとキャベツとニンニクを買って家へ戻る途中、夕方の日本庭園で、女の子二人が網のついた棒をふりまわしながらキャッキャ言って遊んでいた。草の上にはちいさな水槽。ぼくは訊ねた、「どうしたの?」
ふたりは言った、「カエルがいないの。」
ぼくは言った、「いない? そう言えばきょうはおたまじゃくしもいないね。ちょうど池の水を入れ替えたばかりだからいなくなっちゃったのかもね。」


まじめっぽい方の女の子が訊ねた、「カエルってどんなとこに暮らしてるの?」
ぼくは答えた、「水と土があるとこ。池のまわりとか田んぼとか。もっとも、このあたりには田んぼはないけどね。」
彼女は言った、「きょうは鯉もいない。」
ぼくは言った、「鯉はいまは奥の方のちいさな池で大事にされてんじゃない?」
するともうひとりの女の子が両手で♡の形を作っておどけて言った、「恋は?」
ぼくは訊ねた、「恋してんの?」
彼女は言った、「いまはしてない。あのね、男の子ってちょっといじめてきたりする子の方が、ほんとはあたしたちのこと好きなんだよ。」
ぼくは言った、「いじめって、スカートめくったり?」
そしたら彼女は憤慨して言った、「違うよッ! そんなの論外ッ! そんなことしたら蹴とばしてやるッ!!!」
彼女はおどけて空気をさんざん蹴とばした。
もうひとりの子は解説した、「この子、お笑い担当なんですよ。」



まじめっぽい方の女の子は言った、「クラスにね、オーストラリアの子が転校してきたんですよ。このごろ日本にいろんな国の人がいますね。」
ぼくは言った、「ね、知ってる? オーストラリアってでかいでしょ。では、質問です。オーストラリアと日本のどっちが人口は多いでしょう?」
ふたりはあてずっぽうで答えた、「オーストラリア?」
ぼくは答えた、「ブーーー!!! 実は日本の方が人口、多いんだよ。おれもね、こないだまで知らなかったの。こないだたまたまおれね、綺麗なオーストラリア人の女の子と知り合ったから、おれ、オーストラリアのこと調べたの。海があって、まんなかには沙漠もあって、いろんな動物がいて、人が少なくて、おもしろそうな国だよね。」
彼女は言った、「コアラもいるもんね。」



お笑い担当の女の子はお茶目な顔して打ち明けた、「あたしね、このあいだおばあちゃんに失礼なこと言っちゃったの。おばあちゃんにね、またね、って言われたからね、あたし言ったの、生きてたらまたね、って。」


彼女は脈絡なく話を続けた、「あたしの弟とこの子の妹が両想いなの。こんどさ、あたしの弟、あの子にメール送るよ、ぼくとけっこんしてください、って。」そしてふたりはキャッキャ笑った。



ふたりは小学5年生になったばかりだそうな。彼女たちはおたまじゃくしもカエルもいないことだし、遊び場を変えることにした。他方、ぼくは部屋へ戻る。ぼくは言った、「じゃあね。」まじめっぽい女の子は言った、「またね。」お笑い担当の女の子はお茶目に言った、「生きてたらまたね。」






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