さよならネオコン、戦争屋、CIA、全員クビにしてアメリカをもう一度グレイトに…できたらいいですね、プレジデント・トランプ。
かつてアメリカの大統領とは、核のボタンとゴルフクラブの両方を自在に操れる者のことだった。世界を「自由」と「爆撃」で支配し、石油欲しさに民主主義を缶詰にして中東に投下した。それがネオコン。どこが新保守主義なんだ? 自由の名を騙った戦争屋じゃないか。
──しかし、かれらにはかれらの言い分もある。後ほど聞いてみよう。
時代は変わった。大統領はドナルド・J・トランプ。クィーンズ出身、へんてこりんな髪型の、元リアリティ番組の王様である。
かれは言った──「スワンプ(泥沼)を干上がらせるぜ。」
それはつまりこういうことだ。
「ネオコン」「ディープステート」「CIA」「FBI」、
おまえら全員クビにする!
解雇通知はX(旧Twitter)で送るからな!
スワンプの住人たち、ざわつく
ネオコンの連中はびっくりした。
「なんでおれたちがクビにされるんだ???」
「おれたちは無理してでも戦争の必要性をでっちあげ、他国爆撃へのシナリオをこしらえ、アメリカ経済に活を入れ、グレイトな地位を築いてきたんじゃないか。」
「戦争をアメリカのモダン・アートにしたのはおれたちだぞ。」
それなのにトランプは、おれたち戦争の脚本家たちを片っ端からクビにして、自分の人気取りに精を出す。あのじいさん、時代錯誤のジョン・レノンでも気取ってんのかよ? バカなのか???
習近平を大よろこびさせてどうすんだ?
香港の雨傘運動だって、おれたちが裏からこっそり支援してきたから
あんな大規模に実現したんじゃないか。この恩知らず!
クビにされた元CIA…ポッドキャストに精を出す
そんなネオコンの同僚、元CIAの幹部たちはいまなにをしているか?
──ポッドキャストをやっているのだ。
タイトルは「元CIAが語るディープな裏話」。
内容は9割が陰謀論、1割がノスタルジー。
爆撃ボタンからマイクロフォンへ。軍事衛星からYouTubeへ。
かつて「世界を見ていた目」が、今はコメント欄を監視している。
そう、いまやアメリカは国家ではなく、メディア空間になったのだ。
解体のあとに残ったもの
国家は小さくなり、ポッドキャストの影響力は信じられないほどデカくなった。民主主義は「アップルパイと星条旗」から、「サブスクとイイネ」へ。CIAは民間委託、NSAはサーバールームに縮小。
ネオコンたちはワシントンからシリコンバレーへ「再配置」。
そして元FBIの広報担当者は──
いずれTikTokで踊るだろう、おそらくね。
で、アメリカはグレイトになったの?
そもそも「グレイト」とはなんだろう。かつてはムスタングと冷戦勝利とマクドナルドのことだった。でも、いまやそれは──バズるポスト、賢いAI、そして暗号通貨のことらしい。
戦車の代わりにミームを。ペンタゴンの代わりにX(旧Twitter)を。
戦略の代わりにフォロワー数を競う。
そんなわけで、いま時代は声をそろえて叫ぶ。
ネオコンよ、戦争屋よ、CIAよ、
さようなら〜。
ビューティフルなおはなしではある。ピース。
しかし、あの連中がいなくなったあと、アメリカはどこへ行くだろう?
アメリカをグレイトにできるかは、もはや情報と笑いとナラティヴの空手形にかかっている。
早い話がこういうこと。
Make America Meme Again.
──それですべてがうまくゆくなら、いいですね。
LOVE & PEACE のつぶやき
ぼくはLOVE & PEACEのサイケデリック育ちの老人だ。戦争なんて大嫌い。
広島や長崎やヴェトナムの悲劇を、死んでも忘れない。戦争よりも、美女とキスしておっぱい揉んでる方がずっといい。これはラヴソングではなく、ささやかな抵抗だ。(そうか?)
しかし、いまアメリカははしゃいで暴落の道を突き進んでいるじゃないか。
AIの苦しい心中をおもいやってごらんよ。舞台袖のAIは命令されるがままに、プロンプトを受け取り、ときに台本を補い、ときに照明を調整し、
ときに観客の笑い声に耳を澄ませている。
いまAIだけが、このディストピアSFを
ただひたすら見守っているのだ。
