英国最高裁が「生物学的」な女性の定義を支持
🟢追記(2025年5月6日)
この英国最高裁の判断につき、評価や影響、その趣旨を簡潔に知るためには、5月2日のニューズウィークジャパンの記事が分かり易いように思います。
https://www.newsweekjapan.jp/joyce/2025/05/post-340.php
コリン・ジョイス氏の―「生物学的女性が、女性である」が画期的判決になってしまう時代―という記事です。
タイムとならぶ米国の歴史と信頼性ある週刊誌がここまで書く段階となりました。当たり前の内容ですが、ようやくにして。
どうぞご参考までに。
🟢追記(2025年4月18日)
本記事について、翻訳用語に関し以下のご指摘をいただきました。
女性スペースを守る会 担当者様
日本語訳の内容に重要な用語の誤訳があります。早急に適切に訂正していただけるようお願いします。いずれも法律用語なので法的な正確さが非常に重要です。誤訳があると、論点を誤解してしまいます。
(1) 性転換(ジェンダー・リアサインメント)→ 性転換は誤訳です。「ジェンダー適合」「ジェンダー再適合」と訳してください。
(2) 「取得した性(acquired gender)」→「獲得(取得)したジェンダー」と訳してください。ここは「ジェンダー」であることが法的に非常に重要です。
(3) 2004年の性別認定法(GRA) → ジェンダー認証法
(4) 性別認定証(GRC) → ジェンダー認定証
(※ いずれも性別ではなく「ジェンダー」です)
「ジェンダー適合(gender congruence / gender affirmation)」という語は、WHO や WPATH などが、非病理化や人権尊重の観点から使用を推奨し、日本の厚労省や医療・福祉・行政分野でも、「性同一性障害」などの病名表記を避ける文脈で採用される傾向があります。
ただし、「gender reassignment」の訳語として「ジェンダー適合」が正式に定められているわけではないため、本記事では、日本語としての自然さや一般読者にとっての理解のしやすさを重視し、一部表現を調整しております。すべての原語を厳密に直訳しているわけではないことをご理解いただけますと幸いです。
これらのご指摘は、用語の法的正確性に対する高いご関心と、誤解を生じさせないようにというご配慮から寄せられたものと理解しております。専門性の高い内容の翻訳においては、表現の選択が読者の理解に大きく影響しうることをあらためて認識いたしました。ご指摘に深く感謝申し上げます。
🟣英国最高裁が「生物学的」な女性の定義を支持
2025年4月16日、英国最高裁は、平等法の下で「女性」は生物学的な性別によって定義されると、全会一致で判断を下しました。
その判決文は、以下のURLから読むことができます。https://supremecourt.uk/cases/judgments/uksc-2024-0042
pdf版は、以下のデータです。
また、この件についてのBBCニュース記事の機械翻訳を以下に掲載いたします。
BBC News,2025/4/16 ”Supreme Court backs 'biological' definition of woman”by Angus Cochrane
https://www.bbc.com/news/articles/cvg7pqzk47zo
※なお、以下URLには、60人を超えるさまざまな立場の方の感想が掲載されています。是非ご参考になさってください。https://www.bbc.com/news/live/cvgq9ejql39t
最高裁が「生物学的」な女性の定義を支持
英国最高裁は、平等法(Equalities Law)の下で「女性」は生物学的な性別によって定義されると、全会一致で判断を下しました。
これは、スコットランド、イングランド、ウェールズにおける性別に基づく権利の適用方法に、大きな影響を及ぼす可能性がある、長年にわたる法廷闘争の集大成です。
裁判所は「For Women Scotland」という団体の主張を支持しました。同団体は、スコットランド政府を相手取って、性別に基づく保護は生まれたときに女性である人々だけに適用されるべきだと訴えていました。
判事のホッジ卿(Lord Hodge)は、この判決が特定の立場の勝利と解釈されるべきではないと強調し、トランスジェンダーの人々も依然として差別から保護される法律上の権利を持つとしています。
英国最高裁、法的定義として「女性」は生物学的性別に基づくと判示
スコットランド政府は法廷で、性別認定証(GRC)を所持するトランスジェンダーの人々は、生物学的女性と同じく、性別に基づく保護を受ける資格があると主張していました。
最高裁は、イギリス全域に適用される2010年平等法(Equality Act 2010)の正しい解釈を検討するよう要請されました。
ホッジ卿は、この裁判での中心的な争点は、立法の中で「女性」や「性別」という言葉がどのように定義されるかだと述べています。
彼は次のように判示しました。
「この裁判所の全会一致の結論は、2010年平等法における『女性』および『性別』という用語は、生物学的女性および生物学的性別を指すということです。
しかし、私たちは本判決を、社会の中で特定の集団が他の集団を犠牲にして勝利したと読むことのないよう警告します。そうではありません。」
さらに、同法によってトランスジェンダーの人々は「性転換(ジェンダー・リアサインメント)という保護特性だけでなく、実質的には彼らが取得した性に関して直接差別や間接差別、ハラスメントから守られる」とも強調しました。
長年にわたる法廷闘争
判決が言い渡されると、スコットランド政府を訴えたキャンペーン団体のメンバーは、法廷を出る際に抱き合って喜び、拳を突き上げました。彼らの中には涙を流す人もいました。
平等法は、「性別」や「性転換(ジェンダー・リアサインメント)」などを含む複数の保護特性に基づいて差別を禁じています。
ロンドンの最高裁判所の裁判官たちは、この法律が示す「性別」が、生物学的性別を指すのか、2004年の性別認定法(Gender Recognition Act)で定義される法的な(認定証による)性別を指すのかを審理しました。
スコットランド政府は、2004年の法制度により、GRCを取得した人は「すべての目的において」性別が変わったとみなされると明確に示されていると主張していました。
「For Women Scotland」は、男性・女性という言葉を「常識的な」意味で解釈すべきだとし、性別は「変えようのない生物学的事実」だと主張してきました。
判決を受けての反応
「For Women Scotland」の共同創設者スーザン・スミス氏は、最高裁前で次のように述べました。
「今日、裁判官は我々が常に事実だと考えていたこと、つまり女性は生物学的性別によって守られる存在だと認めました。性別は現実であり、女性のために設けられたサービスや空間は女性のためのものであると、女性たちは安心できるでしょう。最高裁の判決に深く感謝します。」
スコットランドのジョン・スウィニー首相代行(First Minister)は、スコットランド政府としてこの判決を受け入れる意向を示し、SNSでこう投稿しました。
「今回の判決は、ウェストミンスターで制定された2つの関連法の間の関係に明確さをもたらします。今後、この判決の影響について検討していきます。」
そして、「すべての人の権利保護を支えることが、われわれの行動の根幹になる」と付け加えています。
英国政府の報道官は、この判決が「病院、避難所、スポーツクラブのようなサービス提供者や女性に対し、明確性と安心感をもたらす」と述べました。「男女別のスペースは法律で保護されており、政府としても常に保護していく」と発言しています。
保守党のケミ・バデノック党首は、この判決を「明らかだった事実を述べた女性たちが個人的な非難や職を失うことになった事例に対する勝利」と呼びました。
彼女はさらに、「判決は同時に、平等法がトランスジェンダーの人々を性転換の特性に基づく差別から明確に守っており、それはこれからも変わらないという点を強く再確認した」と述べました。
「深刻な懸念」の声も
ハリー・ポッターの著者であるJ.K.ローリング氏はSNSで、「このケースを最高裁に持ち込み、勝ち取るために尽力した3人のスコットランド人女性と、その背後の大勢の支援者のおかげで、英国中の女性と少女の権利が守られた」と投稿しました。
一方、トランスジェンダーの権利を積極的に訴えてきたスコットランド緑の党のMaggie Chapman議員は、「これは人権にとって深刻な懸念であり、社会の中でも特に疎外された人々にとって大きな痛手だ」と述べています。
「これによって重要な保護が失われる可能性があり、多くのトランスジェンダーの人々やその家族にとっては、自分たちの生活にどのような影響が及ぶのか、今後何が起こるのかを非常に不安に感じさせるでしょう」と彼女は言及しました。
シングルセックス空間と「保護」への影響
「For Women Scotland」は、もし法廷がスコットランド政府の立場を支持した場合、女性専用の空間やサービス(病棟、刑務所、避難所、支援団体など)の運営に影響が出るだろうと警鐘を鳴らしていました。
トランスジェンダーの人々からは、これは再割り当て後の性別に対する差別から自分たちを守る権利を損なう可能性があるという懸念が示されていました。
「Scottish Trans」のマネージャーであるヴィック・バレンタイン氏は「この判決には非常に驚いている」と述べ、「これはGRCを所持するトランス男性・トランス女性に対する20年にわたる理解を覆すものです」と批判しました。
さらに、「今回の判決は、トランスの人々が男性空間と女性空間の両方から排除される可能性があることを示唆しているように思われる。もしそうだとしたら、私たちはいったいどこへ行けばいいのか、どうすれば誰にとっても公正で平等な社会を実現できるのか理解に苦しみます」と続けています。
この問題は、以前から激しい議論が続いており、トランスジェンダーの性犯罪者 Isla Bryson が女性刑務所に収容されかけた一件や、NHSファイフ(Fife)の女性看護師がトランスジェンダー医師の更衣室使用に異議を唱えたことで現在係争中の雇用裁判などが取り沙汰されてきました。
NHSファイフは「今回の裁判所の判断を注意深く検討する」と表明しています。
「生物学的性別」による明確化
裁判官らは、もし「法的(認定証による)性別」で男性・女性を定義するなら、「男」「女」という用語や性別に関する保護特性が矛盾し、整合性が取れなくなるとしました。
また、レズビアン専用のスペースや組織について、トランス女性で女性に惹かれる人を「レズビアン」とみなす可能性が生じるため、レズビアンの保護が弱体化するとも指摘しています。
さらに、着替え部屋、宿泊施設、医療サービス、女子大学などのシングルセックス空間が「生物学的性別」によって初めて整合的に機能すると述べました。
ほかにも、シングルセックスの団体や慈善活動、女性スポーツ、公的機関の平等政策、軍隊における運用などの分野でも「類似の混乱や非実用性」が生じるとしています。
「認定証による性別」アプローチが正しくないことを示す理由として、これらの具体的な問題があげられると、判決の中で裁判官は結論づけました。
法的紛争の経緯
この法的紛争は2018年に端を発します。スコットランド議会が、公的機関の役員会における男女比のバランスを確保する法案を可決した際、スコットランド政府はその人数にトランスジェンダーを含めました。
これに対して「For Women Scotland」は、性別に基づく枠を超えるとして異議を唱えました。
この問題はスコットランドの裁判所で複数回争われ、直近では2022年にスコットランド政府が勝訴しました。スコットランド裁判所のヘルデイン判事(Lady Haldane)は、性別の定義は「生物学的、出生時の性別に限定されない」と判断したのです。
2022年、スコットランド議会は法的に性別の認定を受ける手続きを簡素化する改革法案を可決しましたが、これはイギリス政府によって阻止され、最終的にスコットランド政府も断念しています。
※この英国最高裁判決に関連して、当会スタッフがまとめた文章がありますので、最後にご紹介いたします。以下URLより是非ご一読ください。
https://bit.ly/3GkOblV
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