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英語を話すときは、吐く息も意識してみよう

英語の発音を身につけようとするとき、多くの学習者は「舌の形」や「口の開き」に意識を向けるよう指導されます。

しかし、日本語話者にはもう一つ気を付けなければいけないことがあります。

日本語は弱い息でも音が成り立ちますが、英語の「P」のような破裂音や「F」「S」のような摩擦音は、その音の「質」そのものが呼気(=吐く息)の強さと圧力に依存しています。

この英語発音の土台となる「呼気ストリーム(息の流れ)」を会得しないと、せっかく「舌の形」や「口の開き」を整えても、それは「楽器としては正しい形をしているけれど鳴らないラッパ」です。

呼気が英語の音を支える「仕組み」

英語・日本語に限らず、発話とは、肺から押し出された呼気が喉頭こうとうを通り、口腔こうくうへ向かう過程で作られる空気の振動です。

人間の身体の声帯は、吐く息の圧力を受けて周期的に開閉し、この振動が安定しているほど音は安定します。

英語と日本語の差は、子音の作り方に現れることが多いです。

破裂音(P, T, Kなど)

口腔や舌で気流を完全に止め、その後に急に開くことで音が生まれます。英語の破裂音では、この解放の瞬間に「速く、前向きの気流」が音の鋭さを決定づけます。日本語の破裂音は、この気流の変化が比較的小さく、少ない呼気量でも音が形づくられます。

摩擦音(F, S, THなど)

口腔内の狭いすき間に息を通し、その際に生じる「乱流」によって音が作られます。英語の「F」や「S」では、この乱流がはっきり起きるために、強い呼気が必要です。呼気が弱いと乱流が起きず、摩擦の成分が薄くなってしまいます。

英語の子音は、こういった破裂や摩擦を支えるために、日本語よりも多くの「前へ流れる呼気」を必要とします。舌や唇の動きが同じでも、呼気が日本語の癖のままだと、音が短く潰れたり、摩擦が曖昧になったりするのはこのためです。

日本語話者がつまずく「呼気を節約する癖」

日本語の発話は、弱い呼気でも音が成り立つようにできています。母音は声帯の開閉で形が決まり、子音も強い気流を必要としないため、息の流れが小さくても音として聞こえます。

この「弱い呼気で音が保てる」という習慣は、発達の早い段階で身につきます。息を使わなくても通じる言語環境が続くことで、日本人は無意識に「気流を節約する」発話の癖を定着させていくのです。

この癖が、英語の学習時に問題を引き起こします。 破裂音(P, T)では、直前の呼気圧が十分に高まらず、解放後の気流が弱くなります。摩擦音(F, S)では、狭いすき間に強い風を通すための「息の勢い」が足りず、乱流が安定しません。

また、英語の「強勢(ストレス)」を置く位置でも差が出ます。 英語では強勢の直前に呼気をわずかに増やし、母音の響きを大きくします。日本語にはこの操作がほとんどないため、息を均一に保とうとする癖が残ります。結果、音の起伏が平坦になり、強弱の差が小さくなってしまうのです。

呼気訓練を積み上げる「順序」

呼気の扱い方を変えるとき、複数の動作を一度に直すのは困難です。息の「流れ(連続性)」「方向」「乱流(狭い場所での変化)」の感覚を、それぞれ別に学習する必要があります。

1. 流れの「連続性」を確かめる

まず必要なのは、息が途切れずに流れているかを確かめることです。英語の音は、安定した息の流れの上に乗っています。声を出さずに息だけを「スーッ」と前へ送り続けると、どこで流れが弱くなるか、乱れるかが把握できます。

2. 息の「方向性」を可視化する

次に、呼気がどの方向へ向かっているかを観察します。薄いティッシュペーパーのような軽いものを口の前に垂らすと、息が前に集まっているかどうかが「動き」として見えます。呼気が上下や横に広がるとティッシュの動きは鈍く、前方にまとまっていると一定の角度を保ちます。破裂音の後の短い気流や、摩擦音の乱流は、この「前向きの息」があるほど安定します。

3. 「乱流」の感覚を確かめる

最後に、狭いすき間に息を通したときの変化を確かめます。英語の「F」や「S」は、この乱流が音の質を決めます。ストロー(カクテル用など細いもの)のような狭い通路に息を通すと、呼気が弱いと抵抗がなく、強さが一定だと安定した「サーッ」という音が続きます。

この「連続性」「方向性」「乱流」を順番に確認していくことで、英語の子音を支える呼気の扱いを、身体で理解しやすくなります。口の形を変えるだけでは発音が改善しない理由は、この土台となる「呼気の運動」が日本語の癖のままだったからなのです。

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