#16 P社テクノシティ見学 家づくりの裏側
初めてP社を訪れてから、およそ2か月。
その間にもさまざまな住宅展示場やモデルハウスを見学していましたが、この日は少し趣向の違う場所へ案内していただきました。
訪れたのは、P社の総合住宅展示施設「テクノシティ」です。
「探せる 試せる “家づくりの全部”」をコンセプトにした施設で、敷地内にはオフィス棟「ウッドボックス」、実験棟「テクノラボ」、研究棟「ウッドラボ」、そして4棟のモデルハウスが併設されています。
私たちが訪れたのは、2026年の春頃。
2025年3月にオープンしてから1年ほどが経っていました。
「研究施設」や「実験棟」という言葉から、私は勝手に工場のような無機質な場所を想像していました。
でも実際はまったく違っていて、建物のあちこちに木材が使われ、木の香りも漂っています。
家づくりのための施設らしく、どこか家のような温かみがあり、思わず長居したくなるような居心地の良さがありました。
木造の賃貸併用住宅を検討していた私たちにとっては、その空間にいるだけでも少し気持ちが高まるような、そんな場所でした。
巨大な実験棟「テクノラボ」
その中でも特に印象的だったのが、巨大な実験棟「テクノラボ」です。
高さは約12m、奥行きは約52.5m。乗用車を10台並べたほどの長さがあり、3階建ての住宅がすっぽり収まるサイズです。
こんなに大きな建物が1階建てで、住宅建築に使用する一般流通材とオリジナル金物を活用して建てられているなんて驚きです。
こちらでは木材の強度や遮音性能の検証、さらには地震に対する実験など、住宅の「強さ」を支えるさまざまな研究が行われています。
普段何気なく暮らしている家も、このような実験や検証を積み重ねた上で建てられているのだと思うと、とても興味深く感じました。
快適な住まいを研究する「ウッドラボ」
テクノラボの次に訪れたのは、研究棟「ウッドラボ」。
先ほどのテクノラボが住宅の「強さ」を研究する施設だとすると、こちらは住宅の「快適さ」を研究する施設です。
こちらには、1年を通じて心地よい住環境を研究するための「恒温恒湿室(人工気象室)」があります。
真夏や真冬の環境を自在に再現し、その中で住宅内の温度や住み心地がどのように変化するのかを「試験体」を使用して検証しているそうです。
「試験体」と聞いていたので、てっきり一部分だけを再現しての実験かと思っていました。しかし実際には住宅1棟分を使って検証できるとのこと。
家づくりの裏側で、ここまで大規模な研究が行われていることに驚かされました。
モデルハウスを見るだけでは分からない、家づくりを支える取り組みを知ることができた見学でした。
人をつなぐ「ウッドボックス」
次に案内されたのは、「ウッドボックス」と呼ばれるオフィス棟です。
ここは木造建築の技術展示や社内研修、地域との交流拠点としての役割を持つ施設で、市の一時避難所にも指定されているそうです。
地域の方が集まるイベントや行事も開催されており、単なる会社の施設ではなく、地域に開かれた場所という印象を受けました。
家づくりだけでなく、地域とのつながりも大切にしている会社なのだと感じます。
また、P社には大工さんを育成するための訓練校もあるそうです。
大工さんの高齢化や担い手不足は深刻で、1980年頃のピーク時と比べると人数はおよそ3分の1にまで減少しており、2035年にはさらにその3分の1程度になるとも予測されているそうです。(ピーク時の9割減)
今年に入ってからは大手ハウスメーカーによる大工さんの正社員化のニュースも目にしましたが、P社では30年以上前からこうした課題を見据え、訓練校を設立し現在も継続して運営されています。
展示コーナーには、入学当初に作成した課題作品と卒業間近に作成した課題作品が並べられていました。
最初の作品は何十時間もかけて作ったものの、隙間が空いていたり、左右非対称な箇所もありました。
一方で卒業間近の作品は、その数十分の一ほどの時間で作られているにもかかわらず、隙間なくきれいに接合されていました。
素人の私が見ても、その差は一目瞭然でした。
訓練校では学びながら給料も支給されるそうです。
正直なところ、そこまで自社で育成するのは大変なのではないかとも思いました。
しかし、協力会社に頼るだけではなく、自分たちが求める品質を実現できる技術者を育てることは、家づくりの土台を支える大切な取り組みなのかもしれません。
完成した家を見るだけでは分かりませんが、その品質を支えているのは材料や設備、積み重ねられた研究、そして人を育てる仕組みなのだと感じました。
この見学を終えた時点では、私たちにはまだ具体的な土地の候補はありませんでした。
ですが、この後P社から土地候補をご紹介いただくことになります。
実はこの土地との出会いが、その後の家づくりを大きく動かすきっかけになりました。
その時の様子は、また次回お伝えします。
