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病院経営のハイヤラーキー

マズローが提唱した人間の欲求段階説は、組織の存続を考える上でも驚くほど鋭い示唆を与えてくれます。人間の生命が呼吸や食事という生理的欲求なしには成り立たないのと同様に、病院という組織にも、何よりも優先されるべき絶対的な生存条件が存在します。それは、日々の資金繰りとキャッシュフローの維持にほかなりません。

この生存条件を最下層に据え、その上に医療安全、組織の一体感、社会的信用、そして最終的な理想である地域医療への貢献という階層を積み上げていくと、病院経営の現実的な構造が見えてきます。上の階層へ進むためには、まず下の階層が強固に安定している必要があります。高い志や理想を掲げることは尊いことですが、基礎となる経済的基盤が崩れてしまえば、すべては絵に描いた餅に帰します。

現実の経営において、この最下層である基本的生存が脅かされたとき、組織は急速に崩壊へと向かいます。資金繰りの悪化は、給与の遅配や労働環境の悪化を招き、真っ先に優秀な医療従事者の離職を引き起こします。スタッフの不足は現場の疲弊を生み、医療事故のリスクを高め、最終的には地域からの信用を失墜させるという負の連鎖を止められなくなります。

どれほど優れた医療技術を持ち、地域に必要とされている病院であっても、経済的な生存が充足されていなければ、組織として存続することは不可能です。潤沢な資金は決して目的ではありませんが、病院がその社会的使命を全うし、理想を追求するための不可欠な酸素です。基礎を欠いた組織に残された道は、事業の継続を断念するか、抜本的な組織改革を受け入れるかという、厳しい現実に直面することだけです。

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