リクルートは、なぜ採用で勝ち続けるのか。採用ではなく、「人材マーケット」をつくる会社の戦略
「採用力が高い会社」と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべる企業の一つがリクルートではないでしょうか。
私も過去何名もご支援をさせて頂いていた企業様です。
しかし、リクルートの強さは、優秀な採用担当者が多いことでも、知名度が高いことでもありません。
本質はもっと深いところにあります。
リクルートは、「採用」を採用活動として捉えていません。
人が挑戦し、成長し、また次の挑戦へ向かう。
その大きな人材循環を設計することで、結果として採用競争でも勝ち続けているのです。
この記事では、リクルートの採用思想を単なる採用ノウハウとしてではなく、「経営戦略」として紐解いていきます。
リクルートは「会社に入ること」をゴールにしていない
多くの企業は、
「自社に入社してもらうこと」
を採用のゴールにしています。
一方でリクルートは違います。
採用とは、
「個人が成長できる環境を提供する入口」
という考え方を持っています。
その象徴が、創業以来受け継がれている
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
という価値観です。
会社が社員を育てるのではなく、
社員自身が挑戦し続ける環境をつくる。
だからこそ、挑戦したい人材が集まり続けます。
なぜリクルート出身者は活躍するのか
リクルート出身の経営者や人事責任者が多いことは有名です。
その理由は、優秀な人だけを採用しているからではありません。
挑戦する機会が圧倒的に多いからです。
若手であっても、
・新規事業
・大型プロジェクト
・営業責任者
・組織マネジメント
など、大きな裁量を任されます。
失敗よりも、
「挑戦しないこと」
の方が評価されない文化があります。
結果として、
課題発見力
仮説思考
意思決定力
巻き込む力
が磨かれていきます。
採用とは、
「今優秀な人」
を採ることではなく、
「成長し続けられる人」を見極めることなのです。
採用で見ているのは「能力」ではない
リクルートでは、スキルだけではなく、
「Will(意志)」
を非常に重視すると言われています。
何をしたい人なのか。
どんな価値観を持っているのか。
困難にどう向き合うのか。
会社に合わせる人ではなく、
自分の意思で人生を切り拓く人。
この人物像が、リクルートの採用思想の中心にあります。
つまり、
能力は伸びる。
しかし、挑戦する意思は簡単には変わらない。
そう考えているのです。
面接は評価の場ではない
リクルートの面接では、
一方的に質問をするだけではありません。
候補者自身が、
「自分は何を実現したいのか」
を整理できるような対話が行われるケースも多くあります。
これは選考ではなく、
キャリア支援に近い考え方です。
企業が候補者を評価する。
候補者が企業を評価する。
そのどちらでもなく、
双方が理解を深める時間。
だからこそ、入社後の納得感も高くなります。
採用担当者ではなく「キャリアパートナー」
リクルートの採用を見ていて感じることがあります。
採用担当者が、
会社の営業マンになっていないことです。
企業を良く見せるのではなく、
候補者の人生に向き合う。
結果として、
「この会社は信頼できる」
という印象につながっています。
採用CX(Candidate Experience)が注目される今、
この姿勢は多くの企業が学ぶべきポイントではないでしょうか。
リクルートから学ぶべきこと
リクルートの採用手法を真似することは難しいかもしれません。
しかし、
考え方はどの企業でも取り入れられます。
・求人票ではなく、挑戦機会を語る。
・会社ではなく、働く人を見せる。
・評価する面接ではなく、対話する面接を行う。
・入社をゴールではなく、活躍をゴールにする。
これだけでも、採用の質は大きく変わります。
まとめ
採用とは、
人を集める仕事ではありません。
企業の未来をつくる仕事です。
リクルートが長年にわたり多くの優秀な人材を惹きつけ続けている理由は、
採用テクニックではなく、
「人の可能性を信じる文化」
を組織全体で体現しているからではないでしょうか。
採用市場がますます厳しくなるこれからの時代。
企業が本当に競うべきなのは、給与や知名度だけではありません。
「この会社で挑戦したい」
そう思ってもらえる組織をつくれるかどうか。
そこに、採用競争の本質があると私は考えています。
参考文献
リクルートホールディングス 統合報告書
リクルート採用サイト
リクルートマネジメントソリューションズ「個を生かすマネジメント」に関する各種資料
『起業家』(リクルートの歴史・江副浩正に関する書籍)
各種リクルート出身経営者・人事責任者インタビュー
